全日本大学駅伝における2023年度の主要区間とは

2023年6月19日

~はじめに~

関東全日本予選も終わり、関東から全日本に出場する15校が揃いました。大学ごとの全日本予選の振り返り及び全日本に出場する15校の現時点での展望の前に、今日は現時点で私の考える全日本の主要区間について考えていきます。2018年から現行の距離となりましたが、それまでの主要区間は簡単で距離の長いトップ4である1,2,4,8区がそのまま主要区間となっていました。


前半区間の方が一般的には重要度が高いですが、さらに1,2,4区が8区についで2~4番目に長い距離なのですから、当然主力が起用されることになります。しかし、距離変更後は1,2区が最も距離の短い2区間となったことでどの区間を重視するかが難しくなりました。8区間の距離は長い順に8>7>6>5>3>4>2>1となっており、基本的には後ろの区間になるほど距離が長くなっています。特に7区と6区は4.8kmもの差があり最も差のある区間となっています。

~3区の重要性~

7,8区が重要度が高そう…というのは当然距離が長いトップ2なので予想されていましたが、3区を一気に重要区間にした選手がいます。当時大学最強だった東洋の相澤です。2019年に東洋は相澤を3区に起用し、区間2位に55秒もの差をつける圧倒的な区間賞&区間新を獲得しました。前半4区間の中でわずかながら最も長い距離であるということも影響したでしょうか、以後は優勝を狙う大学にとっては重要度の高い区間となっていきました。


この区間を重視していなかった全日本を大得意とする駒澤は結果として2019年は3区で大苦戦して優勝争いから脱落、翌年度はすでに主力だった芽吹を起用するなど重視しています。2021年には東国大が最強留学生のヴィンセントを起用したことでさらに3区重視の流れは進み、現時点では3番手の選手やハーフの距離よりも10km前後の距離に強い主力が起用されることになるなど、主要区間となりました。

~7,8区の重要性~

7,8区は距離が長いということもあってエースでは無いけれど長い距離に強い選手を起用するのか、それともエース級を起用すべきなのか…というのは各大学によって異なっていましたが…優勝を狙う大学が一気にエース級を起用してきた2020年からその流れは大きく変わったように思います。


優勝した駒澤が小林、田澤のトップ2,2位の東海が西田、名取という3本柱のうち2人(残る塩澤は3区)、3位の明治が加藤、聖人という箱根2,5区で前年度好走した2人、4位の青学が神林、吉田圭というダブルエース、ベストメンバーが組めずに唯一前半重視とした5位の早稲田は例外で6位の東洋は西山、宮下というトップ2を起用してきました。


ダブルエースを起用した大学が上位を占めたこと、特に優勝した駒澤が以後は田澤&花尾というトップ2を7,8区に起用し続けたことで、優勝を狙うには長い距離に強い選手ではなくダブルエースを7,8区に残すことが重要になってきました。この2年間で4位、2位と前評判以上の強さを見せた國學院も平林&伊地知というエース級を起用していますし、逆にエースを起用しなかった大学は苦戦しているところが多いです。

~2区の重要性~

3,7,8区が主要区間となった後、もう1区間主要区間が増えるのか、それともこのまま3区間なのか…というところは難しかったのですが、2022年は2区が主要区間になった年なのかなと思います。距離が変更された2018年は2区を重視している大学が多く、明治の阿部、國學院の浦野、東海の關ら実力者が起用されていました。この時点ではどこも様子見だったでしょうし、その後も明確に2区が主要区間と呼ばれるほどに主力が揃うことは無かったです。


それがこの2年…まず大きかったのは2021年、2区の先頭集団が一時10人ほどの集団になるなど1区上位だった大学にとって苦しく、逆に出遅れた大学にとっては非常にありがたい展開となりました。ここに主力を起用していた順大の三浦が区間賞、さらに区間2位タイで早稲田の井川、明治の児玉、4位で法政の鎌田とエース級が上位で走って総合でも上位に浮上、そのまま有利なレース展開となっていったことで相対的に1区の重要性が下がり、2区の重要性が上がりました。


そして決定的だったのが2022年、前回の2区です。この2区には前年度好走&2年連続で出場した順大の三浦、早稲田の井川、明治の児玉以外にも創価の葛西、駒澤の圭汰、中央学院のエース吉田、東国大のエース丹所、國學院の山本、東洋の石田らそうそうたるメンバーが揃いました。さらに、この2区の区間順位で1~9位だった大学がそのまま2区終了時でも総合でも1~9位となったんですよね。この中には1区18位だった國學院も含まれます。


逆に1区を2区よりも重視した大学は1区でトップ3だった大東、青学、中央など軒並み2区で苦戦したこともあって大きく順位を下げています。最短区間の1区は序盤に崩れない限りは大きく離されることは無いですし、今後は2区の重要性がますます増していくのでは無いでしょうか。

~最後に~

結論としては、2,3,7,8の4区間が今後も主要区間となっていくと考えています。今年度のシード校である程度満足のいく結果だったのは1位の駒澤は当然として2位の國學院、4位の順天、6位の早稲田だったと思いますが、駒澤は圭汰、山野、田澤、花尾と主力4人、國學院は山本、中西大、平林、伊地知の4本柱をそのまま、順大は三浦、野村、伊豫田、四釜と主力4人、早稲田が井川、石塚、伊藤、佐藤となっており、8人のうち上位4人は?と聞かれたらこの4人でも何ら違和感のない選手たちが起用されているんですよね。


逆に優勝候補の一角だった青学は2区に白石、8区に宮坂という3大駅伝経験者が6人いる中で3大駅伝デビューの2人を主要区間に起用し、ともに二桁順位に沈んでいます。箱根は予想外の区間配置をした時ほど強い印象がありますが、全日本は他大学と異なる区間配置で苦戦していることが多い印象が青学にはありますね。


残る4区間の印象としては…1区は出雲や箱根でも1区を走るスターターを起用したり、期待のルーキーを起用したりと各大学で戦略が大きく異なる印象、4区はアップダウンがあるということもあって重要度は低いもののアップダウンに強い選手が起用されることも多い、5区は走りやすく現状8番手の選手が起用される区間ですが、駒澤の篠原、青学の岸本のように本来主力ながら故障明けの選手が起用されることもあります。


6区も東国大の丹所、明治の聖人、中央の大和のように万全でないエースが起用されることもありますし、3番目に長い距離は大事ということで、駒澤の安原、青学の中村唯のように主力が起用されることもあって各大学の戦略が出る区間となっていますね。こうした傾向も踏まえながら、現時点での各大学における全日本の展望を記載していきます。

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