第99回(2023年)箱根駅伝 6区振り返り ~区間賞:伊藤 蒼唯(駒澤)~

総評

続いては6区における各選手の走りを振り返っていきます。6区結果はこのようになっております。復路のスタートとなる重要区間、今回は優勝争いを大きく左右する区間となりました。この区間で差を詰めたかった中央は離され、青学は6区だけで5分差をつけられ、優勝争いから脱落してしまいました。この区間でトップ5の大学が6区終了時のトップ6に入っていますし、タイム差はつきにくいものの影響は大きいです。一斉スタートの大学はここで出遅れると、下位での単独走を強いられることになり7区以降にも大きな影響があります。

大学ごと

区間賞を獲得したのは駒澤のルーキー伊藤、山をルーキーコンビに託すという大胆な区間配置がハマりました。最初の定点から最後までずっと区間順位がトップだったというのも凄いですね。最初の上りも下りも強いです。30秒差のリードだったため、6区で追いつかれる可能性もあり得るかと思っていましたが、47秒差に広げることに成功しました。


区間2位だった中央の若林も良く走りました。4年連続の6区、過去2大会はいずれも区間5位でしたが、タイムも順位も過去最高ですし4年間でベストの走りだったのでは。往路からの良い流れを引き継ぎ、7区以降に繋ぎました。区間3位に早稲田の北村、前回は出場出来なかったですが、やはり北村の6区は安心感が抜群です。2年前よりも全体的にタイムが出ていない中、2大会連続の58分台の走りで5→3位に順位アップ、トップ3は区間順位と総合順位が一致することとなりました。



ここでまさかの区間最下位だったのが青学の西川、6区候補としては実質4番手だったという話ですが、それが急遽出場となった精神的影響も大きかったでしょう。箱根初優勝以降、全く外すことの無かった青学の6区でしたが、今回はなかなかペースが上がらずに後半は失速してしまいました。3→7位と4つ順位を下げ、トップとは7分4秒差がついてしまうことに。現実的には3位を狙う戦いとなりました。


6区は区間賞だった駒澤の伊藤を含めて5人のルーキーが走りました。明治の堀は区間8位とまずまずの走り、明治も駒澤同様にルーキーに5,6区を託してきたんですよね。高校時代からスピード抜群の選手ですし、今後も6区を安心して任せられそうなのは大きいです。東洋の西村が区間13位、今回は九嶋が出場出来なかったことによる代役ということでしたが、大平台までは区間4位だったものの、後半はやや苦しくなってしまったか。平地での走力もありますし、6区以外でも活躍は出来そう。


城西の大沼が区間15位、3000m障害で実績がある選手で箱根予選でもチーム8番手で走っていますが、初の箱根は最低限ではまとめてくれたもののもう一歩だったか。9→10位と1つ順位を下げています。順大は村尾が区間17位と苦しい走り、順大の6区は過去2年は4年生が好走していた区間、今回はこちらも3000m障害に強い期待のルーキーに託しましたが、6→8位と2つ順位を下げてしまう苦しい走りとなりました。


区間4位に創価の濱野、5位に法政の武田と実力者が続くことに。濱野はこれが3度目の6区、タイムこそ最も悪いですが順位としては最も良かったことに。往路10位から一気に6位にまでチームを浮上させました。武田は前回の区間2位からは順位こそ落としましたが、2大会連続の区間5位以内、8→5位と3つ順位を上げて7区以降の選手を集団で走りやすい位置に押し上げたのも価値がありますね。


区間6位に大東大の佐竹、7位に専修の粟江が入ってきたのには個人的にはちょっとびっくりしました。佐竹は関東インカレの3000m障害でも優勝している実力者ですが、長い距離はまだ未知数だったのですが…今年度は箱根予選も全日本も出場しない中で箱根にはしっかりと合わせてきました。粟江は主力を何人も欠く中で唯一区間1桁で走りました。下りに自信があるという話でしたが、見事な走りでした。ともにまだ3年生ということで来年度も楽しみです。


区間9位に東海の川上、10位タイで山梨学院の高田、日体大の内山が続きました。川上は2大会連続区間6位以内で走っている実力者、今年度は箱根予選での転倒や全日本での苦戦からどこまで合わせられるか心配していましたが、最後の箱根でも1桁順位で走る強さは素晴らしい。山梨学院の6区は2大会連続中位で走っている区間ですが、今回もしっかりと10位でまとめることに。4年生が担った過去2大会と違って高田はまだ2年生なのも来年度楽しみ。内山は目立った持ちタイムも実績も無かったのですが、それでもこの順位で走れるということは下り適性が非常に高いのでしょう。頼もしい存在です。


区間12位に國學院の島崎、2年前の区間4位と比べると区間順位こそ落としましたが、4年時に走れなかった箱根、5年目の挑戦で勝ち取ったのが素晴らしいです。出雲、全日本は1区、箱根は6区と全てスターターを務めてチームを牽引しました。区間14位に立教の内田、これまた3000m障害で活躍する選手ということで、今回は3000m障害の選手を6区に起用する大学が多かったですね。往路こそ最下位でしたが、復路は一斉スタートでこの順位で走ったのは7区以降の選手にとっても走りやすかったのでは。


区間16位に帝京の山田、最初で最後の3大駅伝出場を果たしました。区間順位としてはもう一歩だったかもしれませんが、今年度の4年生は前後の学年が強くて苦労する中、5,6区はともに最初で最後に出場した4年生コンビでしたからね。やはり箱根は4年生の走りが大事です。18位に東国大の吉住、持ちタイムや実績は目立たずにエントリーされたということで山候補かとは思っていましたが…今回は苦しい走りとなってしまいました。7→9位と2つ順位を下げることに。


区間19位に国士館の中島、区間20位相当に関東学生連合の波多江となりました。中島はトラックでのスピードは抜群も長い距離での実績はまだ未知数でどうかなと思っていましたが6区のスタートで出遅れてしまうことに…他の一斉スタート校がいずれも区間順位が悪くなかっただけに、ここで置いていかれしまったのはチームとしても厳しい展開となりました。波多江も区間順位としては厳しい走りで、総合でも最下位相当に下がってしまうことに。山の対策がしづらい関東学生連合にとって、6区はどうしても苦しむ傾向があります。

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