第96回(2020年) レース結果 ~区間新連発の高速往路を制したのはミスの無かった青学~

箱根駅伝の往路が終わりました。往路が終わると、復路もあっという間ですね。全大学に希望がある往路開始前から、現実を見なければいけない復路開始前という… 往路公式結果(PDF)はこのようになっております。大学ごとに往路の走りを簡単に振り返ります。

1位:青山学院大学

1区吉田圭は奇策かと思いましたが、区間7位もトップと18秒差の7位と上々の位置、2区に抜擢された岸本はいきなり67分3秒とルーキーの歴代最高タイムを約1分更新する圧巻の走り、3区鈴木も区間記録に迫る走りで区間4位と好走を続けると、4区の吉田祐が区間新記録という圧巻の走りで再びトップに立つことに。前回樹立した相澤の記録をあっさりと上回ってしまいました。こんな選手が4年目にして箱根初出場で競技を終えるという恐ろしさ…


5区の飯田も区間新記録で区間2位、後続に追い抜かれるどころか差を詰められるどころか優勝を争う大学を逆に突き放す走りで見事に往路優勝を果たしました。ずっと箱根に向けて準備を進めていただけのことはありますね。出雲・全日本と徐々に調子をあげ、箱根に完璧に合わせる強さ、さすがは青学という走りでした。復路も選手は残り、総合優勝もかなり可能性は高そうです。

2位:國學院大學

1区藤木が区間2位と素晴らしいスタート、レースを経験するたびに強くなっていく選手ですね。来年度は間違いなくチームのエースとなっていることでしょう。2区の土方は区間8位、ずっと引っ張らざるを得ない展開になってしまったのがやや痛かったか…3区の青木も区間5位で総合3位に。青木も箱根で3年連続6位以内と極めて安定した走りを見せてくれました。


そして、4区の中西大ですよねー。ここでルーキーが区間3位の快走、3大駅伝全てで区間4位以内というのは凄いですよね。田澤や岸本がルーキーとしては目立ちますが、中西大も十分スーパールーキーの活躍を見せています。総合3位で浦野に繋がり、往路優勝もいけるかと思いましたが…区間新も区間3位に留まったのは決して悪くは無いですが、浦野からすればもう一歩だったか…それでも、往路過去最高の2位となりました。

3位:東京国際大学

最も期待され、最も期待を残したのが東国大、1区の丹所が区間13位と粘りの走り、この丹所がいれば、ヴィンセントを3区に残せますよね。2区大エースの伊藤は66分18秒で区間2位、相澤とともに前を追っていけたのも大きく、驚異的な走りを見せてくれました。総合8位に浮上することに。


そして、3区を任されたヴィンセントが59分25秒とまさに空前絶後の大記録を叩き出すことに…区間記録を2分1秒も更新するというのは…もう凄すぎて何も言えません。当然のごとくトップに立つこととなりました。4区の佐伯が区間12位で粘り総合2位、5区の山瀬も早い段階から苦しそうですが、それでも区間10位で粘って総合3位となりました。全日本4位に続いて箱根でも往路3位、東国大旋風はまだまだ留まることを知りませんね。

4位:東海大学

1区の鬼塚がトップと10秒差の区間4位と好スタート、1区のスペシャリストは最後まで結果を残し続けました。2区に抜擢された塩澤も区間7位ときっちりと好位置をキープしました。3区西川は2つ順位を落としましたが、総合6位ですから決して悪くは無いんですよね。前が早すぎただけかなあ…4区の名取も区間2位ですし、エース区間も任せられる選手ですよね。ただ、3区に続いて4区でも青学とは1分ほど離されることに…


5区西田で巻き返すと思いましたが、途中からはちょっとフラフラとなってしまったようで…それでも区間7位でまとめたのはさすがですが、トップの青学とは3分22秒もの差をつけられてしまいました。いくら復路に選手が揃う東海とはいえ、この差はかなり絶望的なようにも思えます。最後まで優勝争いを盛り上げるためにも復路は頑張って欲しいですが…

5位:明治大学

1区の小袖が区間10位と上々のスタート、スターターとして計算出来る選手がでてきたのは大きいですね。そして、2区に抜擢された加藤が67分52秒の区間10位、岸本の走りが目立ちましたが、加藤もルーキーの2区歴代最高記録をあっさりと上回ってきました。3区に回った手嶋も区間7位できっちりとまとめて総合でも7位と5つ順位アップ、4区の金橋もやや苦しそうでしたが総合13位でまとめたのは大きかったですね。


こうなれば、5区に残せたエースの鈴木が活きます。前評判通りの走りで区間5位、総合でも5位にまで順位を上げ、明治復活を印象づける結果となりました。後続とのタイム差はまだ安心出来るものではありませんが、 復路も選手が残ることを考えると、十分シードは狙えそう。往路は全員3年生以下と来年も楽しみです。

6位:帝京大学

1区小野寺が区間8位と粘りの走り、エース格を1区に起用したのがハマりましたね。2区の星も先頭集団に無理についていかずに区間9位、総合5位となりました。そして、3区の遠藤が素晴らしかった。今年度は不調でどうかなあと思っていましたが、区間新記録&区間2位の走りを見せました。こういう大事な場面で合わせてくる選手、頼りになりますね。


4区の岩佐も東海について行って区間6位と素晴らしい走り、岩佐も主要区間を好走出来るまでに成長を遂げました。5区の平田が区間18位に沈んでしまったのは帝京にとっては誤算でしたが、それでも総合6位は上出来で、復路も選手が揃っているのは楽しみですね。

7位:創価大学

1区米満を起用したのが大正解、ハイペースとなった1区でラストで逆転しての区間賞を獲得、これ以上無いスタートを切りました。ハイペースに対応出来た大学とそうでない大学がくっきりと分かれましたね。2区のムイルがハイペースについていけずに区間11位に留まったのはやや誤算でしたが、それでも総合6位をキープしています。


3区以降はどうかと思いましたが、3区原冨が区間11位と粘りの走りで総合9位、そして主力へと成長した福田が4区4位の走りにはビックリしました。準エース区間でこれだけの走りが出来るとは…往路が素晴らしかった創価においても、一際その走りは輝きました。5区の築舘は区間12位で往路7位と過去最高順位でのフィニッシュとなりました。シード圏外からも有力校が追ってくる中、初シード獲得となるか注目です。

8位:駒澤大学

1区の大聖が区間9位…せっかくハイペースになったのに一度も集団を引っ張ることも出来ずに落ちてってしまったのは残念…ユニバでともに戦った相澤、伊藤の活躍を見ると寂しいものがあります。2区の山下も区間13位に沈み、総合でも13位に…エース格2人を起用して13位は厳しすぎますね。もはやチームの絶対的エースである田澤が区間新記録で区間3位、7人抜いて順位を6位まで上げました。全日本に続いて、苦しむチームを救う走りを見せてくれました。


4区の小島も区間5位は上々の走りでしょうか。総合順位は変わらずも堅実な走りを見せました。5区で巻き返したかった駒澤ですが、伊東が区間13位どまり…2区も5区も経験者を起用しながら、前回よりも順位を下げての往路8位は厳しすぎますね。出雲・全日本と比べて、何故箱根でここまで結果を残せないのか、ずっとこの状況が続いています。

9位:早稲田大学

1区の中谷が区間6位と上々の走り、1区をハイペースにしたのは間違いなく早稲田でしたね。シードを狙うことを考えれば、この振り落としは正解で1区中谷がハマりました。2区の太田智は前回とは見違えるような走りで区間6位、総合でも2位に浮上しました。太田智が完全復活した姿を最後の箱根でも見せてくれました。


3区の井川は区間14位止まり…同じルーキーの田澤や岸本、中西大らが活躍を見せる中、高校時代の実績No.1の井川としてはもどかしい思いがあるでしょうね…4区の千明は区間7位とこれまた安定の走りで総合8位をキープ、千明の安定感もチームに安定をもたらしますね。前回は交通事故で走れなかった5区吉田は区間15位も総合9位とシード圏内を死守しました。シード争いの中、7,8区に28分台ランナーを残せているのは大きく、箱根予選下位通過からのシードも狙えそう。

10位:拓殖大学

1区の竹蓋が区間17位も大きく遅れなかったのは大きかったですね。2区レメティキが66分18秒という区間2位タイの走りで総合11位まで浮上しました。レメティキも恐るべき1年生ですね…3区の赤崎が区間9位に留まったのはやや誤算だったかなあ。ダブルエースで一気に浮上する想定だったでしょうから…しかし、4区の吉原が区間14位で何とか粘り、総合10位とシード権内に浮上することに。


5区の石川も区間11位で総合10位を守る走りでした。石川も今年度はあまり姿を見せていませんでしたが、大事な箱根の、しかも5区に合わせてくるのは流石ですね。11位とは7秒差ということで、復路も厳しいレースが予想されますが、往路同様に粘りの走りを見せてくれれば。

11位:東洋大学

最も誤算だったのは箱根で11年連続3位以内を誇る東洋大学でしょう。1区で2年連続区間賞の西山が早い段階で遅れてしまい、区間14位と出遅れてしまうことに。それでも、2区の大エース相澤が65分57秒という日本人歴代最高どころか2区の区間記録を破る走りを見せました。走るたびに驚きを与えてくれる選手ですが、最後の箱根でもさすがの走りを見せてくれました。


しかし、3区の吉川が区間13位…苦戦が続く3年生ですが、西山に続いて吉川も苦しい走りで総合10位にまで下がってしまいました。しかし、最大の誤算は4区…全日本1区で好走し、復活した4年の渡邉がまさかの区間最下位…総合14位にまで下がってしまいました。しかし、5区の宮下がなんと区間新&区間賞の走り、これはびっくりでした。監督の見る目も凄いですね。しかし、2区間で区間新&区間賞を獲得しながら、総合11位になるとは…現実的な目標は5位となったでしょうか?箱根の強さを復路では見せてくれれば…

12位:中央学院大学

1区栗原が区間5位と素晴らしいスタート、1区を栗原に任せられたのは大きいですね。完璧と言って良いでしょう。2区の川村は区間14位と最低限の走りではあったかなあ。栗原が良かっただけに、もう少し走って欲しかったですが…3区の戸口が区間15位で続きました。戸口も3大駅伝初出場ということを考えると、まずまずか。


4区の城田は区間10位で1つ順位を上げて総合11位、城田も主要区間を任せられるまでになりました。5区の畝が区間8位は上出来と言って良いでしょう。どうしても高校時代から畝拓夢に注目が集まりますが、中央学院の畝歩夢が同じ5区で3秒上回ってきたのが、また感慨深いものがありますね。10位とは9秒差となっており、ここまでが現実的なシード争いとなりそうか。

13位:中央大学

1区の千守が区間16位、1区に抜擢されたルーキーもよく走ってくれましたね。2区の川崎は区間17位、さすがにいきなりの2区は厳しかったかなあ。正直、2区はある程度しょうがないと思っていましたが…3区の三浦は区間12位ということで、決して悪くはないですが、良くもなかったかなあ。。。4区の池田も区間11位ということで、これまた可もなく不可もなく。たすきをもらった位置からすればしょうがないのかもしれませんが、中央とすれば、この二人で順位をグッと上げたかったかなあ。


5区を任された畝拓夢は区間9位、往路では唯一の区間一桁となりました。ただ、本人としては歩夢に3秒とはいえ負けたのは相当悔しかったでしょうねえ。倉敷高校時代からずっと、前を歩んできたのた拓夢だっただけに…10位とは2分32秒差となっていますね。かなりタイム差は大きいですが、どれだけ追っていけるか…

14位:順天堂大学

1区の原田が区間18位、早い段階で遅れた割には粘りましたが、1区野口で無かったことは結果として厳しかったのでは…持ちタイムは良い選手ですが、3大駅伝デビューですし…2区の藤曲は区間16位、1区の位置を考えると、この区間順位もしょうがなかったかなあ。3区の橋本は区間10位で17→14位と3つ総合順位をアップ、橋本も3区で安定した走りを最後まで見せてくれました。


4区の野口は区間9位でさらに2つ総合順位を上げることに。野口も徐々に結果を残すようになってきましたね。来年度はエースの1人となるはず。5区の真砂も区間14位ということで、こちらも3大駅伝デビューであることを考えるとまずまずかなあ。シード権とは2分44秒差となっており、中央同様にシードへの道のりはかなり険しそうです。2年連続シードに向けてどこまで迫れるでしょうか。

15位:日本大学

1区の横山が区間15位、ハイペースの1区によく喰らいついてくれたと思います。ただ、2区のドゥングが区間12位に沈んでしまったのは誤算だったかなあ。留学生の中でも実業団の経験がある実力者なだけに…総合14位と苦しくなりました。しかし、3区のルーキー樋口が区間8位とさすがの走り、自己ベスト連発で勝負レースでも結果を残し続ける楽しみな選手です。来年度は日本人エースとなっているかも。


4区の武田は区間17位とこちらも2区に続いての誤算…前回も同区間で好走していただけに、ここで浮上出来なかったのは厳しかったかなあ。5区に起用された廣田も区間17位で続き、往路で15位、14位の順大とも1分離されており、まずは復路でこの順位をキープ出来るかどうかでしょうか。自己ベスト連発の勢いをつなげていきたいところです。

16位:法政大学

1区の久納が区間19位、ハイペースの影響を最も受ける大学となりました。順位よりも、18位とは1分37秒差をつけられてしまったこと、そしてすぐ後ろの国士館は2区ヴィンセントであり、もう単独走を続けるしか無かったことが、2区以降に大きくのしかかりました。敏也がいなかった影響を最も受けたのも1区だったかなあ。


2区鎌田は区間18位、3区岡原も区間18位でいずれも総合20位ですがこれはもう仕方ないですよね。ともに敏也、青木、坪井に次ぐ実力者たちですし…ただ、最下位で単独走で力を発揮するのは余程の選手であっても容易では無いです…だからこそ、そんな状況でルーキーの河田が4区で8位で2つ順位を上げる好走したのはびっくりしました。ずっとエース区間を担うだけのことはありますね。来年度は鎌田とともにダブルエースとなっていることでしょう。


5区の青木も前が非常に遠い位置ながら、区間4位の走りで総合16位、しかも前を見える位置まで追い上げたのは大きいですね。青木が何とかしてくれるという監督の檄もありましたが、本当に4年間、チームが苦しいときもさらに加速したいときも、青木という存在はチームにとって掛け替えのないものでした。

17位:神奈川大学

1区の西方が区間12位と好スタート、3大駅伝デビューということを考えても上出来と言っていいでしょう。しかし、2区に抜擢された北崎がまさかの区間最下位に沈んでしまうことに…これで、3区以降は一気に苦しくなってしまいましたね。ずっと、結果を残してきた選手なのですが…3区に起用されたエースの越川も区間17位と力を発揮することは出来ず…


4区の小笠原も区間15位で2区以降は総合19位をずっと続けることに…主力を2~4区に起用してこの順位はなかなかに厳しい…そんな状況の中、エースの井手は5区で区間6位と好走、総合順位で下位からこういう走りを見せられるのは、本当に力が無いと出来ないですね。2つ順位を上げて総合17位となりました。

18位:日本体育大学

1区の池田が区間3位と最高のスタートを切った日体大、池田も今年度はさらに強くなったと思っていましたが、それでも箱根1区でここまで走れるとは思いませんでした。本当に素晴らしい走りでしたね。2区の山口は区間15位ということで、総合順位を6つ落としてしまったのはちょっと痛かったですが、まだ許容範囲内でした。


しかし、3区の亀田が区間最下位に沈んでしまい、9→15位とさらに6つ順位を落としたのは痛かったですね。亀田も持ちタイムはどんどん更新している選手ですが、さすがにいきなりの箱根で3区は厳しかったのかなあ。。。4区の太田も区間18位とこちらも力を発揮出来ず…1区が好スタートだったのですが、4区終了時には16位まで下がってしまいました。


5区はルーキーの藤本に託すこととなりましたが、区間16位で2つ順位を落としてしまい、総合18位でのゴールとなりました。うーん、3,4区にエース級を起用出来なかった影響がもろに総合順位に影響してしまったかあ…復路で少しでも巻き返したいところ。

19位:筑波大学

26年ぶりの出場となった筑波大学、1区の西は11位と上々のスタートを切りました。やはり、箱根予選で好走を見せただけのことはありますね。ハイペースにもしっかりと付いてきました。2区の金丸は区間19位、箱根予選でも好走したエースですが、さすがに箱根2区では厳しかったかなあ…


3区の猿橋は区間16位で2つ順位を下げて総合18位、3本柱を起用してもこの順位というのは、さすがに箱根の本戦は厳しいです。4区を任された主将の大土手、5区を経験している相馬も区間19位ということで、総合でも19位という結果となりました。5区間中3区間で区間19位でしたが、1区間も区間最下位が無かったのは良かったかなあ。復路も出来る限り襷をつないでくれれば。

20位:国士舘大学

1区の荻原は区間最下位…最初に集団から遅れてしまったのは、痛かったですがしょうがないですよね。。。現状の国士舘大学において、あのハイペースについていけるのは、ヴィンセントしかいないでしょうし…ただ、18位とも1分42秒差をつけられてしまったのは痛かったかなあ。2区のヴィンセントはそれでも区間4位の走りで4つ順位を上げるのはさすがです。


3区の長谷川は区間19位で総合でも18位まで下がってしまうことに。4区の石川は区間16位で1つ順位を上げましたが、5区の鼡田が最後はフラフラになってしまい、区間最下位に…総合でも最下位となってしまいました。19位とはまだ44秒差ですし、1つでも上の順位を目指して欲しいです。

19位相当:関東学生連合

1区の吉里が63分32秒で区間17位相当の走り、ハイペースにもきっちりとついてきましたからね。上々と言ってよいのでは。しかし、エース区間の2区では山口が区間20位相当で総合でも19位相当に…関東連合は総合力はあるのですが、どうしてもエース区間となると苦しいですよね…


3区の菅原は区間11位相当かなあ。復活を目指す城西の新エースはここでもしっかりと中位で走ってくれました。来年度もチームを支えてくれれば。4区の上土井は区間15位相当かなあ。28分台をマークした亜細亜のエースも準エース区間でしっかりとまとめてくれました。


5区の外山は区間16位相当ということで、育英大学初の箱根ランナーは上出来の走りと言えるのでは。区間19位や20位相当となることも多い関東連合ですが、今回は比較的どの区間も粘ったのでは。総合では19位相当ですが、18位とも43秒しか離れていませんからね。復路も総合力の高さを活かしてくれれば。