2020年度 1万m持ちタイム遷移 ~その3~

いよいよ今日で今年度も終わりですね。来年度は無事に各種記録会・大会が開催され、ワクワクさせるような走りをまた見せてほしいです。最後は1万mで来年度の順位が1~8位の8校について、2020年4月1日(今年度開始)、2020年3月28日(今年度最終版予定)、2021年4月1日(来年度開始)の3つのポイントで持ちタイム遷移を振り返りつつ、来年度の戦力を見ていきます。新入生を全員把握しているわけではないので、多少は誤差があるかもしれません。

大学名 20/04/01 21/03/28 21/04/01
駒澤大学9位29:05.051位28:25.281位28:30.73
早稲田大学8位29:03.883位28:32.272位28:37.00
明治大学6位29:03.632位28:31.783位28:39.69
中央大学1位28:51.724位28:35.434位28:40.88
青山学院大学3位28:57.956位28:44.595位28:49.07
順天堂大学2位28:53.697位28:48.236位28:51.17
東海大学10位29:07.655位28:42.357位29:00.31
東京国際大学4位29:00.659位28:53.498位29:04.18
1位:駒澤大学

今年度開始時点では9位でしたが、現時点では1位となっており8つも順位を上げたことになります。タイムは40秒も更新しており、これは25大学中トップです。27分台のベストをマークした田澤を筆頭に28分前半~28分30秒までで6人、チーム2~6番手はルーキーというのが恐ろしい。ここまで1年が1万で揃ってタイムを出すことはこれまでも無かったのでは?10番手でも28分38秒というハイレベルさで、上位10人で28分25秒は歴代で最も良いタイムとなっています。


来年度は28分30秒で引き続き1位をキープ、トップ10のうち3人が抜けることになりますが、上位6人は2年生以下であり、28分台も引き続き9人残り、10番手でも29分4秒であることからタイムダウンも5秒に留まっています。年度開始時点で28分30秒というのは凄まじいですが、一方で伸びしろは相当少ないかも。新入生がいきなりトップ10に入るのは困難でしょうし、主力どころも軒並みトップ10に入っていますからね。


現状、明確にトップ10に入る力がありそうなのは、5千でチーム2番手の唐澤くらいかな。そう考えると、選手層という点ではかなりダウンしてしまう気も…箱根に出場したのは小林だけですが、加藤、伊東、小島、神戸らがいたことで選手層の厚さを保っていたのも当然ありますからね。引き続き強さを維持するためにも、新戦力の台頭は必須です。

2位:早稲田大学

今年度開始時点では8位でしたが、現時点では3位ですから5つ順位を上げたことになります。タイムも31秒更新しています。27分台のベストを持つ中谷、太田に井川、宍倉、山口が28分前半をマークしていますからね。27分台ランナー2人を有しているのは早稲田だけです。エース級に続く選手もタイムを伸ばし、10番手でも29分4秒となっており、タイムも28分32秒と非常にハイレベルです。これで3位というのが恐ろしい…


来年度は、2位ですから1つ順位を上げることになります。タイムも28分37秒であり、5秒しか下がらないことに。トップ10に入っているのは28分16秒を持つ宍倉だけですからね。10番手と11番手もほぼタイム差が無いため、持ちタイムのダウンも最小限です。さらに、まだタイムを伸ばせそうな選手も多いですね。


トップ10内では千明が未だに29分0秒がベストでここから一気にタイムを伸ばせるでしょうし、辻、小指ら3大駅伝で好走経験のある選手はいずれもトップ10圏外&28分台を出せる力はあるでしょう。さらに、5千で高校歴代2位のタイムを持つ伊藤はまだ1万は29分42秒ですし、どれだけタイムを伸ばせるかも楽しみです。タイムを見てもやはり来年度の早稲田は強いですよね。

3位:明治大学

今年度開始時点では6位でしたが、現時点では2位と4つ順位を上げてきました。タイムは32秒も更新し、28分31秒まで縮めています。来年度のトップ3はそのまま今年度のトップ3でもあり、平均タイムをいずれも30秒以上更新しています。明治は恐ろしいことに今年度トップ10全員が28分台の自己ベストを更新、というか28分台のベストを持つ15人全員が今年度のベストです。28分台ランナーの数は全大学最多ですし、1万mにおいて明治の大躍進が目立ちましたよね。


来年度は1つ順位を下げて3位ということになります。トップ10のうち小袖、長倉、村上、大保と4人が抜けることになりますし、最も持ちタイムの悪い大保でも28分40秒ですから当然タイムも下がりますよね。それでも、28分台はまだ10人残り、7秒しかダウンしないのが恐ろしいのですが。ただ、明治も駒澤と同様に主力どころが軒並み好タイムをマークしており、伸びしろとなるとかなり少ないかな。


現状、順当にトップ10に入ってきそうなのは箱根2区を2度走っている加藤くらいかな。一方で期待も大きいのは新入生ですね。5千で13分台のベストを持つ選手が尾崎、甲斐、新谷と3人おり、続く選手も実力者揃いで複数の選手がトップ10に入ってきてもおかしくないのでは。自己ベストはどんどん更新出来ていますし、全日本も結果を残したわけですから、後はハーフの距離である箱根で結果を残すだけですね。

4位:中央大学

今年度開始時点では28分51秒でトップだった中央、現時点では4位ということで3つ順位を下げています。タイムも16秒更新して28分35秒まで縮めてはいるのですが、上位3校の伸びが凄まじかったです。28分8秒を叩き出した吉居を筆頭に4人が28分30秒切り、10番手でも28分59秒をマークしてトップ10全員が自己ベスト、29分1桁のベストを持つ選手もズラッとそろうなどハイレベルな持ちタイムを持つチームとなりました。


来年度は現時点と変わらず4位、タイムは28分40秒ということでダウンは5秒に留まります。トップ10に入っている4年生は大森、三須と2人いますが、持ちタイムの抜けた上位4人は健在で10番手でも29分6秒をキープ出来ています。持ちタイム上位の大学に共通することですが、中央もここからタイムを伸ばすのは容易では無いですね。


箱根で好走している若林はトップ10圏外ですが、トラックよりもロードが強い印象ですし…むしろ、新たにトップ10に入るとすれば新入生かな。入学前に東海林、山平が早速1万で29分台のベストをマークしていますし、この数年は毎年楽しみな新入生が加わり、そして結果を残していますからね。後は、3大駅伝で結果を残すだけなのですが。。。

5位:青山学院大学

今年度開始時点では3位、現時点では6位ですから3つ順位を下げたことになります。28分44秒というタイムは決して悪くないですが、13秒しかタイムは縮められていないんですよね。28分台のベストを出す選手は多かったのですが、28分前半のベストはおらず、28分50秒台のベストが6人もいましたからね。29分1桁もズラッと揃い、選手層という点では凄いのですが、上位10人の平均タイムではそれほど伸びなかったかな。


来年度は5位ですから1つ順位を上げることになります。吉田、岩見、竹石の3人が抜けることになりますが、それでも来年度は28分台が10人揃いますからね。29分1桁も揃っていますし、選手層も引き続き厚いです。その一方で28分30秒切りは1人もいないんですよね。岸本、中村、飯田、佐藤ら主力どころはトップ10内でもまだタイムを伸ばせそうですし、28分30秒切りの人数も増やしていきたいところ。


そして、なんと言っても新入生ですよね。全大学を見渡しても最高と言われるスカウトであり、鶴川、若林、野村、太田ら13分台がすでに4人、ロードでの実績も豊富ですし、すぐにでも28分台ランナーが4人となってもおかしくはないかと。新入生を含めて来年度一気にタイムを伸ばしてくる可能性は十分です。

6位:順天堂大学

今年度開始時点では28分53秒で2位、現時点では7位ですから5つ順位を下げることとなりました。タイムとしては5秒しか縮められていないんですよね。28分台のベストを出す選手は何人もいましたし、12人が28分台ランナーとなっていますが、28分30秒切りとなると、1人もいないんですよね。これだけハイレベルになってくると、27分台や28分前半といった大きく稼ぐ選手が出てこないと、平均タイムは上がっていかないです。


来年度は6位ですから1つ順位を上げることに。28分51秒とわずかに3秒しかタイムが下がりません。チーム2番手の清水に原田と2人が抜けることとなりますが、28分台は引き続き9人残りますし、10番手でも29分6秒ですから、やはりレベルは高い。トップ10内の選手だと、エースの野村や石井はすでに28分台ですがまだまだタイムを縮められそうかなあ。


トップ10圏外では主力の西澤が28分台を出す力はあるでしょうし、エースの三浦はまだ1万を走っていませんからね。それだけでも大きな伸びしろとなりそう。さらに、新入生は早速入学前に浅井が29分11秒の好走を見せており、1人でも多くトップ10に入ってきて欲しいところ。

7位:東海大学

今年度開始時点では10位でしたが、現時点では5位ということで5つ順位を上げてきました。塩澤や名取らエースがタイムを伸ばしたことももちろんありますが、神薗、宇留田、濱地ら新戦力が28分台でベストをマークしたのも大きかったです。箱根後には新エースの石原も28分44秒をマークしていますし、28分台も9人揃えてきました。タイムも25秒縮めていますし、上々と言えるのでは。


来年度は7位なので2つ順位を落とすことになります。29分0秒と18秒もタイムを下げて29分台になることに。これは、言うまでもなくトップ3を占める塩澤、名取、西田が抜ける影響が大きいです。チームを牽引してきた3人の偉大さが持ちタイムからも伺えます。来年度は28分台が6人はまずまずですが、最も良いのが28分42秒を持つ神薗ですからね。タイムの伸びしろとしては来年度トップ8の中で最もありそうかなあ。


まず、エースの石原はここからさらに何十秒もベストを伸ばせるでしょうし、トップ10圏外に箱根経験者である松崎咲、竹村、長田、佐伯らがずらっと揃い、いずれも28分台で走ってもおかしくない選手たち。市村もまだ1万のベストは30分台ですし、13分台の選手が1万でも本格的にタイムを狙ったらと思うと期待は高まります。ここに徳丸、越を筆頭に持ちタイムの良い新入生が加わるわけですからね。徳丸は29分24秒、越は29分42秒をすでに有していますが、まだまだタイムを伸ばせるでしょうし、自己ベストラッシュを期待したいです。

8位:東京国際大学

今年度開始時点では4位でしたが、現時点では8位ということで4つ順位を落とすことになります。ただ、東国大も山梨学院や国士舘と同様に今年度途中から留学生を1人にしたことによる影響を受けています。ムセンビは28分20秒のベストを持っていますから、単純計算で6秒は平均が下がることに。それを考慮すれば13秒、しなければ7秒しかタイムを縮められていないんですよね。ヴィンセントの27分38秒に山谷、丹所がともに28分中盤のベストをマークしたのですが、続く選手がタイムを伸ばせなかっただけに、平均タイムはあまり伸びなかったですね。


来年度は8位ということで1つ順位を上げることになります。トップ10のうち、中島、内田ら4人が抜けることになるのでその影響は決して小さくはなく、タイムも29分4秒になって11秒下がるのですが、早速新入生の白井が29分25秒で8番手に入ってくる他、10番手も29分35秒ですからまずまずかなあ。29分30秒台の選手も揃っています。


ただ、トップ10圏外で明らかにタイムを持っていないという選手はおらず、一気にタイムを伸ばすとすれば、東国大史上最高スカウトとなった新入生ということになるかな。すでにトップ10の白井もまだ伸ばせそうですし、倉掛、佐藤ら持ちタイムがよく、勝負レースで結果を残している選手は期待も高まります。4年生が抜けて選手層が薄くなったところを、新入生が一気に穴を埋めてくれるのが理想かなあ。まずはタイムから伸ばしてくれれば。