第97回(2021年)箱根駅伝 4区振り返り ~区間賞:オニエゴ(山梨学院)~

続いては4区における各選手の走りを振り返っていきます。4区結果はこのようになっております。例年に比べると4区にエース級の起用が減ったように思えます。往路から戦力を投入というよりも、3区までに投入しないと厳しくなりますし、さらに5区にスペシャリストを有しているチーム以外はエース級の起用も多いですからね。

大学ごと

全日本の主要区間は今年度の場合は3,7,8区でしたが、そこに出場した選手を4区に起用してきた大学がかなり少なかったです。そんな中でも起用してきた大学が3校ありました。まず、最も重視したのは山梨学院大学、留学生のオニエゴを起用し、狙い通り区間賞を獲得しました。区間2位に34秒差をつける圧巻の走りでした。上級生になってからの成長ぶりが凄まじい。そんな走りを見せたものの、総合19位は変わらず(タイムは18位とタイ)というのが、いかに3区までに出遅れてしまったかも示しています。4区まで温存する余裕は無かったかな。


早稲田は鈴木を起用して区間3位、前半抑えて後半ペースアップする理想の走りで総合でも3位に浮上しました。早稲田は1区に井川というダブルエースに次ぐ存在を起用できたことで、2~4区を厚くすることが出来ましたから、ダブルエースがもう一歩だったものの、4区終了時で3位は良い展開だったでしょう。一方でもう1人走った城西の梶川は区間18位と苦戦…全日本8区も苦しみましたし、本戦となると力を発揮出来なかったなあ。


また、全日本で主要区間では無かったものの、4,5区といった繋ぎ区間を走った選手が4区に起用されるというケースも目立ちました。全日本5区でも並走した八千代松陰OBの佐藤(青学)、石井(順天)はここでも同じ区間、今回は並走こそありませんでしたが、佐藤が区間4位、石井が区間5位と順位は並ぶことに…それでも石井に上を譲らないのがさすが佐藤…


それでも、区間賞も期待された選手なだけに区間4位は本人もちょっと物足りなそうでしたね。まあ、前と1分離れていてずっと単独走を強いられましたし、仕方ない部分もあるかなあ。石井は全日本に続いてここでも区間5位、予選会だけではなく本戦でも安定した走りを見せ続ける選手、頼もしい限りです。佐藤を上回る走りも期待したいですね。


全日本5区2位と好走していた酒井はここでまさかの区間11位タイに沈むことに…全区間において最も誤算だったのは1区でも2区でもなく、この4区だったと思っています。トップと1分54秒差、総合トップとなる創価にも1分20秒もの大差をつけられていますし、その後が苦しくなってしまったかなあ。5区10位だった日体大の福住は区間17位と苦しい走り…総合11位に下がり、さらに総合10位とも逆に1分差をつけられる展開になってしまいました。


全日本4区を走った選手では…明治の櫛田はここで区間7位と反撃の走り、櫛田はどんな状況でも落ち着いた走りを見せてくれるのが頼もしいですね。爆発的な走りを見せるわけではないですが、崩れないのは駅伝において安心感を与えてくれます。東国大の宗像は区間13位とまずまずの走りだったかな。すでに往路を任せられるほどの力をつけているとは…2年生世代、今後が益々楽しみです。


國學院の主力である河東が区間15位だったのは國學院にとって痛かったなあ。28分25秒のベストをマークしている選手ですからねえ。総合でも12位にとどまり、この時点でちょっとシードが不安になる状況に…全日本→箱根に出場した14校中7校が全日本4or5区→箱根4区というルートとなりました。今後もこのパターンはあり得そうかな。


トップ争いもここでは大きく変動を遂げています。トップだった東海はここで佐伯が痛恨の区間19位に沈み、1→6位に後退してしまうことに。3本柱+石原ともう1人起用される選手が重要だと思っていましたが、ルーキーの佐伯にはちょっと厳しかったかなあ。本来であれば1区市村を考えていたということで、市村が故障で走れなかったしわ寄せが4区にきてしまいました。


その一方でトップに浮上したのが創価の嶋津、箱根10区区間記録保持者は往路でも圧倒的な走りを見せ、総合2位に1分41秒もの大差をつけることに成功しました。5区に山登りのスペシャリストを残しており、往路優勝がかなり現実味を帯びることに。3区まで好位置につけていた東洋はここでも吉川が区間6位と安定した走り、故障も多かったですが箱根は4年連続出場なんですよね。総合でも5位につけています。


出遅れた中央は三須が区間8位で初の1桁順位区間に。4年になって更に力をつけ、出遅れた中で往路1桁順位はさすがの走りでした。帝京は全日本に出場していない中村が区間9位とまずまずの走り、前回も7区9位で走っていますし、中村も計算出来る貴重な選手です。神奈川は西方が区間10位とこちらも良い走りを見せましたね。総合では9位とずっとシード圏内をキープ、1~4区を上級生に託し、揃って結果を残しました。


法政の清家が区間11位タイ、ちょっと万全では無かったようで…希望していた5区ではなく、平地の4区でしたが前回9区7位で走っている主力の1人であることを考えると、本来ではもっと走って欲しいですからね。国士舘の木榑は区間14位、まずまずの走りと言って良いかな。2年連続箱根予選も100位前後で走っていますし、国士舘ではかなり安定している選手です。


拓殖の佐藤が区間16位、3大駅伝・予選会は未経験ながら1万で29分18秒まで伸ばし、4区出場を勝ち取りましたが、初の箱根はもう一歩という走りになってしまいました。専修の国増は区間最下位…19位とも1分47秒もの大差をつけられてしまいました。これはさすがに離されすぎですよね…繰り上げも不安になるほどでした。関東連合の中山は区間18位相当、強化を始めた立教大学のルーキーがまずは箱根を経験…チームとしての出場もそう遠くは無いかもしれません。

総評

往路優勝争いにおいて明確に良し悪しが分かれる区間となりました。最高の走りを見せた創価が後続を大きく離してトップに立つ一方、駒澤が二桁順位、東海が区間19位で後退してしまうことに。その結果、総合2位の駒澤から総合8位の帝京までわずか1分2秒差にひしめくこととなりました。最もタイム差がつきやすい5区を前にここで優勝争いに加われるか、シード争いに残れるか、非常に5区を走る選手が大事になってきましたね。


4区終了時でトップ10圏外でシードを獲得したのは12位だった國學院のみ、往路も4区間走るとさすがにシード圏外から巻き返すのは難しいことが分かります。5区終了時ではまたシード圏外にはじき出される大学が増えることとなるのですが・・・また、総合13位の拓殖から総合19位の山梨学院まではわずか40秒となっており、2位争い同様にこちらの争いも熾烈だったんですよね。


3区までに遅れた大学が4区で巻き返し、3区まで良かった大学が4区で苦しんだこともあり、上位も下位もかなりまとまった状況でいよいよ5区を迎えることとなりました。ここまでどの区間も計算通りと言える走りを見せていたのは、トップの創価、5位の東洋、9位だった神奈川あたりだったかなあ。一方で大きな誤算だったのは青山学院、明治、中央といった優勝や3位以内を狙っていた大学…特に中央が4区終了時で総合18位とは全く想像も出来ませんでした。

陸マガ5月号が4月14日に発売されます。長距離としては、HONDA特集(青木、伊藤、土方)が気になるところ。確かに3人とも実業団1年目の大活躍ぶりが印象深いです。


陸上競技マガジン 2021年 05 月号 [別冊付録:全国陸上競技カレンダー]