第99回(2023年)箱根駅伝 5区振り返り ~区間賞:山本 唯翔(城西)~

総評

続いては5区における各選手の走りを振り返っていきます。5区結果はこのようになっております。箱根で最も走る時間が長く、最も差がつきやすい最重要区間である山登りの5区、今回は区間新記録を2人がマークするハイレベルなレースとなりました。往路でシード圏外からシードを獲得したのは往路11位の東洋のみ、区間11位以下でシードを獲得したのは13位だった創価のみ、復路のレベルが上がったとはいえ、5区の重要性は高いままです。

大学ごと

区間新を叩き出したのが城西の山本唯と順大の四釜、山本唯は区間記録を21秒、四釜は6秒更新してきました。山本唯は総合13位→9位と一気に4つ順位を上げてチームをシード圏内に押し上げ、さらに11位とも1分34秒もの差をつけましたからね。区間6位だった2年前からさらに大きく成長した姿を見せ、チームのシード獲得に大きな貢献を果たしました。四釜も総合11→6位と5つ順位を上げる走り、2~4区がやや苦戦気味だっただけにこの快走は大きかったですね。後ろを気にせず前を追う状況を作りました。


往路優勝を争ったのが区間3位だった中央の阿部と区間4位だった駒澤の山川、4区終了時で39秒あったタイム差は定点で一時15秒まで縮まりましたが、下りで駒澤が差を再び広げて30秒差、阿部と山川のタイムはわずかに9秒でした。阿部もすぐ見える位置まで迫っただけに、一度追いつきたかったか…それでも前を追う見事な走りでした。山川も苦手と話していた下りで良く差を広げましたよね。往路優勝のゴールテープを切りました。


ルーキーは山川も含めて4人出場しましたが…創価の野沢は区間13位、往路で10位以内だった大学では唯一11位以下ということに。それでも10位との差は37秒に留めていますし、全日本予選で好走するなど走力もあります。来年度以降はさらに順位を上げてくれそう。


明治の吉川響は区間15位と順位はそこまで悪く無いのですが…14位と1分29秒もつけられてしまったのが痛かった。シードを争う城西や東洋らが良かったことも余計に厳しかったですね。城西とは1区間で5分5秒もの大差をつけられていますし…立教のルーキー相澤は区間最下位、目立った持ちタイムは無く、激坂王もかなり苦戦していましたのでこれは仕方なかったかなあ。良い経験となったのでは。


区間5,6位で東洋の前田、早稲田の伊藤が走っています。東洋の前田が5区というのは私もびっくりしましたが、見事な走りを見せました。14→11位と3つ順位を上げて現実的にシードを狙える位置までチームを押し上げました。これで10度目の3大駅伝、最後まで1桁順位で走り切りました。2年連続の5区だった伊藤もこの1年間で成長した姿を見せてくれました。1つ順位を上げて往路5位でのフィニッシュは箱根予選会校トップ、伊藤の躍進も好調なチームを牽引しています。


区間7位に國學院の伊地知、8位に帝京の新井、伊地知も万全では無かったようですが…それでもこの順位でまとめる強さですね。出雲、全日本と結果を残し続けていますし、大事な5区でもエースの走りを見せました。新井は1年の出雲からエントリーされて4年の箱根で初出場を勝ち取った選手、往路11位以下で唯一区間10位以内で走った選手でもあります。往路は苦しい走りとなりましたが、そんな中で新井の好走が光りました。


関東学生連合の橋本は区間9位相当、本人も上りに自信を持っていましたが、1桁順位相当で走るのはやはり力がありますね。1区3位相当だった新田以外では最も良い走りとなりました。総合最下位相当という苦しい位置でこの走りが出来たのも素晴らしいです。


区間9位に青学の脇田、10位に法政の細迫が続きました。脇田は若林が前日に体調不良で走れず、6区予定から急遽5区となったことを考えると、本当に良く走ってくれましたよね。下りに入ってから順位を上げていますし、上りも下りも強いのでしょうがやはり6区の方が得意だったのか…脇田の走りが復路に希望を繋げました。細迫は前回フラフラとなって区間16位だったところから順位をきっちりと上げてきました。前回の経験を活かしてくれましたね。


区間11,12位に国士館の山本雷、大東の菊地が入りました。山本雷は前回の13位からさらに順位を上げてくることに。やはり山での強さがあります。往路の3,4区を中位で走れる選手がいれば、往路をシード圏内で終えることも可能なのですが…菊地も総合19位と苦しい位置でこの走りはさすが、17位と2つ順位を上げてきました。2区は苦しみましたが、その後順位を上げてきたのは今後にもつながるのでは。


区間14位に東国大の川端、持ちタイムが5千で14分13秒、1万、ハーフは未経験の選手ですが3大駅伝フル出場と力があります。今回も3つ順位を落としたものの7位で往路を終えることに。さらに力をつけてタイムも伸ばしていって欲しいところ。区間16位に専修の冨永、冨永もよく走ってくれたのではないでしょうか。2年連続で走っていた野下を平地に回せましたし、最初で最後の箱根を走り切りました。


区間17位に東海の杉本、東海としては吉田響を起用出来ずに不安視された区間ですが…結果としてその影響の大きさを感じずにはいられない結果となってしまいました。4区終了時で9位でしたが、総合13位まで順位を下げてしまうことに。持ちタイムは伸ばしていたのですが、最初で最後の箱根は苦しい走りとなりました。


区間18位に山梨学院の新本、19位に日体大の吉富ということに。新本は故障に悩まされることも多く、箱根予選も今年度未出場からの5区は驚きましたが結果としては下位に沈んでしまうことに。チームとしても5区はずっと区間15位以下が続く苦戦している区間です。吉富は前年度の激坂王では好走していたのですが前回は区間15位、今回はさらに順位を落としてしまいました。上りに強いのは間違いないと思いますが、なかなか箱根での結果に繋げられていません。

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