90回箱根駅伝 ~往路感想&復路展望~

箱根駅伝の往路が終わりました。本当に1年間楽しみにしていても、終わってしまうのはあっという間ですね。優勝争い、3位争い、シード争いと復路にも楽しみが残る展開となっております。往路を簡単に振り返りつつ、復路の展望も見てみたいと思います。

 

1区:大迫が引っ張るハイペースな展開は予想通りも10~15kmが垂れたこともあり、優勝を狙う3強はどこも落ちない展開に・・・走りこみが足りないと言われていた早稲田の大迫はやはり最後垂れて区間5位、当日変更で入った日体大の山中が見事にラストスパートを決めて区間賞、駒澤の中村が11秒差の2位で続き、東洋は21秒差の3位、山中の1時間1分25秒は歴代3位の素晴らしいタイム、中村も歴代5位と非常にハイレベルなレースだった。ここで誤算だったのは駒澤、東洋、日体を引き離したかったはずが、東洋には遅れをとり、東洋とも10秒しか差をつけられなかった。逆に東洋、日体大は理想的な展開に。。。

 

また、シード争いでは、このハイペースに付いていけなかった大学が大差をつけられた。城西の山口、専修の濱野、神奈川の小泉、東農大の佐藤は痛かったですね。。。特にシード獲得が期待された神奈川は5分3秒、東農大は5分23秒という大差をつけられてしまい、早くもシードが厳しくなりました。東農大はともかく、ちょっと神奈川は区間配置ミスかなと思いますね。。。柿原、我那覇しかあのペースに対応出来る人はいなかった。。。

 

2区:駒澤の村山が区間記録を上回るような超ハイペースで飛ばすも、両足痙攣が起きてしまい、ペースダウン・・・本人はハイペースも余裕で走れていたということで非常にもったいなかったですね。1,2区で大差をつけたかった駒澤ですが、2区終了時で26秒しか東洋に差をつけられなかったのは大誤算でした。これは完全に東洋の流れでした。ただ、びっくりしたのは早稲田の高田、この区間は繫ぎだと思っていた早稲田ですが、まさかまさかの区間賞でした。これで早稲田は勢いに乗ると同時に、5区に山本がいないのが痛すぎる結果に。。。日体大の本田は、トップと2分40秒差をつけられる区間10位、やはり故障明けで難コースの2区は厳しいですよね。これで一気に厳しくなりました・・・

 

それ以上にびっくりしたのが、山梨学院のオムワンバ・・・途中までは好調なペースで走っていたものの、9.6kmで足を痛め、右腓骨の疲労骨折が判明、道路に座り込んでしまい、そのまま無念すぎる途中棄権となってしまいました。シードが確実に狙える戦力が整っているのに、本当に残念な結果でしたね。ただ、留学生といえど、何が起きるかわからないのが箱根駅伝なんですね。。。その後の3~5区も堅実に走ってくれていただけに、痛すぎました。また、2区終了時で10分差をつけられた国士舘は早くも繰り上げに・・・それだけ、ハイペースな展開でレースが進んでいきました。

 

3区:ここで圧倒的な強さを見せたのは当日変更で入った東洋の悠太、区間2位に1分14秒差という大差をつける走り、全区間中2位につけた差は最大、駒澤に1分21秒差をつけたのも大きかったですね。ここで一気に東洋有利となり、正直これで勝負ありかなと思ってしまいました。油布も粘ったのですが、最初突っ込みすぎたのか追いつかれた後も徐々に離されてしまいました。区間3位だったんですけどね。。。ここでやらかしてしまったのはまたしても日体大、勝亦が悠太、油布相手に厳しいとは思っていましたが、トップと3分43秒差の17位に沈みました。。。これで、日体大は優勝争いから実質脱落してしまいました。予選会校でここまで頑張ったのが6位につけた拓殖大学、8位の日本大学、9位の上武大学かなあ。特に日本大学はまさか2区キトニー抜きで8位につけるとは思いませんでした。5区キトニー次第でどこまでいくの?という展開でした。逆に不調だったのは、12位の大東大、18位の東農大かなあ・・・どちらも往路から戦力を注ぎ込んでいた割には、シード圏内につけることが出来なかったですからねえ。。。

 

4区:前回起用予定だった今井がさすがの走りで、4区3位と好走しました。2年分の思いをぶつけることが出来た走りだったのではないでしょうか?しかし、それ以上に素晴らしい走りをしたのが駒澤の中谷、早稲田の平のルーキーコンビ、特に中谷は54分41秒で歴代2位の素晴らしい走りで34秒差を詰めました。これが5区に繋がりましたね。平も55分3秒は早稲田記録を更新する走りでした。ともにインターハイで留学生についていき入賞した選手、やや暑いコンディションでしたが、問題なかったですねえ。日体大はここでも区間10位でさらに差をつけられ、もう服部に渡る時点で6分以上の差になってしまいました。また、いい位置につけていた東海大が当日変更となった荒井が区間20位、いつから変更となっていたのかは分かりませんが、石橋が出られなかったつけが出てしまいました。

 

5区:トップで受けた啓太が一気に差をつけて、2分以上の差で往路を終えるのかなあと思っていました。2分差あれば、トップ効果もあり東洋がそのまま行くかなと思っていましたが、ここで意地を見せたのが駒澤の馬場、前半は日体大の服部を上回るハイペースで入り、その後ペースが落ちることなくレースを進め、最後はやや疲れたものの啓太との差は38秒差、総合タイムでも59秒差に抑える殊勲の走りで復路に希望を繫ぎました。区間タイムも79分54秒と狙い通り80分きりの好走でした。しかし、啓太も1時間19分16秒と日体大の服部を1秒上回り区間賞、歴代4位の好タイムです。服部も歴代5位のタイム、東農大の三輪まで80分きりで非常にレベルの高い5区となりました。

 

東海の宮上も80分6秒の好走、区間5位、総合9位でシード圏内に入ってきました。これは頼もしい走りでしたね。今後も楽しみです。6位の関口はやや想定外に悪かったかなあ?このコンディションであれば、80分切りはしてほしかったかな・・・故障していたこともあり、万全では臨めなかったのかな?また、区間記録に迫る走りも期待された日大のキトニーは寒さへの完全防備で挑んだものの、区間10位に沈みました。これはもったいなかったですね。。。2区であれば区間賞は取れていたであろう選手なのに・・・やはり、平地での速さと山は別物でした。これで留学生は過去2度走って2度とも微妙な結果に。。。今後、留学生の5区起用はまた見送られることになりそうですね。

 

また、3年連続走っている田中を外してまで及川を5区に持ってきた中央学院は、区間18位に沈み、シードラインから3分6秒も離されてしまいました。復路に選手が残っているとはいえ、厳しい戦いとなりそうです。また、明治の横手が区間19位に沈み、優勝争いから完全に脱落してしまいました。トップと6分25秒差はつけられすぎですよね。。。これならば、山田稜の方が良かったのではと…結果論ですけどねえ(汗)また、西郷が5区を走れなかった順大は代役の山下が区間21位に沈んでしまいました。ベストメンバーで組んでも厳しかっただけに、これで順大のシードは絶望的に。。。

 

シード争い:復路にも戦力を残している5位まで+7位(東洋、駒澤、早稲田、日体大、青学、明治)はまずシードが間違いないでしょう。往路に力を注ぎ込んだ拓殖、大東大、日大は復路が厳しいです。11位から拓殖は1分54秒、大東大は1分15秒、日大は34秒しか貯金がなく厳しい戦いになりそうですね。復路にも戦力を残す9位東海が一番有利か??また、シード圏外では法政が西池抜きでシードに34秒差、復路はこちらも巻き返すほどの力を残しておらず、激しい戦いになりそうです。12位の帝京、13位の中央学院はシードまでそれぞれ2分11秒、3分6秒となっており、復路にも戦力を残せている。ここまでがシード争いに絡む形か?14位の東農大は4分27秒差あり、これはさすがに厳しいように思えます。

 

3位争い:早稲田は復路を3年生以下で行くつもりという話ですが、井戸、田口らを残しており、まだまだ3位争いに絡む力はありそう。特に往路は山本抜きで3位に入っており、チームの覇気も上がっているでしょう。来年以降に繋げるためにも、3位確保したいところですね。4位の日体大とは1分23秒、復路の戦力差はそこまで無いように思えますし、面白い争いになりそうです。6区鈴木、9区矢野で確実にリードを奪って、3位を確保しておきたいところですね。日体大の場合、3位を確保出来れば全日本の出場権も貰えますからね。選手も目標はそこに切り替えていることでしょう。青学は3位まで2分42秒となっており、どんなオーダーにするのか分かりませんが、ぎりぎり3位も狙えるか?復路に最も戦力を残しているのは最も3位から離れている明治で3分39秒差あります。6区廣瀬、7区松井、8区有村の3枚は非常に強力です!この3区間で逆転する可能性は十分にあり得ますね。

 

総合 優勝争い:3位の早稲田がトップと5分9秒差となり、完全に優勝争いは東洋vs駒澤に絞られました。59秒リードの東洋と駒澤の戦力比較をしてみます。(左が東洋、右が駒澤です。)

 

6区:日下 vs 西澤

ともに下りのスペシャリストで4年連続走った市川、千葉が卒業し下りの走りは未知数です。しかし、日下は全日本を6区2位で走った実績があり、持ちタイムも西澤を上回り、ここは東洋がやや有利か?一方の西澤は3大駅伝初出場で不安はあります。ただ、監督はいい練習、夏合宿が出来ている選手に西澤を挙げており、3人いた下り候補の中から選ばれた選手です。初の箱根でどんな走りを見せてくれるのか楽しみと不安が入り交じっていますね。何気に6区が勝負を決める重用区間となる可能性があります。ここで差を詰めれれば駒澤がかなり有利となり、逆に開くようであれば7区以降の選手が東洋は走りやすくなり、駒澤は走りにくくなりますからね。

 

7区:弾馬 vs 西山

高校時代のライバルでもあり、上尾ハーフでもほぼ同タイムで走った二人、走力にそこまで大きな差は無いでしょう。もうどんな展開で来るか、どこまでコンディションを整えられるか次第でしょう。弾馬は出雲で、西山は全日本で悔しい思いをしているところまで一緒です。ただ、西山は出雲で5区2位と好走した実績があるという部分は有利かなあ?弾馬は全日本に出場できず、まだ記録会でしか好走出来ていませんからね。ここで差がつくようであれば、リードした方が一気に有利になりそうです。

 

8区:郡司 vs 高久

前回8区11位の郡司に対し、7区4位の高久は直近の記録会で28分42秒の自己ベストを出しています。過去の実績から言えば高久が上回ります。しかし、高久の不安要素は故障明けであること。今シーズンは故障の影響で出雲・全日本を始め大会にはほぼ出場できていませんからねえ。同じく故障明けで上尾ハーフを好走した本田が苦しんだように、高久も練習できている選手に比べると、凡走するリスクは高いです。郡司も前半は苦しみましたがそれは貧血によるものだそうで、上尾ハーフでは63分25秒と復活しており、前回走っているというメリットがあります。これまた、展開次第でどっちが勝つのか入れ替わるくらいの実力差かなあと思っています。

 

9区:窪田(当日変更?) vs 延藤(当日変更?)

9区はいずれも当日変更を予想します。そして、ここに窪田が置けるからこそ、往路で1分差あってもいい勝負になると予想しています。延藤であれ、上村であれ、淀川であれ、最低でも1分差、悪ければ2分差ついてもおかしくないと思います。8区終了時での差というのがまず大事になりますし、9区で駒澤が逆転できるのか、逆に差をつけられるのかが非常に大事になってきます。9区終了時で東洋がリードを保っているようであれば、そのまま東洋で決まりでしょう。9区までもつれる展開を期待いたいところですが果たして・・・?

 

10区:其田(当日変更?) vs 大津

3大駅伝未経験の其田に対し、前々回の8区で区間記録に迫る区間賞、実績だけを見れば圧倒的に東洋が有利です。ただ、大津は前々回の8区以外は3大駅伝で目立った成績を残せていないんですよね。前回も8区7位に沈んでいますしね。2回経験のある8区ではなく、10区に起用されたというのも気になります。大津が前々回の走りを見せることが出来れば、もう圧倒的に東洋なのでしょうが、果たして・・・?一方の其田はハーフで63分30秒切りを2度走っているという実績があります。2度好走しているというのがポイントですね。1度だけだと出てしまった記録とも言えますが、2度走れているとなると力があるのでは?とはいえ、やはりここは東洋有利と見ています。

 

いやあ、どの争いも非常に楽しみですねえ。。。もちろん、総合優勝を競う大会ですから、東洋vs駒澤の対決が一番なのですが・・・5大会連続2位で何が何でも勝ちたい東洋大学に対し、箱根は2008年以来勝てておらず、何とかして箱根に勝ちたい、そして3冠を達成したい駒澤、どちらも箱根に向けて並々ならぬ思いがあるでしょう。最後まで目の離せない激戦を期待したいと思います!!

 

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