第９９回（２０２３年）箱根駅伝　１区振り返り　～区間賞：富田　峻平（明治）～

今日からは箱根駅伝の各区間ごとに各選手の走りを振り返っていきます。１区結果はこのようになっております。 今回は中央の大和が起用されなかったことで、想定されていたようにスローペースとなりました。１区がスローペースだと困る有力校が無かったため、どの大学も集団を引っ張りたがらなかったのもあります。そんな中で関東学生連合が唯一抜け出して淡々とペースを刻む走りは印象的でした。

関東学生連合の新田が唯一集団から抜け出し、一時は１分半近い差をつける走りが最も印象的だった１区でした。終盤は足が吊ってしまってペースダウンしたものの、区間３位相当という走りは大きなインパクトを残しました。そんな中で見事に区間賞を獲得したのが明治の富田、集団のペースアップにも好位置で対応し、満を持してのロングスパートで一気に後続を置き去る走りは完璧でした。明治１区の区間賞は北條が獲得して以来１３年ぶりの快挙となりました。


富田のスパートに唯一対応したのが円、結果として２人抜け出せたのは良かったですが富田にはついていけなかったのはやや残念だったか。それでもトップと９秒差の区間２位、３位とも７秒の差をつける走りは大事なスターターの役割を十分に果たしました。区間３位に法政の松永が入ってきたのはびっくり。集団のペースアップで集団後方に下がり、苦しいかと思ったのですがそこから猛追しての走りは改めて強さを感じました。


今回は期待のルーキーが４人起用されましたが、その中で最も順位が良かったのが区間４位の溜池、正直当日変更もあり得るかと思いましたが、最初に集団のペースを上げたのは溜池でしたし、冨田のロングスパートにも冷静に対処してトップと１８秒差の４位は２区で待つエース大和へ最高のお膳立てとなりました。日体大の山崎もトップと２４秒差の９位でまとめており、力がありますね。来年度の２区を走るのは山崎だと期待しています。


國學院の青木が１２位、早稲田の間瀬田が区間１４位というのは区間順位としてはもう一歩だったか。特に青木は全日本５区区間賞で非常に評価を高めていましたからね。それでも青木はトップと３２秒差、間瀬田は３９秒差でまとめていますし、前が見えて２区に負担もかからない位置だったのでは。１年生が粘りの走りを見せた一方で２年生は３人出場しましたが、区間１８～２０位とワースト３を占めることとなってしまいました。


立教の林は今回が５５年ぶりの初出場だったこともありますし、ある程度は仕方ないですよね。いきなりこのスローペースからの切り替えは辛いです。東海の梶谷はもう少し上位で走って欲しかったかなあ。全日本予選の大活躍以降、故障の影響もあったか全日本・箱根と苦しいレースが続いています。専修の千代島は予定していた木村が起用出来ず、代替の田島も走れなくて急遽の１区なので仕方ないですね。むしろ良くトップと１分４５秒差でまとめたと思います。


区間５～９位はいずれも４年生となり、創価の横山、順大の野村、青学の目片、山梨学院の木山と続きました。横山は全日本に続いて区間５位と素晴らしい走り、エース級ではなく横山を１区で起用出来たのはチームにとっても大きいですね、今後も１区は外さなそうな期待感があります。野村も３年以降は苦戦することも多かったですが、最後の箱根はしっかりと合わせてくれました。


目片は出雲や全日本の走りを考えるともう一歩だったかもしれませんが、最大のライバルだった駒澤と１１秒差というのは何とか最低限粘ったという走りだったか。木山は前回の区間１４位からもさらに順位を上げて８位は上出来といって良いでしょう。前後にも選手がいてムルアにとって非常に走りやすい状況でタスキを繋ぎました。


東京国際の山谷はトップと２５秒差の区間１０位、最後の駅伝シーズンは故障に悩まされましたが、それでも最後の箱根でこの走りが出来るのはさすがエースです。今年度の３大駅伝を見て山谷の偉大さを改めて感じました。区間１１位に城西の野村、好走経験のある６区から１区に起用されてどうかなと思いましたが区間中位で走ったのは大きかったです。


国士舘の綱島が区間１３位、スローになった集団を結果として引っ張る展開となってしまいました。その分、やや苦しい１区となってしまったかもしれませんが、それでも１３位でまとめてきたのはさすが日本人エースです。チームの３年生エースをともに起用した大東大の久保田は１５位、帝京の小野は１６位とともに出遅れてしまうことに。久保田は全日本予選や箱根予選は好走していましたが、未経験の箱根はやはり別物だったか…小野は前回区間８位で走っていただけに、そこから順位を下げてしまったのは残念でした。


東洋の児玉は区間１７位ということで７度目の３大駅伝出場、６度目の１区で最も苦しい走りとなってしまいました。今年度のトラックシーズンは４年間で最も活躍を見せていただけに期待も大きかったのですが、駅伝シーズンでは一転して苦しいシーズンとなってしまった。。。