選手特集(14卒) 駒澤大学:窪田忍

2019年9月27日

続いては、高レベルでの安定感は大学トップクラスである駒沢大学の窪田忍です。鯖江高校時代はロードよりもトラックの方が得意な印象でした。というのも高校3年時、インターハイでは14分7秒で9位、国体では29分6秒で8位と結果を残していた一方、都大路で1区23位、 都道府県対抗でも1区12位という結果でしたからねえ。窪田よりも、油布の方が駒澤のルーキーとしてはかなり評価が高かったように思えます。大学1年の前半は故障に苦しんでいましたが、怪我明けの秋の記録会で5000mいきなり13分台、その勢いそのままに出雲4区で区間賞に1秒差の2位、全日本6区では区間賞を獲得し、駒澤にとって同一区間で10年連続区間賞という偉業を達成しました。箱根でも7区を任されると優勝争いを繰り広げる早稲田の三田、東洋の大津らを抑えての区間賞を獲得しました。高校時代とは違ってロードでの安定感はルーキー時代からピカ一でしたね。ただ、あくまでもつなぎ区間での成績であって、1学年上に上野、撹上ら有力選手が揃っていたこともあり、まだまだエース格という印象ではありませんでした。

 

2年生になると、出雲から最長区間である6区を任せられることに・・・いきなり6区で大丈夫かな?と正直不安もあったのですが、1区から大きく出遅れた苦しい状況の中、東海の村澤、拓殖のマイナらを抑えての区間賞を獲得、最後には早稲田の平賀も抜いて総合2位にまでチームを押し上げました。最後に謝りながらゴールする姿が印象的でしたが、あの走りを見せて負けては。。。1~5区でもっと何とかして欲しかったね・・・全日本でもエース区間の8区を任されることになりました。追ってくるのは東洋のエース柏原、1分40秒差リードをもらっての8区であり、窪田であれば余裕で逃げ切るかと思いきや、柏原の走りが凄まじかった一方、窪田は後半ややペースが上がらなかったですね。結果的には1分以上差をつけられたものの、しっかりと逃げ切って自身も3大駅伝初優勝となりました。箱根では9区を任されましたが、東洋が5連続区間賞を含む歴代最速で走っていましたからね。区間2位に1分35秒をつけるダントツの区間賞となる走りですが、正直後の祭りという感じでしたねえ。。。ただ、3大会とも主要区間で好走し、2年生にして早くもチームのエースとなりました。丸亀ハーフでも、61分38秒という当時日本人学生歴代4位の好タイムを記録しました。

 

3年生になると、1万mで27分台を目指し、積極的に1万mの記録会に挑戦、GGNで28分7秒の自己ベストを出し、他のレースでも28分半を安定して切る走りを見せていました。チームの戦力もピークを迎え、個人でもチームでも活躍が期待されましたが、出雲ではまたしても1区から大きく出遅れてしまうと、3区まで悪い流れは続き、アンカーに渡った時点でまさかまさかの8位、窪田も5位にあげるのが精一杯でした。それでも、日本人歴代最速で区間2位という好タイムなんですけどねー。出雲では窪田の走りがなかなか報われませんでした。全日本では東洋に1区からリードを許す苦しい展開、アンカーに渡った時点でトップ東洋と1分7秒差がありましたが、57分32秒という日本人歴代3位の素晴らしいタイムで走り、逆転での全日本2連覇を達成しました。

 

しかし、満を持して迎えた箱根2区では3大駅伝で唯一の失敗レースと言っていい区間7位に沈んでしまいました。強風というコンディションの中、引っ張らざるを得なかった展開も災いしましたね。マラソン練習の疲れもあったという話でしたが、初マラソンでは30km以降遅れてしまい、2時間15分というほろ苦いデビュー戦となりました。

 

4年生になると、マラソンで故障した影響もあってトラックシーズンは奮いませんでしたが、それでも関東インカレ2部で1万m2位、日本選手権1万mでも2年連続で入賞を果たすところはさすがです。また、駅伝シーズンになると、出雲駅伝で6区エース対決となった設楽啓太、大迫らを抑えての区間賞を獲得、チームも15年ぶりの出雲制覇となりました。その勢いは全日本も続き、3年連続で最長区間の8区を任されますが、すでに2位とは2分21秒という大差がついていました。決して無理をする展開では無かったのですが、終盤に痙攣を起こしてしまうことに・・・それでも日本人トップの区間3位はさすがですが、ちょっとらしくない走りでもありました。チームも全日本3連覇、3冠に王手をかけることとなりました。窪田がとにかく箱根に勝つためだけに1年間やってきたというほど勝負をかけていた箱根でしたが、1区中村は故障明け、2区村山は痙攣をおこすなど出雲、全日本制覇に貢献した両者の走りがいまいちだった一方、東洋は10人がほぼ完璧なレースを展開し、9区窪田にタスキが渡った時点ではすでに3分40秒もの大差をつけられることに・・・これではさすがの窪田もどうしようもなく、68分台という好タイムでは走ったものの、区間賞を獲得することも出来ず、チームも総合2位と悔しい結果に終わってしまいました。

 

3大駅伝は出雲1回、全日本は3回と合計4回優勝し、その全てでゴールテープを切っていますが、一番勝ちたかった箱根だけは結局勝てずに卒業することとなってしまいました。窪田の存在はチームにとっても本当に大きかったと思いますし、3大駅伝フル出場し、12回中11回が区間3位以内、区間賞が5度、区間2位が4度という見事としか言いようがない成績を残してきました。実業団は高林、井上といった駒澤OBもいるトヨタ自動車へと進みます。本人もマラソンで勝負していきたいと語っていますし、すでに1度フルマラソンを経験していることも強みだと思いますので、今度はマラソンで世界と戦っていって欲しいです。

 

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