箱根終了後に考える全日本(2023年度)の展望その1 ~全日本予選会校~
続いては、11月に行われる全日本における現段階での展望を述べていきます。すでに出場権を獲得しているのはシード校(駒澤、國學院、青学、順天、創価、早稲田、中央、東洋)の8校、ここに予選会を突破した7校の合計15校が関東から出場します。ここ数年は上位15校がそのまま関東勢となっています。今年度の全日本は関東勢以外が全て繰り上げスタートとなってしまいましたからね。
今回はシード校以外で前回全日本に出場した大学+箱根シード校に対し、現時点での区間配置の展望などを見ていきます。どこも予選を通過してくる前提となります。
法政は比較的前半を重視してくる傾向があるので…松永、小泉、宗像が3本柱だとして、2人を7,8区に起用することは無さそうかなあ。例えば2区松永、3区小泉、7区宗像で稲毛、細迫、高須賀あたりを8区に起用するなど長い距離に強い選手を7,8区のどちらかは起用してきそう。気になるのは1年生かなあ。大島、高橋、清水ら有力ルーキーが複数加わりましたが、3大駅伝・予選会にエントリーされたのは清水のみ、法政は期待のルーキーが1年目に苦戦しても2年目以降に台頭するというのは扇や松永など良くあるので、期待したいところ。
シード争いをするにはもう1人か2人は主力級が台頭してこないと厳しいかなあ。内田、中園、松本、川上、扇ら4年生の穴が大きいチームですし。それでも、駅伝シーズン以降の3年生以下の台頭で一気に選手層が薄くなってしまうことは無さそう。
城西も3本柱を7,8区に2人残す余裕は無いでしょうし、7区に山本唯だとすると、2区に斎藤、3区にキムタイのような布陣の方が現実的か。1区は野村がいますし、長距離区間は平林、山中といった箱根で9,10区を担った選手に安心して任せられそう。基本的には箱根に出場した10人の中から8人が出場する形になりそうですが…本来であればこのチームは1年生ではなく3年生が中心となるはずなんですよね。
中田、新井、山本樹、堀越、成田ら3大駅伝・予選会を経験している選手がつなぎ区間の争いに加わってくるようになれば、さらに選手層が厚くなってきますね。2018年以来のシード獲得も箱根の勢いからすれば期待してしまいます。
全日本では11位でシード落ち、ヴィンセント、山谷が出場出来なかったとはいえ、ムセンビが8区6位、丹所が2区8位で走ったのみで他は全て二桁順位に沈みました。明らかに全日本にチームとして合わせられなかったですよね。それは全日本に限らず3大駅伝全てだったと思いますが…来年度は新留学生が加入し、冨永、白井、木村、川端、村松と経験者が5人残ります。順当ならば今年度と同様に3区白井、7区村松に主要区間を任せ、新留学生が8区ということになるかなあ。
今年度はそもそもレースにもあまり出場出来ていない主力がどれだけ戻ってくるかがやはり大事になってきますが…今年度台頭した新戦力も合わせて選手層は決して薄くは無いんですよね。3大駅伝経験者は11人いますし、そこに1年生は含まれていません。新1,2年生がどれだけ戦力となってくれるか…現時点では全日本出場は出来たとしてもシードは遠そうです。
前回は9位でシードには一歩届かず、櫛田、小澤という主力2人が万全では無かったのも響いたか。どうしても苦戦する区間が全日本でも箱根でも出てしまうのが苦しい…来年度は全日本予選に出場しての箱根予選、全日本と続くことになります。前回経験者は森下、児玉、新谷、吉川響、尾崎の5人おり、森下、児玉はともにエースとして主要区間を担うことになるでしょう。明治は2区を重視しているので2区児玉、3区森下という布陣が良さそうかなあ。
箱根で一躍台頭した杉は7,8区まで残しておきたいところ。尾崎も箱根の走りを見る限りは再び長距離区間も任せられそう。箱根6区を走った堀も含めて力のある選手は多く、8区間埋めることは問題無いですし、期待の新入生である綾は全日本から出場してきそう。ただ、選手層が今年度と比べて薄くなることを考えると、2年生には期待したいかなあ。曳田、東原、甲斐ら記録会で好走することはあってもなかなかメンバー争いには絡むことが出来ていない…選手層を厚くする鍵は2年生が握っていそう。現時点ではシード争いに絡めてもシード獲得にはまだ戦力不足は否めないかなあ。
今年度の全日本は10位、エース石原が区間賞の走りで復活しましたが、1区花岡も上々の走りでしたが一度もシード争いには絡めませんでした。来年度は石原、花岡、越の3人が中心となってくるか。7,8区に2人残す余裕は無さそうなので、2区花岡、3区石原、7区越とすると、1区を任せられる選手と長距離区間を走れる選手が必要になってきます。
まずは梶谷が復活してくれるかどうかというのはチームにとって非常に大事になってきます。全日本予選で4組7位で走っている実力者なだけに万全であれば頼りになる選手なのですが。持ちタイムでは松尾、溝口、神薗らが上位で本来であれば全日本にも出場してほしい選手たちですが、本来であれば駒澤に次ぐスカウトだった3年生の足並みがなかなか揃わないのが気がかりです。吉田響は箱根予選に出場すれば全日本は起用しないでしょう。新入生の南坂、永本ら楽しみな選手はいますし、何とか復活してほしいところですが…余程噛み合わない限りはシード争いに絡んでいくのは難しそう。
前回は1区ワンジルの区間賞があったものの、2区以降は順位を上げられずに総合14位に終わりました。3年間3大駅伝に出場出来なかったところから箱根予選トップ通過となれば精神的にも肉体的にも全日本に合わせることは難しかったでしょう。久保田、菊地、ワンジルという主力は揃っていますし、8区を走った西代も楽しみな選手。ワンジル1区はやはりもったいなかったですし、2区久保田、3区菊地でワンジルは7区に残せるのが理想かなあ。
入濱、大谷ら全日本・箱根を走った選手もおり、箱根6区で好走した佐竹もいます。大野、木山、谷口ら4年生が抜けることによる穴は大きく、まずは全日本予選をしっかりと突破するところからかな。持ちタイムの良い選手はズラッと揃っていますが、監督の言う通り次は速さから強さが求められるところ。1年でガラッと変わったチームなので今後は楽しみではありますが、現時点では全日本出場出来たとしてもシード争いに絡むのは難しそう。
全日本予選でトップ通過、全日本では総合12位でシード争いに絡むことは出来ず…宮本、小林政、尾方、中原、小林篤と5人の経験者が残ります。本来であれば、そこに巻田、宇津野、高橋、佐々木らが入ってくるわけであっさりと8区間は埋まってしまうんですよね。しかし、最近は主力に故障者があってベストメンバーが組めない状況が続いているので、そこは何とかしないといけないところ…
さらに、ベストな布陣が組めて全日本に出場出来たとすると、巻田2区、宇津野3区、小林政が7区、小林篤が8区のように主要区間は3年生が全部占めて多数出場する可能性が高いです。実際、全日本に出場した宮本、中原は苦戦していますし、今後を見据えても2年生以下の新戦力の台頭は必須かなあ。滝本、新妻ら楽しみな選手も加入しますし、ある程度全日本は経験を積ます場にもしたいですね。現状だと今回と同じ12位が一つの目安になるかな。
前回は5区終了時では8位とシード圏内にいたものの、その後は順位を落として13位。4年生中心の布陣だったため、吉田、堀田、安藤の3人しか経験者はいません。吉田を7,8区まで残す余裕は無いでしょうし、今回と同じ2区吉田、3区堀田、8区安藤とすると…7区は伊藤が入ってきてほしいかなあ。工藤、飯塚ら28分台のベストをマークした選手を中心に29分台のベストを持つ選手もズラッと揃います。
こういった選手が勝負レースでも力を発揮できるようになれば楽しみなのですが、それはまた別物ですからね…1年生がなかなか今年度は割って入ってこれなかっただけに、全日本予選、箱根予選に出場した近田の他にも黒岩、黒葛野ら下級生の台頭にも期待したいところ。全日本予選を突破するのも現状はかなり厳しそうですし、出場できたとしても今年度と同じ13位くらいかなあ。
今年度の全日本は関東勢最下位となる15位、区間1桁で走ったのが3区9位のドゥングのみで5区間で区間17位以下ではさすがに厳しすぎます。下尾、西村、安藤、大仲、中澤と全日本には5人が出場しましたし、冨田、久保、山口、小路らもタイムを伸ばしてきています。新留学生が加入するのであれば、今回同じように前半から攻めていくしかないと思うので、下尾、西村、新留学生を1~3区に並べる布陣が現実的かなあ。
それでも苦戦したのが今年度の全日本ですし、4区以降はさらに苦しくなってしまいそう…現状、長距離区間を任せられそうな選手もいないですからね。ただ、全日本予選の時にも記載しましたが…日大が連続で全日本に出場するのは非常にハードルが高いと思っています。前年度と同じ全日本予選で15位くらいが現実的な気も…
全日本シード校がどこも力があり、来年度苦しくなるとしたら4年生に主力が揃う創価くらいなんですよね。全日本のシード校が入れ替わるとしたら1校か多くても2校だと思いますし、そこに全日本予選会校が割って入っていくのは現時点で有力と言える大学は無さそう。それでも力があるとすれば城西と明治ということになるかなあ。城西は箱根予選が無いのも大きいですし、明治も全日本は2020年に3位に入るなど得意としていますし。
法政と城西以外は全日本予選を突破出来たとしても、箱根予選との連戦になるため、余計に厳しい戦いを強いられますよね。全日本シード校は元々力があるのに出雲を経て全日本に臨めるわけですし…そんな状況で全日本シード校に割って入る力があれば今年度の早稲田のように全日本、箱根シード獲得も十分狙えるわけですし、来年度もそんな大学が出てくることに期待です。