初心者向け特集 ~出雲駅伝の紹介~

2014年8月6日

3大駅伝とは出雲・全日本・箱根であるという話をしましたが、今回は主に出雲駅伝について紹介していきます。距離は44.5kmと3大駅伝の中でも最短であり、6区間というのも最小区間となります。箱根駅伝は往路・復路合わせて217.9kmもありますから、その5分の1程度ということになります。2時間10分前後とマラソン並の時間で優勝が決まるため、箱根駅伝を見ている人からすると、あっという間に終わってしまう感じですね。

 

 

出雲の6区間は1区:8.0km→2区:5.8km→3区:7.9km→4区:6.2km→5区:6.4km→6区:10.2kmとなっており、出雲大社をスタートして出雲ドームを目指します。駅伝では一般的に主要区間と繫ぎ区間と呼ばれる区間があり、主要区間=距離が長い、レースのポイントになる区間などチームでも力のある選手が走ることが多い区間、繫ぎ区間=距離が短い、重要度の低い区間でルーキーやチームでも力の劣る選手が走ることが多いです。

 

 

出雲の場合、大きなアップダウンもなく区間ごとの特性に大きな差はないため、距離が長いトップ3である1区、3区、6区が主要区間、2区、4区、5区が繫ぎ区間と呼ばれています。なので、3本柱が揃っているチームが有利と言われていますね。前回優勝した駒澤大学は全大学を見回してもトップクラスに入るような選手が3人揃っており、その3人をそのまま1,3,6区に配置し、大会記録を30秒も更新する圧勝でした。一方、前々回優勝の青山学院大学は2本柱と言われていましたが、その二人を3,6区に配置し、1区は向かい風でペースが上がらなかったこともあって差がつかなかったため、1区で出遅れなかったのが大きかったです。わずか6区間ですが、様々な戦略が見て取れます。

 

 

6区が最長区間のため、一番強い選手を6区に配置すればいいのでは?と思われがちですが実際にそう単純ではありません。駅伝では、区間順位が総合順位(チームの順位)に近づく傾向があります。つまり、トップを走っている選手は各々の区間に限っても上位で走ることが多く、逆に下位に沈んでいるチームは、その区間の中では上位の実力がある選手が走っても、下位に沈んでしまうことが多いんです。6区にエースを配置してしまうと、その選手が順位をあげたとしても、そのままゴールなので、順位アップによる次走者への恩恵はありません。

 

 

特に、トップを走っているとトップ効果と言われるほど力を発揮することが多いです。物理的にいえば、先頭には中継車が常に付いているため、特に向かい風ではその中継車が風を遮ってくれるため、走りやすくなります。精神的にいえば、トップを走っている選手は無理をする必要が無いため、安全運転で走ることが可能です。一般的には、前半は無理をせずにペースを抑えめにして走り、後半にペースを上げるのが、リターンに対してリスクも少なめと言われており、トップを走る選手はこの走り方をすることも多いです。一方、前を追っていかなければいけない2位以下のチームは、どうしても前半突っ込んで入らざるを得ません。しかし、その分後半にペースダウンをすることも多く、前半はトップとの差が縮まったものの、後半に差を広げられてトータルでは結局差が開いていたということは良くあります。

 

 

近年の駅伝では特に序盤にトップに立った大学がそのまま逃げ切ることも多く、1区に有力選手を持ってくることも多いです。1区でトップにたち、そのまま逃げ切ろうという戦略は比較的有効になってきました。実際、過去には11度も最終の6区で逆転があり、「逆転の出雲」とも呼ばれる出雲駅伝ですが、過去4大会は最終区にトップでタスキを渡したチームが優勝しています。じゃあ1区に強い選手を配置すればいいのでは?という考えもありますが、これまたそう単純ではありません。

 

1区は唯一全員同時スタートとなる区間であり、さらに出雲は距離が短いため出遅れが厳禁の駅伝です。その結果、1区はスローペースになることも多いのです。1区で集団から抜け出し、1人でペースを作っていくのは力のある選手でも容易ではありません。駅伝に限らず、トラックでも先頭を走るよりも前を走る選手についていったほうが走りやすいことが多いのです。その結果、誰も先頭を走らたがらずにスローペースになり、ほとんどラストスパートの差だけで1区の順位が決まるなんてこともあります。こうなると、1区でエースを使った大学は大失敗です。他の区間であれば他大学に対してもっと差をつけられていたはずなのに、1区に起用したことによって明らかに力が下の選手とほとんど差がつかなかったなんてことは良くありますからね。

 

このように様々な要素を考慮しながら、区間配置を予想するのも駅伝の醍醐味です。駅伝は大好きだけど、区間配置の予想には興味がないという人は殆どいないかと・・・私の場合、実際に駅伝を見ている間よりも、その前に色々と妄想しながら区間配置予想をする方が楽しかったりしますからね(笑)始まってしまうと、ああ、後数時間後には終わっちゃうんだと寂しくなったりします・・・ちなみに、出雲駅伝の場合、エントリーは10人、その中から6人が選ばれて実際に走ることになります。10人から6人を順番を決めた選ぶパターン数は10P6=10×9×8×7×6×5=151,200通りもありますからねー。各選手の実力や今までに残したきた実績からある程度予想することは出来ますが、それでもずばり当てるのは至難の業です。私のHPでも、3大駅伝のエントリー発表が行われると、各大学ごとの区間配置予想、総合順位予想をするページを用意してますので、是非投票してみてください~。他の方の予想を見るのも楽しいですよー♪