第98回(2022年)箱根駅伝 10区振り返り ~区間賞:中倉 啓敦(青山学院)~
最後は10区における各選手の走りを振り返っていきます。10区結果はこのようになっております。区間賞は9区に続いて青山学院、中倉が67分50秒と従来の区間記録を50秒も更新する区間記録をたたき出しています。復路記録が注目されてあまり中倉の区間タイムは表示されていませんでしたが…9区に続いて区間記録の更新幅が凄まじいです。区間2位にもちょうど1分差をつけていますし、最後まで圧倒的な強さを見せての総合優勝となりました。
区間2位に東洋の清野、3位に東京国際の野澤が入ってきたことで3位争いが非常に混戦となりました。清野の走りで東洋は7→4位と3つ順位を上げる走り、3位にも2秒差にまで迫りましたから9,10区で大きく順位を上げることとなりました。往路がやや物足りなかった分、復路でしっかりと巻き返してきました。野澤も全日本の走りから強いとは思っていましたが、箱根でも素晴らしい走りで6→5位に順位を上げたのは素晴らしかったです。復路の東京国際がここまで強いとは…往路7位から順位を上げたのも自信になりましたよね。
3位争いを制したのは駒澤の青柿、区間6位でまとめたのも良かったですが、ラストで一度追いつかれながらも引き離して3位を確保した走りが素晴らしかったです。全日本では苦戦しましたが、往路の5区、復路の10区と最後を良い走りで締めてくれました。中央は井上が区間17位と苦戦したことで3→6位と3つ順位を下げてしまいましたが、ずっとシードに届かなかったことを考えると全日本に続いてのシード獲得は大きな意味がありますし、来年度以降につながることでしょう。
順大の近藤は区間14位タイとこちらもやや厳しい走りとなりましたが、それでも後続に追いつかれることはなく総合2位は死守、もう任された役目は2位を守るだったわけですから、区間順位はさておき良い走りだったと言えるのでは。
シード争いはまさかの展開が待っていましたね。。。創価の松田が区間5位の走りで9→7位と2つ順位を上げて余裕でのシード確保、創価も往路の8位から復路で順位を上げており、選手層が厚くなったことを見せてくれました。3大駅伝で初エントリーだった松田がここまで走るとは思いませんでした。帝京は西脇が区間10位、前半から積極的な走り、後半はやや落ちたものの、1つ順位を上げての9位でシードを確保しました。
國學院は相澤が区間16位で5→8位と3つ順位を下げたものの、最低限の目標であるシードは確保しました。東海は吉冨がラストで低血糖症になってしまいフラフラに…区間19位に沈んでしまい、8→11位と3つ順位を落としてまさかのシードを逃す結果となってしまいました。アクシデントが起きてしまったのも残念ですが、それがよりによってシードを逃す走りとなってしまったのが辛すぎました…
シード獲得を果たしたのが法政の川上、区間11位の走りで11→10位と大きな順位アップとなりました。東海のアクシデントはあったにせよ、総合11位という位置をキープしていたからこその結果ですからね。全日本に続いて次点でシードを逃すかと思いましたが…最後に逆転で勝ち取りました。早稲田は山口が区間13位…総合でも12→13位と一つ順位を下げてシードを失うことに…故障者が出てチームもギリギリだったようですが、それでも早稲田がシード落ちするとは思いませんでした…
代わって12位に浮上したのが神奈川の有村、区間9位の走りは上出来と言ってよいでしょう。山崎、有村と1桁順位で走る3年生が2人も台頭してきたのは大きく、神奈川もなかなかシード争いには絡めませんでしたが、前回を上回る12位という結果は上々だったのでは。明治は橋本が区間4位とさすがの走りで15→14位に浮上、前のチームにも迫りました。今年度の充実ぶりは最後の箱根まで素晴らしかったです。
関東連合の諸星も区間5位相当と素晴らしい走り、本当に要所で見せ場を作ってくれました。総合でも14位相当と近年で最も強いと言われる前評判通りの強さを見せています。特に9,10区と揃って好走を見せたのも良かったです。駿河台は阪本が区間7位と見事な走り、総合でも20→19位と1つ順位を上げて3区終了時以来の最下位脱出、繰り上げ回避に続いて最下位回避も果たすこととなりました。
一方で専修は中山が区間最下位、それも19位に1分5秒離れる最下位となったことで19→20位に後退し、2年連続の最下位となってしまいました。それでも、前回のダンラスに比べれば十分にレースに加わってきましたし、戦えた箱根だったのではないでしょうか。
中央学院は中島が区間8位と上々の走り、1区から苦しんだことを考えると総合16位は何とか巻き返した結果だったのでは。中島も初の箱根でしっかりとまとめていますし、3大駅伝・予選会で一度も失敗レースが無いというのが頼もしすぎます。日体大の佐藤が区間12位ということで5区間連続の19位以下は何とか回避、総合17位は守ることとなりましたが…全体的に物足りない結果となってしまったのは否めないかな。。。
山梨学院の篠原が区間15位、国士館の望月が区間18位という結果に。篠原は箱根予選や前回の8区20位という結果を見ればよく走ってくれたと思います。ただチームとしては総合18位とまたしても下位に沈む状況からは脱却できずでした。箱根予選で3,4位だった日体大と山梨学院の苦戦が目立ってしまったかなあ。望月も3大駅伝・予選会ではエントリー自体初の選手ですし、ある程度はやむを得ずだったか。14→15位と1つ順位を下げたものの、総合15位以内は2012年以来10年ぶりのことですし、大きく崩れずに粘ってくれました。
ディスカッション
コメント一覧
中倉選手はちょっと不運でした。アンカーですから、どうしても総合記録、復路記録の方が注目されてしまいます。それに区間新を出した3人で唯一のMVP選外、3人は多いし、そうなると古い記録を塗り替えた吉居選手と中村選手が選ばれちゃいますよね。
駿河台の阪本選手は本当に嬉しかったでしょうね。目標であった最後まで襷をつなぎきり笑顔でのゴールは、こちらまで嬉しくなってしまいました。本人は区間7位と気持ちよく走れたでしょうし、これが最後に最下位脱出にもつながりました。
吉冨選手は苦しかった。近藤選手、相澤選手、井上選手と最初で最後となった4年生が揃って区間下位に沈んでしまいましたが、3選手はシードを守ることはできましたから、まだ救いがあります。東海もシード圏内を走る時間が長かったので、ここまできたら守り抜きたかったところです。
しかし、東海は、エースの石原選手が欠場で厳しい戦力の中、順位だけを見るとよく粘った印象があります。1年生が好走しているのも希望がありますね。それと比べるとシード争いにほとんど絡めなかった早稲田、まったく絡めなかった明治は、残念でした。
中倉の区間タイム、ほとんど話題にあがらなかったですもんね。
青学が強すぎた弊害でした。
阪本のガッツポーズはグッとくるものがありました。
東海はアクシデントですから、残念です。。。5区吉田の走りで復活したと思ったのですが。
早稲田と明治は序盤の遅れを最後まで巻き返せなかったですね
東洋清野君、昨年に続き頼もしい走りで順位を3つも上げてくれました。惜しくも4位でしたが、復路の2位というのもうれしいです。
清野の走り素晴らしかったですね。最終区間で順位を上げるのは見ていても気持ちよいですし。