第97回(2021年)箱根駅伝 ~シード争い展望~

区間エントリーが昨日発表され、箱根駅伝まで後3日に迫ってきました。今日はシード争いの展望について書いていきます。前回も10区までシード争いが繰り広げられましたが、往路でシード圏外だった大学でシードを獲したのは、11位で復路に選手を残していた東洋大学のみ、2年前は往路でシード圏内の大学が全てシードを獲得しており、往路でシード圏内に入らないと、そこからの逆転は極めて困難になります。


今大会は3強とも4強とも5強とも呼ばれていますが、青学、東海、駒澤、明治、早稲田の5校は優勝争いに絡めない大学が何校か出たとしてもさすがにシードを落とすことは無いのかなあという印象です。順位予想でもこの5校がトップ5を占めていて、6位の帝京とも大差となっています。残る15校について、シードの可能性について考察していきます。

國學院大學

前年度はシード確実どころか上位進出も十分狙えると思っていましたが、その最高峰であった3位にまでたどり着きました。今年度は前年度よりも戦力ダウンが否めないこと、そして全日本が振るわなかったことがちょっと気になります。藤木、中西大というエース格に殿地、島崎という山で計算できるであろう選手たち、河東、木付、臼井ら主力どころと選手は揃っています。


ただ今年度に限って言えば、持ちタイムこそ28分30秒切りが4人など多くの選手が好タイムをマークしていますが、全日本で区間5位以内で走ったのは1区4位の島崎のみ、崩れる区間もなかったですが、稼ぐ区間も無かったんですよね。箱根には合わせてシードは獲得するとは思いますが、前回に比べて不安要素は多いかなあと。順位予想では9位とも11位とも大きく離れた10位となっており、まさにシードボーダーという予想です。

帝京大学

5強以外で最も力のあるのは帝京大学ということになりそうかな。前回と同じ1~3区で前回は3区終了時で4位、今回も遠藤が万全であれば前回以上の順位も期待できそうです。山はまだ未知数ではありますが、5区細谷にはかなり自信をもっていそう。前回は区間18位だっただけに、ここで順位を大きく上げられれば大きいです。復路は8区鳥飼、9区橋本、10区増田がそのままの出場となれば非常に強力です。


全日本は7位に留まったのはやや気になるところですが…前回も全日本8位とギリギリのシード獲得から、箱根では4位と過去最高順位に到達してきました。元々帝京は全日本を苦手としていますし、箱根で前回好走している選手を複数抱えていることを考えると、正直シード争いには巻き込まれたくないですよね。現時点の順位予想では6位となっていますし、3年連続で5位以内を達成する可能性も十分あるかなあと。

東京国際大学

前回の箱根シード校の中で、最も戦力的に厳しいと思われているのがこの東京国際大学でしょう。前回の2区2位の大エース伊藤、9区3位の相澤を始め卒業した伊藤世代5人が区間10位以内の好走、山も経験者はエントリーされませんでした。それだけでも厳しいのに、日本人エースの1人である山谷を欠いてしまったことがさらに評価を厳しくすることに。


区間配置は佐伯、ヴィンセント、丹所、芳賀というチームの主力4人が揃って補欠に回っていますので、正直予想はしづらいですね。山谷を外している時点で他に不調者や故障者などはさすがにいないと思いますが、往路・復路ともに戦力不足は否めないかなあ。ヴィンセントの走る区間は圧倒的でしょうが、2区にムセンビがエントリーされているのも気になりますし、個人的にはシード争いに加わるのは難しいのかなあという印象です。皆さんの順位予想でも現時点で15位とやはり厳しい評価となっています。

創価大学

箱根シード校の中では、東京国際に続いてシードが難しいかもと思われている大学かなあという印象です。ただ、1区福田、2区ムルワは前回以上のスタートダッシュが期待されますし、3~5区も順当な当日変更であれば、往路は前回と同様に7位あたりでまとめてきても決しておかしくないです。復路も6区、9区には自信があるようですし、往路を走れる選手を復路に回せるだけの選手層もあります。


他のシード有力校が選手が揃いすぎていることもあって、どうしても創価の評価は低くなりがちです。実際、皆さんの順位予想を見ても10位とは大きく離され、12位に近い11位となっています。今年度は3大駅伝・予選会に出場していないというのもマイナス要素ではありますが…創価は前回同様にまたしぶとくシードを獲得してくる可能性は十分にあると思うんですよね。

東洋大学

1区児玉、2区松山のままだとすると、2区終了時は正直かなり不安です。児玉も力はありますがエース級も揃う1区はさすがに…という気がしますし、松山2区はもちろん楽しみなのですが、全日本の走りを見てもいきなりの爆走は難しそう。東洋のルーキーでは啓太が好走していますが、啓太は全日本の当時主要区間だった1区で区間賞を獲得している選手ですから。松山も高校時代の実績は抜群ですが、さすがに荷が重いのでは…2区終了時でシードラインからかなり離される可能性もあります。


その分、調子を上げているという4区吉川に5区宮下は強力ですし、3区に西山となれば3区以降で一気に巻き返すことは十分に可能。大澤や前田らも復路に残すことは出来そうですし、蝦夷森や腰塚ら既に復路にエントリーされている選手も力はありますし、東洋も2年連続でシード争いに巻き込まれるわけにはいきませんし、復活を印象づけるためにも最低5位以内には入ってきたいところですよね。それだけの力はあると思いますし。

順天堂大学

箱根予選会校の中では、中央と並んで最もシードが近い大学です。箱根予選で圧巻のトップ通過、その2週間後に行われた全日本でもシードを獲得とすでにシード校に負けない走りを披露しています。区間エントリーを見ても、1区三浦、2区野村というダブルエースを前半から並べる納得の布陣、三浦は箱根予選日本人トップ、全日本1区区間賞となると、箱根でも1区区間賞を期待したくなりますよね。


監督も5区は自信を持っているようですし、全日本で苦しんだ3区伊豫田に一抹の不安はありますが、アクシデントもあってのことでしたし、3区に起用されるなら心配はいらないのかな。復路は誰が当日変更になるのか分からないほど選手が揃っていますし、10区間の総合力はシード校にも全く引けを取らないですよね。これだけの選手を抱えているとなると、箱根でもシードは有力視されるのも当然かと。山にやや不安は残り、絶対的に稼げる区間があるかというと、最も差がつきにくい1区三浦くらいかなというのはちょっと気になりますが…順位予想でも7位と予選会校で最も評価が高くなっています。

中央大学

1,3区に吉居、三浦が入れば2区森、4区池田、5区畝とおそらくファンも考える理想的な布陣と言えるのではないでしょうか。トリプルエースと言われる吉居、森、三浦に4区を2度走っている池田、5区を2度走っている畝と経験豊富な4年生が往路をまとめます。往路をなかなか好位置で終えることができない中央ですが、これだけの選手が揃えばさすがに心配はいらないかと。


復路も6区若林と計算できる選手が残っているのがまず大きく、中澤、手島、加井といったエントリーされている選手も強力ですが、補欠にも川崎、三須、千守と往路を経験している選手を起用できるという層の厚さ。なかなかシードを獲得できていない中央ですが、さすがにこの強大な戦力を有してシード圏外というのは余程のことがない限りは心配不要かなと。順位予想では6位とそれほど差がない9位となっています。

城西大学

1区砂岡、2区菊地はまさに盤石、箱根予選でも全日本でも好走している二人ですし、箱根でも当然のように好走してくれることでしょう。往路が予想される菅原もしっかりと走ってくれるでしょうから、残る往路の区間、そして復路をどれだけまとめられるかにかかっています。山は現在エントリーされているとおり、どちらもルーキーに託すのかなあ。確かに今後が楽しみな選手たちですが、箱根予選を見てもさすがにここを中位以上で凌ぐ力はないと思うのですが・・・


復路は現時点で全て下級生がエントリーされており、ここに梶川、貴田、雲井、宮下といった上級生が複数当日変更になるかとは思いますが、シード争いに加わるのは容易ではないかなあと。前回は箱根出場していないわけですし、集団で走る箱根予選とは違う難しさがありますからね。また、ルーキーが多いことも不安材料の一つ…皆さんの順位予想でも14位となっており、私も箱根予選順位である13位であれば上出来なのかなあという気がしています。

神奈川大学

かなり予想外のエントリーかなあ。5区に北崎、6区に宇津野と特に山が意外…このまま出場し、適性があれば面白そうですが果たして?往路は1区呑村、3区川口が楽しみで、井手や西方らが揃うであろう往路は十分に戦えそうです。ただ、実力者が揃っていても往路で1,2区間は大きく崩れてしまう区間が出てしまうんですよね。一気に巻き返すことは難しいだけに、いかに崩れる区間をなくすかが大事になります。


往路で離されると、復路は区間中位で凌いでもなかなか順位を上げられず、往路同様に大きく沈む区間が出てきて総合15位前後でのフィニッシュが最近のパターン…今回は安田、横澤ら3年生にルーキーの佐々木、高橋らも控え、復路は十分戦えそうかなと思います。それだけに往路でシードラインから離されなければ楽しみなのですが、それがこれまでずっと果たせていないのはやはり不安ですよね。チャンスはあると思うのですが…順位予想では13位となっており、やはりシードは少し難しいという感じかなあ。

国士舘大学

1区のルーキー山本がどれだけ食らいつけるかがまず国士舘の命運を握ります。1区を中位で粘れれば2区には大エースのヴィンセントが控えていますからね。逆にここでシード権と大きく離されてしまうと、2区終了時でもシード圏外のままで3区以降も苦戦という前回と同じ流れになってしまいます。前回は3区間で区間19位以下でしたが、1,3,5区と往路に揃ってしまったんですよね。


山本は1区に自信があるようですし、3区の長谷川も前回の雪辱を期しています。5区孝田は10区14位と前回も悪くない走りをしていますし、往路は5区間全てで前回を上回る走りも期待出来そうかなあ。復路も6区曽根がいれば出遅れる心配はないですし、木榑、清水拓ら往路や復路を任せられる選手もいます。前回の総合19位からはグッと順位を上げてくるのでは?それでもシード争いをするにはまだまだ総合力としては足りないかなあ。。。順位予想では17位となっており、個人的にも15位ならば上出来かなあと。

日本体育大学

1,2区に藤本、池田とダブルエースを起用してきました。藤本を起用するのであれば1区は上位できてほしいところですし、2区の池田は日本選手権でも27分台の好走と最も心配のいらない区間。2区終了時で好位置につける可能性は十分ありそう。1区藤本で出遅れたらもはやどうしようもないですから。3区岩室も万全であれば、中位以上で粘ってくれるかなあ。となると、4,5区が誰が走るのか、どれだけの走りを見せられるのかが大事になりそう。村越は上りに自信があるようですし、福住との5区争いも楽しみ。4区は大内宏かと個人的には思っていますが、準エース区間の走りにも注目です。


復路は4年生が基本になることは間違いなく、5人とも4年生でも驚きはしないですね。6区は菅沼が適性ありなら面白そうです。7区以降は箱根経験者が並ぶことになりそうですし、経験という点では何も心配いらないのですが、その一方で好走経験となると、ほとんどいないのが最大の不安要素かなあ。前回は9区間がいずれも区間13位以下というなかなかの壊滅ぶりだったので…順位予想では12位となっており、個人的には高めかなあという印象。前回の17位からは上げてくるとしてもシード争いに加わるのはなかなかに難しそう。

山梨学院大学

山梨学院も1区はルーキーの新本に託すことになるのかな?1区候補の瀬戸は4区でしたし…新本ならばどれだけ食らいつけるのか…2区森山も万全であればエース区間で戦えるはずですし、2区森山、4区瀬戸ならば3区はオニエゴとなるはず…往路を戦えそうな戦力となってきているだけに、1区新本同様に5区星野かまたは他の5区を走る選手もチームの鍵を握ることになるかと。


往路が3区のみの当日変更であれば、復路は坪井や松倉を残せるのはちょっと楽しみになりますよね。9,10区を遠藤、渡邊がそのまま走るのであれば、シードを目指して終盤の2区間にも選手を残しているのかなあと。その一方で、箱根は過去3大会で総合17位以下、前回はそもそも出場すら出来ずと結果を残せていないんですよね。1,5区に復路を揃って崩れないのは非常に難しいでしょうし、まずはその17位を上回るのが現実的な目標になるのかなあ。順位予想も16位となっており、個人的にもそのくらいかなあと思っています。

法政大学

区間配置がびっくりだった大学の1校です。1区、2区は松本、鎌田なのかなあと思ったら、2区に河田、3区に松本とは…まず、往路だと思っている鎌田、清家、川上がどのような区間配置になるのかが気になります。最も出遅れないためには、1区鎌田でしょうが…2区河田が復調していて、エース区間を任せても問題無いほどの状態になっていれば、2区終了時で前回のように下位に沈むことは無いはず…


あとは、4区川上、5区清家が無難だとは思うのですが…4年前には細川という5区経験のある実力者を7区に残し、4年の生澤が区間10位で粘ったことがシードに繋がりました。今回も例えば清家を4区で古海が5区という布陣もあり得るのかな?復路も4年生が多くエントリーされていますが、久納、中園、稲毛らの起用も考えられ、何人走るかも注目です。ただ、シード争いに絡めるかと言われると、現状の戦力では正直厳しいですよね。往路で粘り、山で爆発的な走りを再現できれば分からないですが…順位予想は19位とかなり厳しめ…そこまで下がることは無いと思いますが、前回の15位を上回れば上出来かなあ。

拓殖大学

最も気になる区間配置だったのは拓殖かなあ。2区ラジニでは無いのに、2区にエントリーされているのがラジニに次ぐ選手と目される吉原というのは一体…戦略上の理由であれば良いですが、前回区間2位タイで走っているラジニを外す理由となると、吉原かラジニが出場出来ないくらいしか思いつかない。。。1区合田、2区吉原ならばともに28分台のベストを持つとはいえ、2区終了時はかなり下位に沈む可能性が高そうですし。さらに、5区石川が当日変更で入るのかも不安要素の1つで、往路はかなり厳しい戦いを強いられそうです。


復路は6区児玉、7区桐山と往路を走れる主力を起用、工藤、佐々木、吉村と復路を走れる2年生も補欠に揃っていますし、当日変更も気になるところです。例年は往路順位よりも総合順位を下げることが多いですが、今回の区間配置を見ると復路よりも往路のほうが心配になってしまうかなあ。なかなか、往路も復路も選手を揃えるのは難しいですよね。順位予想は18位となっており、厳しい評価…私も今回は相当厳しい戦いになると思います。

専修大学

1区高瀬、2区木村の二人はチームの2トップでしょうし、どれだけ他大学に通用するか楽しみです。まだ下級生ですし、今後につなげる意味でも…今回は1~8区が全て下級生がエントリーされており、ここにどれだけ上級生が絡んでくるかですね。茅野の往路起用は確実かと思いますが、他にも大石、金久保、佐々木と往路を担える上級生が揃っています。


上記の選手から往路を走らなかった選手が復路に当日変更で回ってくることになるのかな。復路で気になるのは9区辻、10区南美空翔かなあ。このまま出場するかはわかりませんが、1,2年生がチームの中心になっていくとは思いますが、上級生の意地の走りをラスト2区間は見せてほしいなあと。ただ、シード争いはさすがに難しいですよね。順位予想でも20位となっており、私も余程のことがない限りは最下位の可能性が高いと思ってしまいます。

シード予想

今まで当たった試しが無いですが、シードを獲得する10校を予想してみます。おそらく普通に予想するならば、青学、東海、駒澤、明治、早稲田の5校に國學院、帝京、東洋という箱根シード校、そして予選会校から順大、中央という予選1,2位校が新たにシードに入り、東国大と創価がシード圏外にはじき出されてしまうのではということになるんですよね。


これは順位予想を見ても顕著で、圧倒的にこの10校が抜けています。ただその中でも個人的に不安なのが國學院であり、個人的に最も期待しているのが創価なんですよね~タイムを伸ばしたとしても、國學院の強さを象徴していたのは浦野、土方、青木らがいたからなのかなあと。抜けた翌年度は藤木・中西大が走る区間以外は往路がちょっと厳しいのかなと。2区土方、3区青木、5区浦野という布陣の安心感は半端なかったですからね。そこに藤木、中西大がいた前年度はまさに最強の布陣。


創価は留学生のムルワが力のあるところを見せており、往路、復路ともに大きく崩れることは無さそう。1区福田もかなり安心感があります。ただ、國學院よりも戦力として上かと言われると、そうとは思えないのが正直なところです。さすがにシードが予想される10校がいずれも崩れずに走るとは思えず、1校くらいはシード圏外に下がる可能性が高いと予想。その場合に、割って入ってきそうな大学のうち、最も有力なのが創価であり、最も不安なのが國學院かなあと。


というわけで、前回のシード校からは國學院、東国大がシード落ち、予選会校からは順大、中央がシード入りと予想しておきます。箱根は毎年予想外の大学が1校はシードに入ってくる印象がありますので、今回も箱根予選下位からの通過があったりもするのかなあ?予選と本戦は別物ですし、シード有力と思われる大学がシード落ちすることも当然のようにあります。


そしてひとたびシードを逃してしまえば、2019年箱根11位の中央が次の箱根予選で10位、12位の早稲田が9位と薄氷を踏む通過、2020年箱根11位の中央学院が次の箱根予選で12位とまさかの予選落ち。シードを逃してしまえば、あと一歩届かずの11位であっても予選落ちの可能性があるのが今の箱根駅伝予選会です。10校しか無いシード権、各大学ともに悔いのない走りを見せてくれれば。そして、最後まで分からないハイレベルなシード争いを期待したいです!!

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