第52回(2020年)全日本大学駅伝振り返り ~ラスト1kmまで続く大激戦を制した駒澤が6年ぶり栄冠~

いやあっ、凄いレースでしたね。。。先頭が、シード圏内がどんどん入れ替わり、それが最終区まで続くという…最後まで分からない優勝争い、シード争いというのは観戦している分には楽しいですが、走る選手は大変しょう。。。しかし、その分非常に見応え抜群のレースとなりました。各大学ごとの振り返りはまた後日行うとして、今回は各区間ごとのレース結果を振り返っていきたいと思います。公式結果はこのようになっております。私のHPにも関東勢の結果は反映済です。

1区区間賞:三浦(順大)

この区間は関東勢以外が積極的な走りを見せましたね。前年度の出雲で圧倒的な区間賞を獲得したグレが抜け出そうとすれば、日本文理の山田、京産大の北澤らが食らいつくシーンがありました。しかし、そこで抜け出すことが出来ないとなると、集団で力を溜めていた選手が強いです。


順大のスーパールーキー三浦がラストの切り替えが別格の強さを見せて区間2位に3秒差の区間賞、まだまだ余裕がありそうな走りでしたね。この選手、まだまだ底が見えません。日本選手権の3000m障害、そして箱根と楽しみすぎる。前回1区区間賞だった城西は砂岡が区間2位の好走、箱根予選も素晴らしい走りを見せており、予選会で好走した二人が上位に。


駒澤の加藤はトップと6秒差の3位と上々の走り、今年度は力をつけていると感じていますが、安定の走りを見せてくれました。前回はやや出遅れた國學院の島崎が4位に入ってきたのはちょっとびっくり。主力の1人になってきましたね。そして、5~7位は明治の児玉、早稲田の辻、東海の佐伯とルーキーが続きました。三浦もですが、今年度のルーキーは本当に粒ぞろいですね。特に佐伯がここまで走るとは正直思いませんでした。頼もしい限りです。


山梨学院の瀬戸も8位と上々の走り、東洋の児玉は9位、青学の湯原は10位ということでもう一歩ではあったかなあ。ただ、関東勢で最下位だった帝京の小野は区間18位ですが、トップとはわずかに27秒差ですからね。1区は集団が崩れだしたのが遅く、距離が短いこともありますがあまり差がつかず…となると、1区に主力を起用した大学はややもったいない結果に。

2区区間賞:川瀬(皇學館)

ここで素晴らしい走りを見せたのは皇學館の川瀬、ハーフ現役大学生トップ、日本インカレ5000mで2位に入っている関東勢にも負けない実力者ですが、21→4位と総合順位を17位も上げる走りで区間2位にも13秒の差をつけています。地元で素晴らしい走りを見せてくれました。関東勢トップは城西の菊地、2区終了時で先頭に立つという前回を更に上回る最高の走りを見せました。この時点では城西もかなり面白いと思ったのですが…


日体大のエース池田が3位で続き、池田も17→6位と11も順位を上げています。明治のエース小袖も区間4位でまとめて総合2位と好位置をキープしました。早稲田の井川が区間5位と3大駅伝で初の1桁順位…元々実力は折り紙付きですし、3大駅伝結果を残してきたのは大きいです。期待のルーキー松山は区間7位とまずまずも個人的にはもう少しいけるかなあと期待していたのでちょっと残念…


また、優勝候補と言われた大学が揃って苦しみ、駒澤の花尾が区間11位で総合9位、青学の近藤が区間13位で総合14位、東海の市村が区間19位で総合17位といずれもシード圏外にはじき出されるという展開はさすがに予想出来ませんでした。ある意味、これが優勝争いを面白くすることとなったのですが…1区区間賞の順大は伊豫田が区間14位で総合10位と下げてしまうことに…國學院の臼井は区間6位で総合5位とダブルエースを起用せずに好位置をキープ、東国大は山谷、丹所のダブルエースを起用して区間8位、総合でも8位とシード圏内をキープしています。

3区区間賞:中谷(早稲田)

2区以上にエース級が揃った3区、ここでは早稲田の中谷が前半突っ込み、後半も粘る走りで区間賞を獲得、総合でも狙い通りトップに立ちました。ここまでは理想的な展開と言えるでしょう。2区で遅れた東海は塩澤が区間2位の走りで17→11位に順位アップ、そして区間3位で青学の中村が入ってきたのはちょっとびっくりです。他大のエース級に負けない走りを3大駅伝デビューの選手が見せるのが、青学の怖さ…トップともわずかに4秒差でこの3人が抜けていました。


1区でやや出遅れた帝京は鳥飼が区間4位とさすがの走りで11→5位と6つも順位アップ、区間5位に駒澤のルーキー鈴木、さすがの走りではあるのですが、個人的にはもう一歩だったかなあ…直前で足を捻った?という話もあったので、ちょっと万全では無かったか…明治の手嶋は区間7位でまとめてトップと20秒差の2位、城西の菅原は区間13位で総合3位にはいるものの、一気に後続に詰められることに…


國學院の中西大は区間8位とちょっとらしい走りは見せられなかったですね。前回も3区を走った藤木がもう一歩でしたし、この区間はちょっと鬼門になっているか…総合こそ4位と好位置ではあるのですが、ここで一気に前を追いたかったところ。2区に続いてルーキーを起用した東洋は佐藤が区間9位でまとめて総合7位、こちらも決して悪くは無かったですが、大学での走りを見ていると、もっと期待したかったか…

4区区間賞:石原(東海)

ここで凄まじい走りを見せたのは東海の石原、区間2位に7秒差をつける区間賞の走りで11→6位と一気に5つ順位を上げてシード権内に戻ってきました。前の青学とも秒差にまで差を縮める一方、駒澤にも秒差をつける状況で優勝争いはますます混沌としていくことに…青学の岩見は区間4位、駒澤の伊東は区間7位でまとめてはいるのですが、岩見でも石原に38秒差をつけられていますからね。いかに石原が速かったかが分かります。東洋の前田も区間4位タイで走っており、総合5位にまで浮上。


総合トップに立ったのは引き続き早稲田、太田がトップと7秒差の区間2位と素晴らしい走りで総合2位の明治には52秒もの大差をつけました。先行逃げ切りを図る早稲田の作戦がズバッとハマりました。明治の櫛田も区間6位でまとめていますから上々ですよね。誰も崩れない安定感が今の明治にはあります。トップと18秒差の区間3位だったのは順大の野村、恐ろしいほどの急成長を見せているもはや順大のエースですね。箱根予選に続いてここでも快走、三浦とともにチームを牽引してくれそう。総合でも10→3位に浮上しています。


國學院の河東が区間8位で総合でも8位とここまでがシードラインとなっています。東国大の宗像も区間9位とまずまずの走り、山梨学院の新本、日体大の菅沼がともに区間10位タイでまとめています。帝京のエース格である遠藤は区間12位と集団を引っ張っていた後、苦しい走りになってしまいました。やはり、まだ戻しきれていなかったか…箱根予選を回避した中央学院の戸口も区間17位と関東勢最下位に沈み、こちらも厳しかったですね…

5区区間賞:佐藤(青学)

1区三浦、4区石原に続いて5区では佐藤が区間賞、8区間中3区間でルーキーが区間賞となりました。佐藤は区間2位に15秒の差をつける圧巻の走りでトップと10秒差の2位にまでチームを浮上させています。これで一気に青学が有利になりました。しかし、駒澤の酒井も区間2位で続き、7→3位と4つ順位を上げて3位以内に入ってくることに。この走りも大きかったです。


東洋の大澤が区間3位で続き、総合4位と選手層が問われる区間で有力校が強さを発揮しています。東海の本間も区間4位でまとめており、決して悪くは無かったのですが、佐藤とは31秒差がついているのがちょっと離されすぎたか…区間5位に順大の石井が入り、八千代松陰でともに切磋琢磨した二人が並んだ瞬間は興奮しました。石井も力をつけていますし、また二人の対決を見てみたい…


総合では早稲田が何とか首位をキープ、菖蒲は区間9位とやや苦しい走りになってしまったか。明治の金橋は区間7位も何とか粘って総合5位、区間6位だった國學院の木付が総合8位でここまでがシード圏内となっています。総合9位の帝京は橋本が区間8位も47秒差とやや厳しい差に…中央学院の中島、日体大の福住がともに区間10位タイとなっており、中島は来年度以降計算出来そうですし、福住も箱根に向けて楽しみかなあ。

6区区間賞:長田(東海)

3大駅伝初出場の選手も多かったこの6区で区間賞を獲得したのは東海の長田、4区に続いて2区間目の区間賞です。長田も5千で13分台のベストを出すなど力をつけているのは知っていましたが、まさかいきなりの区間賞とは…東海の選手層の厚さを感じる結果となりました。ここで7→1位と6人を抜いて同タイムではありますがトップにまで浮上することになりました。


同じく素晴らしい走りを見せたのが明治の大保、区間賞には5秒及ばずも東海と同タイムでトップタイに浮上しました。1年時の全日本を走って以来、3大駅伝のエントリーが無かった大保が今年度面白いように自己ベストを連発し、並み居る選手たちを抑えて出場を勝ち取り、しかもこの爆走…この区間が厳しいと思っていたのですが、逆にこの区間が大きくチームを押し上げることになりました。


区間3位に帝京の増田が入り、総合でも8位とシード権内に浮上、シードは厳しいかもと思ったら1区間で巻き返してきました。帝京の3大駅伝未経験の4年生、前回の箱根10区の吉野もそうでしたが、秘密兵器になってますよね…國學院のルーキー伊地知は区間10位とそこまで悪くは無かったのですが、総合9位とシード圏外に押し出されることに。。。


区間4位には駒澤の山野、3大駅伝初出場の酒井・山野と2年生コンビが好走を見せ、総合でも4位に浮上しました。まだまだ7区以降に希望が持てる位置をキープ。東洋の腰塚が区間5位で続き、総合5位と好位置で7区につなぐことに…腰塚も3年になって一気に台頭してきた選手です。


逆に青学は山内が終盤ちょっとフラフラしてしまって区間9位、トップと23秒差の6位まで下がることとなりました。5区までトップだった早稲田は諸冨が区間8位でまとめて総合でもトップと3秒差の3位、ルーキーが粘りの走りを見せました。苦しい展開が続いていた日大は樋口が区間6位と意地の走り、来年度チームを牽引するのはやはりこの樋口ということになりそう。順大の牧瀬が区間7位で続き、総合でも7位とシード圏内を死守しています。

7区区間賞:神林(青学)

この区間で圧倒的な走りを見せたのが青学の神林、区間2位に32秒差、日本人2位に53秒もの大差をこのエース区間でつけ、一気に青学をトップまで押し上げました。総合2位の東海に39秒差、3位の駒澤に41秒差をつけた時は、もう青学で決まりなのかと思わせるほど…


区間2位に日大のドゥング、3位に山梨学院のオニエゴが続き、留学生もしっかりと上位で走ってきました。ドゥングは箱根予選は後半失速してしまいましたが、ここではしっかりと上位で走って13→11位と2つ順位アップ、オニエゴは箱根予選だけでなく、全日本でも好走して総合16位は変わらずも成長した姿を見せました。


区間4位に駒澤の小林が入り、トップと41秒差の3位、決して悪くはない走りですし、神林が凄すぎましたよね。。。東海の西田はちょっとアクシデントがあったのか一度下がってしまい…そこからまた巻き返して区間6位、トップと39秒差の2位につけ、3強と言われた大学がトップ3を独占して最終8区を迎えることに…


シード争いは帝京の星が一度國學院の藤木に追いつかれるも、再度突き放して区間5位、総合8位を死守し、9位の國學院と20秒差をつけました。藤木は区間7位でまとめたものの、大学トップクラスの強さを身に着けたことを考えると、ちょっと物足りない走りだったか。明治の加藤が8位、早稲田の鈴木が9位、順大の吉岡が10位とシード権内の大学はしっかりと区間10位以内で走り、明治はトップと50秒差の4位、早稲田がトップと1分1秒差の5位、順大がトップと1分41秒差の6位と良い位置をキープしています。


しかし、東洋の西山は区間11位とと苦しい走りに…完全復活したと思ったのですが、全日本はエース区間で悔しすぎる走りに…総合でも5→7位に順位を下げてしまいました。8区にムセンビを擁する東国大は佐伯が区間16位と関東最下位に沈んでしまい、総合8位とは4分もの大差がついたことで連続シードは絶望的に…

8区区間賞:田澤(駒澤)

東海の名取、駒澤の田澤が二人で先頭を追っていき、青学の吉田がわずか9kmほどで追いつかれるという衝撃の展開に…吉田はなかなかペースが上がらなかったですね…先頭集団が3人になったものの、あっという間に遅れてしまって、最終的には区間11位に沈んでしまったのは衝撃的でした。


こうして2校に絞られた優勝争い、ラストに絶対の自信を持つ田澤は名取についていき、ラスト勝負では分が悪いと感じていた名取は何度もペースを上げて引き離そうとするものの、田澤が離れない…ラスト1km近くまで続いた歴代でもトップクラスの大接戦、ここで田澤が驚異的なロングスパートを披露、あっという間に名取を置き去りにして区間賞&6年ぶり優勝のゴールテープを切ることとなりました。ラスト1kmちょっとで2位に23秒差をつけるのは凄まじいですね…展開次第ではまだまだタイムも伸ばせた気がしますが、最も優勝の可能性が高い走りを見せたとも言えます。


名取も前回のタイムを上回る57分59秒をマークして区間3位、これで届かないのであればある意味しょうがなかったか…作戦としては間違っていなかったと思いますし、相手が強かったということかなあ…総合3位には鈴木が区間5位の好走を見せた明治が入りました。全8区間で区間8位以内という駒澤や東海をも上回る走りを見せて3強崩しに成功しました。


総合4位には青山学院、1区はともかく、区間9位以下が3区間もあるという青学らしからぬ凸凹順位となってしまいました。箱根には結局合わせてくるでしょうが、優勝候補筆頭と思われた全日本を勝ちきれなかったのは残念でしたね。。。5位に早稲田が入ってきたのはちょっとびっくりしました。山口はちょっと他大のエース級相手に厳しいかと思いきや区間6位と上出来すぎる走り、最長区間への抜擢に見事に応えました。早稲田も明治同様に8区間全てで1桁順位という抜群の安定感を見せています。


東洋が6位、宮下は区間4位とさすがの走りを見せたものの、ラストは早稲田に再度離されてしまい、総合6位どまりだったのは残念…それでも随所に見せ場を作ってくれました。総合7位に帝京の細谷、8区はちょっと不安かなあと思いましたが、区間9位できっちりとまとめて1つ順位アップ、3大駅伝初出場の上級生が頼もしい帝京です。


総合8位に順大の西澤が入り、ここまでがシードとなりました。箱根予選で別格の強さを見せた順大でもギリギリシード獲得ということころに、箱根シード校の恐ろしさを感じます。西澤は区間12位とちょっとらしい走りは見せられなかったですかね。総合9位に國學院の殿地、33秒届かずでした。。。殿地ならばいけるかと思ったのですが…区間10位ということでちょっと伸びなかったですね。というか、國學院も8区間全てを10位以内でまとめているのですよね。これでシードを取れないのは恐ろしい…距離の長いラスト3区間を10位→7位→10位とチーム下位だったのが痛かったです…


東京国際のムセンビは区間2位の走りで2つ順位を上げて総合10位、2年連続のシード獲得はなりませんでした。やはり、伊藤世代は伊藤だけではなく有力選手がズラッと揃っていましたからね。偉大な学年が抜けてチーム力を維持するのは容易ではないです。中央学院が総合11位、アンカーの高橋が区間7位とチーム唯一の1桁順位、意地の走りを見せて順位を14→11位と3つ上げています。この走りを見た後輩たちが来年度の巻き返しにつなげてくれれば…


日体大の野上が区間15位で総合でも12位、7区大内宏の15位とともに長距離区間がやはり厳しかったか…前回よりはまとめられた選手が多かったですが、今後に向けても主要区間に不安が残りそう。山梨学院の森山は区間8位で16→13位と3つ順位を上げています。オニエゴが前との差を詰め、森山がしっかりと走ってくれたのは大きいですね。苦しい区間も多かったですが、希望の持てる区間も十分ありました。


総合14位に日本大学、アンカーの武田は区間18位と苦しい走りに…全体的に苦しい走りでしたが、2年の樋口、ドゥングらが好走、関東勢以外に負けず、関東勢最下位でも無かったのであれば、まずまずなのかなあ…総合15位に立命館が入り、何とか関東勢には1校上回ることに。区間11位以内には1人も入れませんでしたし、関東勢以外では別格の強さを誇りますが、関東勢の壁は厚い…


城西はアンカーの梶川が区間23位に沈んでしまい、総合16位と関東勢最下位&立命館の後塵を拝することに…2区終了時でトップからここまで下がってしまうとは…主力とそれ以外の戦力差が現状は大きいように思えます。箱根予選が良かっただけに、全日本にもピークを合わせるのは難しかったか…17位には皇學館が入り、東海は2枠を確保しましたね。その分、関西は3枠になってしまうのかな?川瀬が大きく稼いだ貯金を何とか最後まで活かしました。

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