第99回(2023年)箱根予選 戦力分析 その3(早大、中学、拓殖、上武、日大)

箱根予選のエントリー校の戦力分析を以下の4つの観点を中心に見ていきます。続いては箱根13位の早稲田大学、16位の山梨学院大学、箱根予選11位の拓殖大学、14位の上武大学、21位の日本大学についてです。

①エース力・・・トップ3の稼ぐ力
②選手層・・・8~12番手の層の厚さ
③予選会力・・・箱根予選を得意としているか
④持ちタイム・・・1万の平均タイム順位(全員、箱根予選)

早稲田大学

エース力は問題無いですね。誰が明確なエースなのかは難しいですが、井川、鈴木、石塚のトップ3だとすると、いずれも3大駅伝での実績も豊富で主要区間でも上位で走っている実力者、井川、鈴木は1年時に箱根予選を経験して井川がチーム2番手、鈴木が3番手で走っています。箱根予選会校ではエース力はトップクラスと言えるでしょう。


選手層は人数が少ない早稲田において懸念されるところなのですが…順当なエントリーとなったのが大きいです。直近の記録会出遅れてしまっていた小指は外れてしまいましたが、5千を先日走って復活してきていますし、箱根6区経験のある柳本が外れたくらい…3大駅伝・予選会のエントリー経験者+持ちタイムトップ10に入っている選手が16人しかいないのですが、そこから小指、柳本を除いた14人がそのままエントリーされているんです。不調者などがいないのであれば結果として選手層も非常に厚くなっています。


予選会力は早稲田にとって最も大きな不安要素です。この15年間を見ても予選会を走ったのは3年前の1回のみ、それだけ予選会のノウハウが無いとも言えます。唯一出場した3年前は9位と下位での通過、その後連戦となった全日本で6位、箱根では7位に入っていることから見ても、明らかに予選会は失敗レースでした。今回は上武で予選会の経験豊富な花田監督となったことでそこを補えると良いですね。前回は単独走になる選手も多くなってしまったので今回は無理せず集団走をしてくるのでは。そうなればますます安心です。


持ちタイムは28分58秒で4位ということで順当に通過圏内につけています。28分56⇒28分58秒とわずか2秒しかトップ10から下がっておらず、これは私が把握している17大学の中で最もダウン幅が少ないです。元々持ちタイムが良く、戦力ダウンも少ないのですから盤石ですよね。故障が長引いていた辻も戻ってきましたし、十分上位通過出来る戦力は整っているかと。心配なのは予選会の経験不足&前回失敗していることくらいかと。

中央学院大学

エース力については正直かなり不安。。。吉田は文句なしでチームを牽引する存在、トップクラスの走りが期待出来ますがトップ3となると誰になるのか…小島も本来であれば主力の1人なのですが、前年度の全日本予選以来姿を見せておらず、未知数な部分も大きいです。今年度結果を残している伊藤は外れてしまい、武川もやはり間に合わず…前回箱根予選でチーム2番手の吉本までいませんからね。前回4番手だった川田が3番手になるのかな?こちらも姿を全然見せていませんからね。


選手層は先述のように主力を複数欠いたことで薄くなってしまったのは否めません。武川、伊藤、吉本がいないのは正直相当な痛手ですよね。。。ただ、ルーキーは近田、黒岩がともにハーフですでに64分台のベストを持っており長い距離に心配はいらないのは大きく、堀田もグッと力をつけてきました。前田や飯塚など上級生になって伸びてきた選手も多く、各選手の台頭で8~10番手はそれほど薄くならないかも。


予選会力は現状が良く分からないですね…なかなか箱根シードを獲得できない時代は予選会で抜群の安定感を誇っていましたが、5年連続で箱根シードを獲得するシード常連校となったこともあり、11位でシード落ち⇒予選会で12位とまさかの予選落ち、前回も7位と苦戦しながらの通過となりました。この2回の予選会の経験は大きいですし、どちらかと言えば予選会に不安の無い大学だと思いますが。。。


持ちタイムは29分13秒で9位、ギリギリ通過圏内となっています。28分59⇒29分13秒と主力を欠いた影響はやはり大きく、タイムをグッと落としています。走力に追いついていないタイムを持っているのは川田くらいなので、タイムはある程度チーム力を反映していそうかな。私は前回の箱根11~15位+大東大が箱根予選通過有力と見ているのですが…続くチームの中では中央学院は上位にいるかなあと。通過圏内だと思っています。

拓殖大学

エース力はかなり厳しそうかなあ。もちろんラジニは万全ならば全体トップも狙える実力者で力は抜けていますが、続くトップ3は誰になるのか…全日本予選で最終組を任された江口、工藤に前年度の全日本予選で最終組の吉村や箱根予選でチーム4番手の山田らが候補になってくると思いますが…勝負レースで目立った実績というのは無いですからね…箱根予選で100位以内で走っている選手がいないというのも大きいです。桐山や合田のように一気に台頭してくる選手が出ていれば良いのですが…


選手層も正直不安が残ります。エントリー選手中1万で30分切りはわずかに8人、3年生以下である程度経験があるのは富永匠くらいでほとんどの選手が未知数なんですよね。3年は前回出場した根岸は280位、菊地や石川は記録会も目立った走りは無いですし、多くの選手が31分台以降でまだ1万は箱根予選出場の資格記録狙いのみの選手が多く、5千のタイムも目立たないので正直分からない…そんな中から結果を残す選手が複数出てくるのが拓殖かとも思いますが。


予選会力はどちらかと言えば高い大学だと思います。元々、記録を狙うことはあまりしないですし持ちタイムや高校時代の実績に乏しい選手を箱根予選で戦える選手に育て上げて箱根予選突破を果たしてきたのが拓殖ですからね。ここ2年間は9→11位と苦戦が続いていますが、戦力を考えれば戦えている方なのでは…前回はピーキングが合わなかったという話もありますが、予選会が苦手という印象は無いです。


持ちタイムは29分18秒で12位となっており通過圏外となっています。先述の通り、タイムは参考にならないですよね。29分9→29分18秒と9秒落としていますが、持ちタイムトップ6は全員エントリーされており、安村と関根が外れていますがエントリー自体はなかなかに順当と言えるのは救いかなあ。ボーダーを争う1校かとは思いますが、現状だと通過圏外よりのボーダーという印象です。

上武大学

エース力は箱根出場校にも劣りません。パトリック、村上、海村と現状は明確にトップ3を形成出来ており、新留学生のパトリックは早速好走を見せていますし、村上は箱根予選で2年連続好走、海村は自己ベスト連発で全日本予選も好走しています。この3人が稼ぐ役割を果たすことになるでしょうし、揃って上位で走ってきても驚きは無いかなあ。海村は長い距離はまだ実績に乏しいですが今年度の活躍を見るとやってくれそうな期待感があります。


選手層はその一方でかなり厳しい。。。青山、額賀という本来ならばチーム上位で走ることが期待される主力2人が外れてしまい、さらに鉄川、岩田、芝、上田ら走ってもおかしくないと思っていた選手も揃っていないんですよね。特に岩田はハーフで64分台をマークし、個人的に期待していた2年生なのですが…結果として1万で30分きりはわずかに6人、箱根予選会経験者もわずかに4人しかおらずただでさえ厚くない選手層が一層薄くなってしまっています。今回紹介する17校でもかなりワーストに近い状況かと。


予選会力はある大学だと思います。戦力的に厳しい状況ながらもずっと予選会通過を果たしてきましたからね。しかし、それだけ予選会の強さがあっても戦力的にますます厳しい状況となり、過去3大会は13→14→14といずれも予選落ちとなってしまっています。ただ、この順位でも1度も大崩れはしていないわけですし、予選順位としては何とかまとめているかと。やはり予選会は得意な大学と言って良いかと。


持ちタイムは29分42秒で16位となっており、通過圏外となっています。元々持ちタイムも下位なのに、チーム上位の青山、額賀らをはじめズラッと29分台の選手が外れているわけですから、仕方ないですよね。29分17→29分42秒と25秒もタイムを落としており、これは17大学の中で最も悪いです。ワースト2は15秒ダウンですから、上武の苦しさが分かるかと…ベストメンバーでも厳しい予想だったので、今回のエントリーで通過はさすがに苦しいでしょうね。前回と同じ14位でもまずまずなのでは。。。

日本大学

エース力は本来であれば盤石だったのですが、3本柱の1人である松岡が外れてしまいました。全日本予選は完璧と言って良いエントリーだったのですが…松岡がいないのはあまりにも痛すぎます。ドゥング、三山はエースとして稼ぐ役割が余計に期待されますね。特に三山はここ2年の箱根予選で苦しんでいるだけに心配です。ともに1年時の順位であるドゥングが4位、三山が33位くらいで走ってくれれば上々なのですが…残るトップ3は若山になるかな?前回チーム2番手で走っており、箱根予選以降安定感が増してきました。


選手層は正直かなり薄いですね。1年生が4人エントリーされているのがまず気になるところで、高校時代から実績豊富というわけではないですし、最低でも2人走る状況で崩れることなく走れるのかは期待よりも不安の方が大きいです。大学で目立ったタイムを出しているわけでもないですし。1万の持ちタイムトップ10のうち松岡を除く9人がエントリーされているのは救いです。故障に苦しんでいた小野も戻ってきましたし。


予選会力は正直下位でしょう。過去2大会は18→21位と前々回でさえ苦しい順位だったのに、そこからさらに順位を下げてしまったわけですから…この2年間に限らず箱根予選では苦しい走りの時が多く、戦力的に不安が無いと思われた中でも予選落ちとなったり、予選会は安定していない印象が元々ありましたからね。それまでに実績が乏しいながらも予選会で好走するような選手もあまりいませんし、箱根予選会はかなり苦手としている印象。


持ちタイムは29分7秒でチーム5番手となっており、予選通過圏内となっています。28分55⇒29分7秒と12秒もタイムは落としているのですが、これは28分21秒を誇る松岡がいないからのみですからね。持ちタイム上は通過圏内というのはこれまでも同様の状況なのであまり参考にはならないかと。得意なトラックである全日本予選でベストメンバーを組めて7位とギリギリの通過であったことを考えても、エースの松岡を欠いてハーフやロードの方が苦手としている選手が多いチーム状況において、箱根予選通過は非常に高いハードルかなあ。さすがに18位や21位からは順位を上げてくるでしょうが、出場争いに絡むのは困難かと。

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