選手特集(20卒) 早稲田大学:太田 智樹 ~箱根シード落ちからの逆襲へ欠かせないエース~

2020年2月2日

4年生特集、これが最後になるかもしれません。早稲田大学の太田 智樹について、これまでの走りを振り返っていきます。中学時代からトップクラスの活躍を見せ、それを高校・大学と続けるのは容易では無いですが、それを達成している数少ない選手です。

中学・高校時代

静岡の浜松浜名中学時代、全中では1500mこそ決勝に進出して4分13秒と13位に終わっていますが、メイン種目である3000mでは、予選を8分54秒で2位通過すると、決勝では8分31秒をマークして優勝を果たしています。


さらに、ジュニアオリンピック3000mでは8分22秒という当時中学歴代2位の好タイムをマークして2冠を達成、名実ともにトラック長距離の王者となりました。ロードでは、都道府県対抗に2区で出場、8分32秒の区間2位と区間賞こそなりませんでしたが、中学時代に残した実績は間違いなく世代トップと呼ぶにふさわしいものでした。


浜松日体高校に進学しますが、実は都大路には3年間1度も出場出来ていないんですよね。当時は加藤学園が3年連続で都大路に進んでいました。2つ上に青学の下田、1つ上に日体の室伏、同学年に順大の藤曲、神奈川の荻野、1つ下に帝京の小野寺と実力者揃いですから、都大路への道は険しいです。しかし、その一方で都道府県対抗には3年連続で出場していることが、太田の強さを物語ってもいますね。


1年時は4区を任されて27位に終わっていますが、2年時は1区4位、3年時は1区7位と2年連続1桁順位で走っており、2年時以降は再び高校トップクラスの選手として活躍することとなりました。


トラックでは、高1で国体3000mに出場、予選を8分29秒の5位で通過すると、決勝では8分28秒の5位という結果でした。もちろん、決して悪い走りでは無いのですが世代トップランナーとしては、高1で伸びてきた選手たちに複数やられてしまったのはちょっと残念でしたね。


高2はインターハイ、国体のいずれにも出場していませんが、高3のインターハイでは予選1組で14分36秒の4位通過を果たすと、決勝では14分5秒と高校ベストとなるタイムを叩き出して6位入賞を果たしています。国体でも14分12秒で5位入賞とダブル入賞、トラックでもトップクラスの走りを連発しました。

大学1年

1年目の出雲は出場していませんが、全日本では7区を任されて3大駅伝デビュー、3位と上々のデビュー戦となりました。トップで襷を受けてその順位を守っていますし、最終的にチームも2位に入っています。上尾ハーフでも早速62分48秒の好タイムをマーク、このタイムは現時点でも大学ベストとなっています。


ハーフでの好走を経て、箱根でも8区に出場しましたが、ここではトップと4分11秒差の区間14位とほろ苦い箱根デビューとなってしまいました。1年目は任される区間もまだつなぎ区間ですし、チーム内では目立った存在では無かったですね。。。

大学2年

飛躍を果たしたのは2年時、関東インカレでは1万mに出場し29分17秒で9位、入賞にはあと一歩届きませんでしたが、見事な走りを見せました。日本インカレでも1万mに出場して7位入賞とトラックではまず1万mで存在感を高めてきましたね。


3大駅伝では、出雲で1区と初の主要区間を任されることに。ここではトップと38秒差の区間7位ということでもう一歩という走りでしたね…チームも9位に終わっています。素晴らしい走りを見せたのは全日本でした。再び1区を任されると、最後まで区間賞争いに加わる走りを披露、ラストこそ一歩及びませんでしたがトップとわずか4秒差の区間3位でチームも最高のスタートを切りました。


勢いそのままに箱根では早くもエース区間の2区を任されることに。すると、ここで68分4秒、トップと49秒差の区間6位というエースに相応しい見事な走り、総合順位も11→6位と5つ上げてきました。1年時はつなぎ区間で苦戦していたのが、2年目にはエース区間で好走とあっという間にトップクラスの仲間入りを果たしました。

大学3年

4月には1万mで28分56秒と大学ベストとなるタイムをマーク、さらに5千では14分0秒でこちらも当時の自己ベストを更新、トラックシーズンから好調を維持しました。関東インカレでは、1万mこそ29分34秒の15位に終わりましたが、5千では14分12秒で7位入賞を果たしています。


まさに充実のトラックシーズンとなり、3大駅伝でも引き続きエースとしての活躍が期待されたのですが…ここで故障に悩まされてしまうことに。出雲、全日本はいずれもエントリーこそされたものの出場することは出来ませんでした。エースを欠いたチームは出雲10位、全日本では15位と惨敗を喫してしまうことに…


何とか箱根には間に合わせ、2年連続の2区を任されましたが、故障明けにはあまりにも厳しい区間でした…ここで区間21位とまさかの順位に沈んでしまい、4→18位と14も順位を落としてしまうことに。チームはその後1度もシード圏内に浮上することは出来ず、総合12位でシード落ちとなってしまいました。駅伝シーズンとトラックシーズンの落差が激しすぎましたよね…故障に泣かされる結果となりました。

大学4年

そして迎えた最終学年、華麗な復活を見せてくれました。5千で13分58秒と大学ベストとなるタイムを4月に叩き出すと、5千では14分17秒の14位に終わっていますが、1万mでは29分1秒で6位入賞、これで2年連続の関東インカレ入賞を果たしました。太田の復活はチームにとっても待ち望んでいましたし、やはり頼もしい存在ですよね。


全日本予選では、最終組を任されると1人果敢に留学生のハイペースの集団についていくことに。さすがにそのペースからは遅れてしまいましたが、そのままずるずると下がることは無く、29分2秒で組11位できっちりとまとめ、チームの3位通過に貢献しました。


他の箱根予選に出場する有力校と同様に、箱根予選→全日本を連続でこなすハードスケジュールで臨むこととなります。箱根予選ではもちろん大きな貯金を期待したいところですよね。久しぶりの箱根予選という不安要素はありますが、太田は当然フリーで日本人トップの集団についていくでしょうし、しっかりとエースの走りを見せてくれれば。チームもトップ通過を狙える大学の1校ですし、まずは確実に上位での予選突破を果たしたいところ。


全日本は連戦となるだけに、距離の短い1区か2区が良いのかなあ。2年前の全日本では距離が違いますが1区で好走していますし、エース級以外が走る1区は最近も出遅れているだけに、太田ならば安心して任せられそうですね。


箱根では個人的には3年連続でエース区間の2区を走ってほしいですね。しっかりと練習を積むことが出来れば、結果を残せることは2年前に証明していますし、前回の走りはあまりにも悔しすぎましたからね。箱根で1年でのシード返り咲き、そして上位を狙うチームにおいても、2区を2度走った経験のある太田の存在は大きなものですし、3大駅伝・予選会の全てで前年度の悔しさを晴らすような圧巻の走りを見せてほしいです!!!



箱根予選では積極的に日本人先頭集団についていき、終盤はやや離されましたが、チームトップの16位とエースの役目は果たしました。その一方で、チームとしては苦しい走りが続き、トップ通過候補の1校と言われていたのが、9位と薄氷を踏む通過となりました。それでも、全日本ではきっちりと切り替えて、太田智も2区4位と好走を見せてチームのシード獲得に貢献すると、箱根でも2区6位という前回の悔しさを晴らす見事な走り、箱根でもシード返り咲きを果たしました。太田智の復活とともにチームも復活を遂げてきたという印象ですね。


卒業後はトヨタに進むこととなります。國學院の青木、法政の佐藤という実力者が同期となりますね。ニューイヤー駅伝でも2位となり、優勝を狙える戦力を有しているトヨタ、選手層の厚さは全実業団の中でもトップクラスを誇ります。そんなハイレベルな環境の中で、太田智もさらに力を蓄えて、実業団でも活躍を見せてほしいです!!

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