第５５回（２０２３年)全日本大学駅伝に向けて　～前回３位：青山学院大学～

前回の全日本は４年生が８区間中６人も出場、１区２位の目片、４区２位の横田、５区４位の岸本、６区３位の中村、７区２位の近藤、８区１０位の宮坂が揃って抜けるわけですから、戦力ダウンの大きさが分かります。戦力ダウンが大きいと言われている大学は他に創価、順大らが挙げられますが、同じように全日本シード校で最も卒業生の穴が大きい大学であることは間違い無いでしょう。


その一方で前回出場していな実力者もズラッと揃っているのが青山学院の魅力でもあります。特に３年生は箱根４区２位と快走を見せたエースの太田、１年時に箱根５区３位で走っている若林、関東インカレ５０００ｍで２年連続３位で走っている鶴川、箱根８区５位の田中らがいませんでしたからね。４年生では関東インカレ３０００ｍ障害王者の小原、１年時に全日本を走っている山内もいます。


２年はまだ３大駅伝出場はありませんが、黒田、荒巻、塩出という箱根にエントリーされた３人は全日本に出場してもおかしくありません。特に３年生の足並みが揃えば、一気に卒業生の穴を埋めてくるであろう期待感はあります。ルーキーはエントリーを果たしたとしてもいきなり出場するのは厳しそうかなあ。個人的には鳥井や平松あたりに期待していますが…

前回は他大学が重視する２区と８区に３大駅伝デビューの選手を起用してともに二桁順位に沈んでしまったことを考えると…今回は主要区間の２，３，７，８区を重視する戦略になるのでは無いでしょうか。７区に太田、８区に佐藤一世のようにダブルエースを残すのが理想だと思っていますが、どちらかは前半区間、例えば一世が３区、太田が７区とかの可能性が高そう。となると８区はハーフでチームNo.1タイムを持つ若林とかかなあ。トラックで活躍を見せる鶴川は前半の主要区間となりそうなので、ずっと苦戦が続く２区に鶴川というのが強力そう。


現状で４本柱となると太田、一世、若林、鶴川だと思うのですが、４人とも前回の出雲は故障で出場出来ていませんし、全日本も一世だけ…なかなか４人揃っての出場というのは大変そう。他に主要区間を任せられる選手となると、現時点ではちょっと難しそうかなと思うのですが駅伝シーズンになって台頭してくる選手に期待です。選手層の底上げは特に今年度求められますからね。


つなぎ区間の候補は多く…１区は関東インカレ５０００ｍに出場した野村や荒巻あたりが見てみたいところ。４区は５区候補が走ることが多いとなると黒田がふさわしいか。６区に長い距離で結果を残している塩出、５区に野村か荒巻みたいな布陣になるのかなあ。他にも２年時に１区を走った志貴が復活すれば大きいですが今年度の走りを見ていると正直厳しそう…前回走った白石は男鹿駅伝で好走していましたが、再び３大駅伝メンバーを勝ち取れるか？田中もメンバー争いには当然絡んでくるでしょうし、小原も出場のチャンスはありそう。

この１０年、青学の強さを支えてきたのは圧倒的な選手層でしたが、その選手層が今年度は例年に比べて薄いのではないかというのが最も気になるポイントです。ベストメンバーが組めれば前回のように３位以内に入ってくる可能性は十分ありますし、優勝争いに絡んでくるかもしれません。その一方で全日本はずっとベストな布陣を組むことが出来ていませんからね。主力が欠ける影響がこれまでよりも遥かに大きく、崩れてしまう可能性は例年よりも大きいです。


ずっと３大駅伝で優勝候補と言われてきた青学ですが、今回は何が何でも優勝を狙うというよりも、３位以内を狙うのが現実的な目標となるかも。４度優勝の出雲、６度優勝の箱根に比べて全日本は２度と最も苦手としているというのもあります。つなぎ区間はある程度任せられる選手が揃っているだけに、１区で出遅れないのはもちろん、崩れる区間をいかに無くすことが出来るかが大事になってきます。過去３大会は二桁順位の区間が最低でも２区間出てしまい、苦戦を強いられましたし。


今年度も３大駅伝で優勝争いに絡むことが出来るのかというのは、今後を見据えても非常に大事になってきます。青学はこれからも優勝候補であり続けるのか？それともそこからは一歩後退した立場になってしまうのかが、今年度の結果で見えてくると思っているので。前評判はそこまで高くは無いでしょうが、圧倒的な優勝候補だったときだけではなく、今年度は苦しいのでは？と言われていた時にも強さを見せて勝ってきたのが青学ですし、全日本でもやっぱり青学は強いと思わせる走り、見せて欲しいです。