第53回(2021年)全日本大学駅伝に向けて ~前回8位:順天堂大学~

全日本予選の結果を振り返っていきましたので、続いては全日本シード校についても、全日本に向けての戦力分析及び展望を述べてきます。最初は前回の全日本で8位、14年ぶりに全日本シードを獲得した順天堂大学についてです。前回結果はこのようになっております。

~前回からの戦力増減~

前回の全日本に出場した選手のうち、卒業したのは3区10位だった清水のみ、箱根6区では快走を見せた清水ですが全日本のみであれば戦力ダウンは全日本出場校の中でも早稲田に次いで最も少ない大学と言えるでしょう。そして、戦力ダウンの少なさ以上に順大の評価を高めているのは、戦力アップの豊富さです。


まず、前回は箱根予選に続いての全日本出場となっており、この2戦とも結果を出すのは容易ではありません。箱根予選がなく、出雲→全日本に臨めるというだけでもコンディションという点においては戦力アップと言えるでしょう。続いて、エースの台頭です。前回は野村がエースとして台頭し、三浦もエースの1人ですが最短区間の1区での起用でした。今年度は野村がエースとしてさらに成長を見せ、伊豫田も記録会、勝負レースと野村と遜色ない結果を残し続けました。


そして、三浦はご存じの通り3000m障害で日本記録連発&五輪代表を決め、関東インカレでもラストの切れ味で他の追随を許さない圧倒的な走りを見せています。3本柱が求められる全日本において、三浦、野村、伊豫田のいずれもが前年度から成長を遂げていることは大幅な戦力アップと言えるでしょう。


さらに、中堅どころの成長も著しいです。中でも、関東インカレ1部ハーフで日本人トップとなった四釜の躍進は素晴らしく、従来の順大の区間配置ならば最長区間の8区を任されてもおかしくないほどの期待感があります。持ちタイムを伸ばしている選手も多々おり、13分台ならば鈴木、牧瀬、平にルーキーの服部も13分台ランナーの仲間入り、関東インカレ3000m障害での快走は3大駅伝に向けても期待が高まります。


28分台では、近藤、吉岡、西澤ら上級生が自己ベストを更新しており、吉岡、西澤は前回の長距離区間である7,8区を任された選手ですし、さらに力をつけているのは頼もしい限り。唯一、前回の経験者では石井が自己ベストを更新出来ていないのいが気がかりですが、自己ベストに近いタイムはマーク出来ていますし、そこまで心配もいらないかなあと。

~区間配置~

前回は三浦が1区、伊豫田が2区、野村が4区と前半に主力を起用してきました。全日本の腫瘍区間は3,7,8区というのが一般的ですが、順大は4区に以前も塩尻を起用するなど重視しており、今回も4区に3本柱の1人は起用してきそうかなあ。残る2人を7,8区に起用するのが順当ですが、順大は前半型にすることも多いため、1人が2 or 3区、もう1人が7 or 8区という可能性が高そうかなあ。最長区間の8区は長い距離に強い選手を起用する傾向があるため、前回走った西澤や成長著しい四釜あたりが任せられる可能性も十分あります。


他大の選手起用に合わせて、3,7,8区のエース起用が最も好結果が期待できそうな気もするのですが…各大学の選手起用の特色も駅伝の魅力の1つですからね。つなぎ区間はもう選手層の充実ぶりが凄まじいため、調子の良い選手が起用されるという形になりそう。前回出場している3本柱以外では石井、牧瀬、吉岡、西澤という後半区間を走った4人ですが、4人揃って出場する可能性はむしろ低そうなほどです。順大はルーキーの抜擢も積極のため、服部は負担の少ない区間での出場が十分あり得るかなあと。


4年生も小島や鈴木、近藤らが勝負レースで結果を残したり、持ちタイムをグッと伸ばしてきており、2,3年生にエース級が揃う中でも存在感を示しつつありますし、つなぎ区間はいい意味で悩ましすぎます。1区は密かに悩ましい問題かもしれません。三浦を起用するのはもはやもったいなさすぎますが、順大は1区もかなり重視していますからね。スピードのある準エース級を起用するにしても誰が良いのか…1500mで好走した小島も見てみたい気がします。

~展望~

これだけ戦力が充実しているとなると、もうシード争いに巻き込まれる可能性はかなり低いのではないでしょうか。いきなり、優勝争いにまで加われるかというとまだ厳しい部分もありそうですが、3位以内に入ってきたとしても驚きは無いです。関東インカレでも総合優勝に貢献する活躍を見せていますし、トラックの大舞台でこれだけ揃って結果を残したとなると、駅伝でも期待せずにはいられませんよね。


そのためにも、先述の通り区間配置はかなり重要になってくると思っています。区間距離が変更になってからの過去3大会、長距離区間の7,8区は全て区間二桁順位となっており、ここで上位との差を広げられています。前回の全日本を見ても、駒澤が小林→田澤、東海が西田→名取、明治が加藤→聖人、青学が神林→吉田と上位4校はエース級を7区まで温存しています。順大がシードを狙うのではなく、上位争いを繰り広げるのであれば、エース級を残すことは重要なポイントとなるのではないかなと。


エースを7,8区まで残したとしても6区まで十分上位で凌げるだけの選手は揃ってきていますからね。今年度の戦力の豊富さは最後に全日本でシードを獲得し、最後に箱根で優勝した2006年度に次ぐだけのものがあると思っています。勝負レースで結果を残し、自己ベストラッシュとなっている今年度、全日本でどんな走りを見せてくれるのか、期待せずにはいられません!!

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