駒澤大学 来年度の箱根駅伝(2024年)に向けて

経験

最後は箱根で優勝した駒澤大学について見ていきます。今年度の箱根結果はこのようになっています。大エースの田澤らが抜けることとなりますが来年度の3大駅伝経験者は13人、これは全大学で最多となっています。今年度の箱根優勝メンバー7人に花尾、圭汰という出雲、全日本で優勝に貢献した2人を加えて9人、このメンバーは来年度もそのまま中心メンバーとなっていくことでしょう。故障など無ければ何も心配はいらないかなあ。来年度の選手層を考えるとむしろ気になるのは残る経験者です。


箱根後に結果を残しているのは金子でハーフでも好走を続けており、箱根5区4位という実績もあります。来年度の箱根でも5区争いは激しくなりそうで、金子と山川が同じように計算出来るようになれば山川を平地にも起用出来ますからね。赤津は安定した走りを見せているものの、メンバーに入るにはもう一歩爆発力が必要かなあ。白鳥は大事な選考レースだった上尾ハーフで苦戦して以来は姿を見せず…前年度の箱根で1区2位で走った唐澤もそれ以来レースに出ていませんが、ともに最終学年で復活を果たせば大きな戦力アップとなります。全大学を見渡しても経験値という点ではトップクラスでしょう。

新戦力

経験値がトップクラスである一方で3大駅伝未経験者となると未知数な部分が大きいです。3年生はもう3大駅伝経験者が9人もいますから、後は学生ハーフで良い走りを見せていた篠川がメンバ争いに加われるかどうかくらいかな。2年生は篠原以外の3大駅伝経験者がおらず、吉本が最も3大駅伝出場に近いと思いますが他の主力と比べるとまだ安定感に欠ける印象。亘理、小牧ら1万で28分台をマークした選手に激坂王で好走して5区候補の宮城らもいますが、せめて篠原以外にもう1人、メンバー争いではなく主力となる選手が出てきて欲しい状況。


1年生は圭汰、山川、伊藤の3大駅伝経験者が抜けており、6区に出場予定だった帰山が続く形かなあ。他の選手はまだまだ厳しそうですが…個人的にはハーフで比較的安定している山下に期待したいところ。そして楽しみなのが新入生です。海晴、小山、工藤の13分台トリオは持ちタイムだけではなく都大路での好走経験があるのは頼もしいです。14分0秒の植阪を含めた4人は来年度の3大駅伝でメンバー入りを果たす可能性も十分あるかなあと。


14分2秒の島子、14分3秒の村上に14分24秒ながら都大路で好走した小松と全大学でもトップクラスのスカウトとなりました。このメンバーでさえ1年目から3大駅伝を走るのは容易では無いところが来年度の駒澤の恐ろしさです。3大駅伝経験者に圧倒的な実力者が揃う一方で未経験者は長い距離に未知数な新入生が最も期待される状況ですし、主力に近づく選手の台頭がどれだけ出てくるのかというのが来年度の駒澤にとって非常に大事になります。

展望

箱根連覇を狙うチームですが、現時点で箱根10人はある程度イメージしやすいんですよね。箱根優勝メンバーが7人、不調がなければ出場していた花尾、圭汰ですでに9人埋まります。箱根1区2位で走っている唐澤が復活すれば…往路を1区から唐澤、芽吹、圭汰、篠原、山川のように3大駅伝経験者を揃えることが出来、復路も山野が抜けた9区に花尾を起用すれば、伊藤、太陽、赤星、花尾、青柿で揃ってしまいます。しかしそう単純にはいかないでしょう。


来年度の箱根を見据えると、今年度良かった点である故障者や不調者が出てもそれを補えた分厚い選手層を作り上げるというのは大事になってきますし、逆に悪かった点であるベストメンバーが組めなかったというところは、仕方ない部分もあるでしょうが改善していかないとまた苦しい選手起用となってしまいます。各区間でどれだけ出場争いをハイレベルに出来るかが来年度の成績に大きく影響してくるでしょう。


前述の10人がそのまま出場するようでは箱根優勝は厳しいと思います、例えば往路の平地は芽吹、圭汰、篠原の3人は有力ですが脅かす選手も出てきてほしいところ。往路経験者の安原、花尾らになるのか新入生を含めた新戦力になるのか…往路予定の選手が出場出来なかったり、復路に回っても大きく戦力ダウンとならないようにしたいところ。復路も今年度のように11番手以下の選手が走っても区間5位以内で走れるような選手層を築くことが今の箱根で勝つためには必要になってくるでしょう。


5区は山川、金子の区間4位経験者に宮城らが候補になってくるか。6区も区間賞の伊藤に出場予定だった帰山がいて、他にも6区候補と思われる選手が激坂王の下りエントリーや富士宮駅伝らにいて、どちらも心配いらないところは駒澤の大きな武器かなあ。戦力的には2年連続の3冠も十分に狙えると思いますし、来年度の箱根も前回王者として優勝候補になるでしょうが、戦力以外で気になる点が大きく2つあります。


3年間で6度の3大駅伝優勝を果たしていますが、そのすべてにあって来年度は無いもの。エースの田澤と大八木監督です。田澤抜きでの3大駅伝優勝は2014年の全日本、箱根優勝となると2008年まで遡ることになります。チームに安心と安定を与えていた田澤が抜けても勝てるのか?さらに大八木監督の勇退に伴い藤田新監督となりましたが、大八木監督が指導していないチームで駒澤は優勝したことがありません。大エースと名監督が揃って抜けるのは、大きな戦力ダウンとなってもおかしくありません。


そして私が最も心配しているのは精神的な部分です。今年度は大八木監督に唯一無かった称号と言って良い3冠をプレゼントしたいというのが非常に大きなモチベーションとなっていたことでしょう。悲願の3冠を達成したうえで、さらに来年度も同じようなモチベーションを維持出来るのかは気になるところです。前年度の箱根で圧倒的な強さを見せた青学は箱根後にゆるみがあったというのは選手も話していましたが、箱根優勝どころか3冠を達成した駒澤はどうなのだろう?


ただ、駒澤にとって箱根優勝を争った中央の存在は結果的には来年度に向けてはポジティブなのかもしれません。前年度の青学は2位に10分以上の大差をつけたことで、目標は歴代最高タイムを更新する10時間42分となっていました。敵は他大学ではなく前年度の自分たちのようにも見えたんですよね。中央が今回のように躍進をせずに駒澤も2位に7分差をつけていたら同じようになっていた可能性も…


円、田澤がいて往路で30秒しか離せなかった中央は往路メンバーが全員残るのに、慢心している余裕はあるのか?という強烈なプレッシャーを与えてくれますからね。青学が4連覇を達成して以降、箱根で連覇した大学はありません。駒澤も4連覇以外に箱根連覇は達成できていません。2度目の連覇というのは、東洋や青学も出来ておらず非常に難易度が高いです。最後に達成したのは1991年に3冠を達成した大東まで遡りますからね。来年度は黄金世代が4年生となりますし、駒澤が連覇を達成してさらなる黄金時代を築くことが出来るのか楽しみです♪

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