区間記録を振り返る ~箱根駅伝8区~
続いては、平塚中継所から戸塚中継所までの21.5kmを走る8区の区間記録について振り返っていきます。8区は比較的有力選手が走る機会が少ないように思えます。いわゆるチームの中でも8~10番手の選手が走ることが多いかなあ・・・また、後半には遊行寺の坂が待っており、上りに自信のある選手が起用されることも多いです。区間歴代トップ5は以下のとおりです。
1 | 1時間04分05秒 | 古田哲弘 | 山梨学院大 | 1年 | 1997年 |
2 | 1時間04分12秒 | 大津顕杜 | 東洋大 | 2年 | 2012年 |
3 | 1時間04分26秒 | 奥田実 | 中央大 | 2年 | 2005年 |
4 | 1時間04分35秒 | 髙久龍 | 東洋大 | 3年 | 2014年 |
5 | 1時間04分37秒 | 奥田真一郎 | 順天堂大 | 2年 | 2000年 |
区間記録保持者は山梨学院大の古田、箱根駅伝最古の区間記録として残っています。1997年に樹立された記録であり、2番目に古い区間記録が2007年であることからも、いかに長い間更新されていないかが分かるかと思います。古田が1年時の記録ですが、既に高校時代から超高校級の選手でしたし、ルーキーとはいえ、古田のような選手が走るような区間ではなかったというのが正直なところでしょうか・・・今後も気象条件に加えて、エース格または優勝を狙える大学の準エース格が走らない限り、なかなか更新は難しいかと思われます。
区間歴代2位は東洋の大津、古田の記録にわずか7秒差まで迫りました。2012年は東洋が歴代最速で箱根を制覇した年ですが、この大津の走りも凄かったですね。これで4区から5連続区間賞となりました。大津はそれまでは3大駅伝の出場経験も無かったですが、上尾ハーフで62分台を叩きだして一気に注目を集めると、この箱根での快走で一躍主力へと踊り出ることとなりました。東洋の層の厚さと箱根へのピーキングの見事さを感じさせる走りでした。4年時も10区で区間記録に迫る走りをしていますから、それがまた素晴らしいですよね。
区間歴代3位は中央の奥田、8区の歴代トップ5には「奥田」が二人入っていますが、3位は奥田実になります。3大駅伝での実績は、この8区での成績がやはり抜きに出ているかなあ・・・記録を出した2005年は2位の日大:福井、3位の法政:田中までが64分台を出しており、いずれもトップ10に入る好タイムです。条件が良かったのも正直あるかもしれません。その後は3連続で1区を走り、箱根では4秒差の3位に入るなど、スターターの役割をきっちりと果たしてはいます。
区間歴代4位は東洋の高久が前回の2014年に叩きだした64分35秒です。東洋が圧倒的な強さを見せて勝つときには、やはりつなぎ区間での走りが見事ですよね。88回大会は4区、7区、8区、10区で区間賞、この90回大会も7区、8区、10区で区間賞を獲得しています。高久は故障で出雲・全日本ともに出場せず、箱根1本ということで不安もありましたが、そんな心配を吹き飛ばす素晴らしい走りでした。今年度はチーム状況を見ても主要区間を任されることになりそうですし、そこでも好走を期待したいです。
区間歴代5位は順天堂の奥田真一郎が2年時にマークしています。いわゆる順大クインテットと呼ばれた1人で、岩水、入船、野口、奥田、坂井と有力選手が5人も同一学年に集まっていましたからね。ちょうど駒澤と紫紺対決と呼ばれる激しい優勝争いを繰り広げていた時代でもあります。3年時の5区はものすごい強風が吹き荒れる中、法政の大村、中央の藤原と熾烈な首位争いが印象に残っている方も多いかと思います。正直、最も印象に残っているのは法政の大村の走りでしたが・・・4年時も2区をきっちりと走るなど、4年間安定した走りでチームを支えました。