第99回(2023年)箱根駅伝 4区振り返り ~区間賞:ヴィンセント(東京国際)~
続いては4区における各選手の走りを振り返っていきます。4区結果はこのようになっております。最後の首位交代が起きたのがこの4区であり、駒澤と青学のラストスパート合戦、抜きつ抜かれつの攻防は非常に見ごたえがありましたね。まさに優勝候補同士、意地と意地のぶつかり合いでした。今回もタイムは非常にハイレベルで60分台が2人、61分台が3人、62分台も7人もいました。1~3区ほどスピードを求められない4区にどんな選手を起用出来るのかというのも、戦況を大きく左右します。
区間賞&区間新を獲得したヴィンセントはやはり圧倒的でした。そこまで万全の状態で臨めたわけではないという話でしたが、1時間ちょうどで区間記録を30秒も更新、これで2~4区と3区間で区間記録保持者となりました。歴代最強留学生にふさわしい記録ですね。3区はもう不滅の記録ですし、2,4区も更新は極めて困難な区間記録となりました。距離変更の方が早いかもしれませんね。。。
区間2,3位には青学の太田、駒澤の芽吹と激しい先頭争いをした2人が入りました。太田は26秒差を芽吹相手に追いついたのがまず凄いですし、さらに終盤になって先に仕掛ける強さ、芽吹も負けじと激しいデッドヒートを繰り広げました。結果として1秒駒澤に先行を許したものの、1時間35秒は区間記録に5秒及ばないだけという素晴らしいタイムを叩き出しました。監督からも駅伝男と呼ばれるほどですし、来年度は怪我無くエースの走りを見せてくれれば。
芽吹も一度おいていかれたものの、喰らいつき何度離されても粘って最後に1秒勝ち切る走りが印象的でした。1時間1分というタイムも見事ですし、こちらも次期エースにふさわしい二人ですね。来年度は太田vs芽吹の第二弾をエース区間の2区で見てみたいです。
区間4,5位に國學院の藤本、中央の駿恭が1秒差で入りました。3位とは4位は48秒開いており、いかにトップ3が速かったかが分かります。藤本は中西大が走れなかったことで急遽の4区かと思いますが、素晴らしい走りでしたね。3年時までは3大駅伝にエントリーさえ無かったのに、今年度は3大駅伝全てで区間4位、こういう選手が出てくるチームというのは強いですよね。
駿恭は後半離されてしまったものの、区間5位でまとめていますし十分な走りといって良いでしょう。1年にして主要区間を走り続け、結果を残し続けるのが凄すぎます。区間6~8位も1秒差で続いており、早稲田の佐藤、法政の扇、創価の嶋津となっています。佐藤は前年度の悔しさをばねに今年度は飛躍を遂げており、箱根予選、全日本7区に続いて箱根4区でも快走と完全に主力の1人となりました。佐藤の成長も好調な早稲田を支えています。
扇が区間7位で走ったのもお見事でした。主力を欠く苦しいチーム状況を救いましたね。故障に悩まされ続けてきましたが、3大駅伝デビューとなった出雲に続いて箱根でも快走を見せ、4年時には欠かせない戦力となりました。嶋津は万全では無かったようで過去2大会のような圧巻の走りとはいかなかったものの、現状の持てる力は発揮してくれたのでは。嶋津が4区にいる安心感はやはり別格です。
東海の越が区間9位、山梨学院の北村が区間10位となりました。越は前回7区3位で走っている実力者ですが、今年に入ってからはほとんど姿を見せていませんでしたからね。それでも何とか箱根に間に合わせ、往路を一桁で走ってしまう強さですね。来年度は故障なくエースの1人としての走りを見せてくれれば。北村も日本人エースの強さをしっかりと見せてくれました。箱根予選でも快走していますし、今年度の成長ぶりが凄まじい。
区間11,12位に明治の尾崎、帝京の柴戸が入っています。尾崎は主力を欠いたことによって4区に起用されたと思いますが、持てる力は発揮してくれたのでは。今後は主要区間も上位で走れる強さを身に着けてくれれば。柴戸も12位という順位は上出来だと思います。1~3区が揃って苦戦する中、17→15位と2つ順位を上げました。来年度はエースの一角を担うことになりそう。
区間13,14位に東洋の柏、大東大の大野が入っています。柏は復路かと思いましたが、4区で13位ならば最低限ではまとめてくれたかなあ。16→14位と2つ順位を上げていますし、5区へ希望を繋げました。大野も最下位でタスキをもらっていますし、状況を考えると粘ってくれたかなあ。総合順位も19位と1つ上げていますからね。
区間15,16位に順大の石井、立教の馬場と続くことに。箱根4区で2年連続区間5位以内、前回は2位で走っている石井が15位と苦しんだのは順大にとって痛かったかなあ。3,4区で前回同様に一気に前を追っていきたいところでしたが、8→11位とシード圏外に下がってしまうことに。馬場は箱根予選に出場していないルーキーですし、区間16位ならば良く走ってくれたのでは。往路では関口と並んで最も良い区間順位ですし。
区間17,18位に国士館の清水、城西の鈴木となっています。清水も満を持しての往路起用だったお思うのですが、3区に続いて苦しい走りに…15→17位とさらに順位を2つ下げてしまいました。鈴木は箱根予選にも出場していないルーキーですし、上尾ハーフで戻してきていたとはいえいきなりの歯尾根4区は荷が重かったかなあ。
区間19位相当に関東学生連合の山田、総合最下位は変わらずですし、前回の戦力が非常に揃っていたものの、前回より戦力が厳しく、主力も欠く状況はやはり厳しい。区間19位に専修の新井、区間20位に日体大の分須となりました。新井は不調者・故障者続出の影響による往路起用でしょうし、正直仕方ないかと。分須は前回区間15位、さらに同区間を走って最下位とちょっと心配ですね…ずっと主要区間に起用され続けているので期待されているのは分かりますが、3大駅伝・予選会のいずれもまだ結果を残せていないので…まずは1つ結果を残してくれれば。