第97回(2021年)箱根駅伝 10区振り返り ~区間賞:石川(駒澤)~

続いては10区における各選手の走りを振り返っていきます。10区結果はこのようになっております。順位が確定するアンカー区間かつ23kmと距離が長いものの、コース自体は平坦で比較的走りやすいことから、比較的8~10番手の上級生が起用されることが多いかな。8区同様に選手層が問われる区間となります。 例年だと優勝争いはほぼ決着がついており、今回も注目はシード争いかと思ったのですが…最後の最後にとんでもない展開が待っていました。

大学ごと

トップの創価と2位の駒澤は3分19秒もの大差がありましたが、、、駒澤の石川が区間2位に46秒さをつける区間賞を獲得したのに対し、創価の小野寺は終盤フラフラになってしまい区間最下位、その差が4分11秒とうことで1区間で全てをひっくり返し、駒澤が13年ぶり7度目の箱根優勝を果たすこととなりました。勝負ごとは最後まで何があるかわからないと言いますが、今回の箱根ほどそれを体感するレースも無いですよね。


個人的に印象的だったのは小野寺がゴールした際の創価の寮の映像、創価の嶋津がピースをしながら称え、それに釣られてムルワもピース…良いチームだなあと。特に嶋津には尊敬の念さえ抱きました。こういうチームは今後も強いだろうし、小野寺もきっと今回の悔しさを糧に成長してくれるのだろうと感じさせるものでした。ただ、区間最下位だったと言っても、区間18位とは41秒差、19位とは21秒差ですからそこまで大崩れしたわけでは無いんですよね。脱水気味になりながらもよくぞ走ってくれました。


10区は先述の通り距離が長く、プレッシャーもかかる区間であることから9区同様にルーキーが任されることは少ないです。9区同様に10区もルーキーが走ったのは1大学だけでした。その両区間でルーキーを起用したのが神奈川大学です。9,10区をルーキーに託すのは滅多に無いですね。10区の佐々木は区間2位と素晴らしい走りで総合13位に浮上しました。6区の宇津野、今回は苦戦しましたが9区の高橋とともにルーキートリオの活躍はますます楽しみです。


3位争いでは、青学の中倉が区間4位の走りで東洋を猛追し、一時は逆転したものの、終盤に再び突き放されてしまい総合4位、3位以内にこそ届きませんでしたが、往路12位からの巻き返し、復路は全て2~4位という走りは来年度も青学は強いということを十分に感じさせるものでした。


3位を死守した東洋の清野は区間9位という走り、高校ベストは15分13秒の選手が東洋という強豪校において2年で箱根出場って素直にすごいです。8区の野口も高校ベストは15分台ですし、東洋の育成力も示してくれました。また、1年で3位以内に戻ってきたことが何よりも大きい。このまま下がっていくと、優勝争いから完全に遠ざかってしまう可能性もありましたからね。3位以内というのは優勝争いを出来るチームということでもありますし、来年度の東洋もやはり強いかなと。


シード争いでは、國學院の木付が区間3位とさすがの走りでシード権を確保、一時は6位集団にも追いつきましたからね。その一方で集団から離されてしまい総合9位、6位と23秒差だったことを考えると悔しい思いも当然ありますよね。前回は4チームの争いを制して3位に入った大学ですし。東国大の杉崎は区間12位でしたが、大事なのは10位を守れるかどうか。12秒詰められたもののしっかりと総合10位は死守し、2年連続のシード権を確保しました。主力を欠きながらもシードを確保したのは今後につながるのでは。


一方であと一歩届かなかったのが優勝候補にも名前が挙がっていた明治大学、長倉が区間10位の走りを見せて差を詰めたものの、26秒シードに届きませんでした。実際に優勝することは難しくとも、4位争いには加わってくるかなあと思っていただけに、厳しすぎる結果に…箱根11位は翌年度に箱根予選落ちの可能性もあるわけで、実際に中央学院が経験していますから。。。万全の準備をして箱根予選に臨んで欲しいですね。


3位争いからも6位争いからも離れていたのが5位の東海、竹村は区間8位できっちりと総合5位はキープしました。優勝を狙っての5位は悔しいでしょうが、5位以内に安定して入るのもやはり強豪校の証です。6位争いでは、集団を引っ張っていた早稲田の山口が抜け出して総合6位、往路11位だったことを考えると上出来と言って良いでしょう。区間7位は本人もやや物足りないかもしれませんが、10区は総合順位勝負ですから、勝ちきったことに価値があるかなと。


総合7位だった順大は原田が区間6位の走りも総合6位には4秒届かず…それでも予選会校の中で唯一シードを獲得したのはやはり予選会校では別格の強さでした。全日本も箱根予選会校でシードを獲得した唯一の大学ですし。選手も揃っていますし、今後はシード常連校、さらに上位を狙う大学となってくれれば。帝京の山根は区間11位の走りで総合8位、6位には9秒差というのはやはり悔しかったでしょう。それでも、6区のアクシデントがあった中ズルズルと崩れずにしっかりとシードを確保したのはさすが帝京です。


10区でも意地の走りを見せたのが中央、川崎が区間5位の走りで総合12位、往路の出遅れを考えると復路は5区間全て5~7位で走ったのはさすがすぎる…ただ、シードにはずっと届いていないのもまた事実…往路が大事なのは言うまでも無いですが、特に1区かなあ…出遅れると、2区以降の巻き返しが難しいですから。。。復路6位相当に関東連合の松川(芝浦工大)が入ってきたのにはびっくりしましました。区間順位相当として関東連合ではトップかな。復路はシード争いをしている大学とそれほど大差は無かったですから。ただ、現状のルールだとどうしても往路は厳しくなる傾向があります。


区間13位に拓殖の工藤、3大駅伝初出場であることを考えても上々の走りだったと思います。復路は2年生が4人走る布陣で区間1桁こそ無かったですが、粘れる区間も多かったですし、1つ順位を上げて総合15位でのフィニッシュは来年度につながるのでは。区間14位に専修の服部、2区以降はずっと区間最下位だった専修ですが、この区間順位が専修の中で最も良かったです。そして、服部は箱根予選を走っていないんですよね。箱根予選に出場していない選手も箱根でしっかりと走れたのは良かったです。


区間15位に法政の中園、最低限の走りは見せてくれたかなと思いますが、前回も箱根を走っている数少ない経験者であることを考えると、10区ならばもう少し走ってほしかった気も。総合では17位ということで、箱根予選の順位からは1つしか上げられず…2区以降は全て二桁順位という状況はシード返り咲きに向けてまだまだ険しそうかな。区間16位に国士舘の綱島、以前と比べれば少しずつ区間順位も良くなっているのですが、それでも総合18位と今回も17位以内にはならず…箱根にはある程度安定して出場出来るようになっただけに、そろそろ本戦でも結果を残したいところ。


区間17位に日体大の名村、区間順位は厳しかったですが、何とか総合14位は守りました。前回よりは戦えた箱根だったと思います。ただ、今回出場した4年生は6人、さらに藤本以外の3年生以下はいずれも区間16位以下と来年度を見据えるとやや不安になる箱根だったか。区間18位に山梨学院の渡邊、前回関東連合で走っている選手ですが、故障明けで合わせきれなかったかなあ。まだ3年ですし、来年度は故障なく過ごしてくれれば。


区間19位に城西の雲井、数少ない箱根経験者として10区を任されたものの前回の区間最下位に続いて今回も苦しい走りに…持ちタイムは決して悪くはないのですが、2度の箱根予選、2度の箱根といずれも力を発揮したとは言えないのは残念でした。

総評

駅伝は最後の最後まで何が起きるのか分からないことを改めて感じさせる結果となりました。10区を走るプレッシャーはやはり別格ですね。10区の選手の走りがそのまま総合順位に直結するわけですから。今後は10区がもう少し重要視されるようになるかもしれませんね。実際に駒澤の石川や國學院の木付、早稲田の山口など9区を走ってもおかしくない選手が10区に起用されていますし、ますます各大学の選手層が問われることになるかも。もう、繋ぎ区間というものは箱根には存在しなくなるのかも…


新たに箱根シード校となったのは予選ダントツトップの順大のみ、中央でさえシードを獲得出来ず、ずっと好位置を守っていた神奈川もシードラインと3分以上の差を最終的につけられるというのは、シード校の強さを改めて感じさせるものでした。集団走が出来、特に今回は走りやすかった箱根予選と難コースばかりで単独走も多くなる箱根は別物ですね。優勝候補でい続けること、シード校であり続けることの難しさを感じることに。


来年度の箱根予選も熾烈を極めることになりそう。箱根予選・箱根の結果を見ると、戦力的に箱根予選で下位と思われる大学が戦力ダウンが少ない…例えば箱根予選最下位通過、箱根最下位の専修は来年度留学生が加わるうえに、1,2年生中心のチームですから、戦力的にはアップしそう。箱根予選9位の拓殖も合田の台頭、2年生も力をつけていますから、3年生以下も強力。箱根予選8位の法政も箱根予選でトップ10に4年生はいませんからね。


となると、箱根シード校同様に箱根出場校に予選会落ち校が割って入るのも容易ではないですね。戦力的には中央学院が抜けているとは思いますが、絶対安心というわけではもちろん無いですし。初出場を狙う駿河台、麗澤大や箱根返り咲きを狙う筑波、大東、日大に再び戦力を整えている東農大、箱根シード校と変わらないスカウトを2年連続で続ける立教などなど…まずは箱根予選からハイレベルな争いを見せてくれそうですし、来年の箱根が早くも楽しみです。


1月14日に「月刊陸上競技2月号」、「陸上競技マガジン2月号」が同時発売されました。(写真は陸マガ)「陸マガ2月号」はやはり箱根駅伝を始めニューイヤーや都大路など駅伝情報、新入生の情報も豊富ですね。どの大学が優勝しても買おうと思っている雑誌ですし、今回も早速発売日にゲットしてきました♪次は2月2日に発売される「大学駅伝決算号」を購入して終わりかな♪



陸上競技マガジン 2021年 02 月号 [別冊付録:駒澤大学スペシャル両面ポスター]