第55回(2023年)全日本大学駅伝レース結果 ~駒澤が4連覇&3大駅伝5連勝~

11月とは思えない暑さの中行われた全日本大学駅伝、優勝争いとしては前回と似たような結果となりました。駒澤が1区区間賞から始まると、一度もトップを譲ることなく完全優勝、出雲も完全優勝でしたから、3大駅伝では前回の箱根4区から1度も先頭を譲っていないことになりますね、恐ろしいチームです。各大学ごとの振り返りはまた後日行うとして、今回は各区間ごとのレース結果を振り返っていきたいと思います。公式結果(PDF)はこのようになっており、私のまったり駅伝にも関東勢の結果は反映済です。

1区区間賞:赤津(駒澤)

中央の駿恭が2分45秒で入りましたが、抜け出すには至らず…その後はやや牽制してペースも遅くなりましたが、そんな中で青学の若林が一気に集団から抜け出したのにはビックリしました。前回の目片もですが、青学1区の積極的な走りが目立ちます。そんな中で集団で溜めていた選手が一気に猛追、最後のスパート合戦は見所満載でした。


中央の駿恭、早稲田の間瀬田、駒澤の赤津とスパートするたびに先頭が変わる展開、ラストスパートを決めた駒澤の赤津が区間賞を獲得、優勝候補大本命が最高のスタートを切りました。早稲田の間瀬田が1秒差の2位も素晴らしく、スターターとしての地位を確立してきました。中央の駿恭も3位の3秒差は上々、特に素晴らしかったのが4~7位で創価の織橋、大東大の佐竹、國學院の後村、東国大の木村がいずれも10秒以内の差で繋ぎました。ややリスクを背負った起用だと思ったのですが、しっかりと期待に応えましたね。


1度抜け出した若林も8秒差の8位で耐えていますし、13位だった順大の服部でも23秒差ですからスターターの役目は果たしたと言って良いでしょう。一方で東海の佐伯が15位で35秒差、国士館の山本龍が16位で39秒差、そして出雲3位の城西は50秒差の17位と1区で出遅れることになってしまいました。

2区区間賞:圭汰(駒澤)

区間新が3人も出るハイペースとなった2区、連戦となった出雲から状態を上げてきた駒澤の圭汰が一度も先頭を譲らず、ついてきた早稲田の山口を突き放して区間賞&区間新の走り、前回1秒差で逃した区間賞を勝ち取り2年連続の区間新も達成。出雲2区区間賞だった青学の黒田も8秒差の2位ですし、青学のエースと呼んでいいかも。東農大のエース前田も10秒差の3位でここまでが区間新、苦戦するルーキーが多い中で別格の強さを見せています。


山口も区間4位でまとめていますから、決して悪い走りでは無かったですよね。前が速すぎました。東国大のベットが区間5位は走力からすればちょっと物足りなかったかな。区間6位タイで中央の中野と帝京の山中、中野も決して悪くは無いですが優勝を狙うチームの2区とすればもう一歩…帝京は2区終了時で総合7位とシード圏内だったのは素晴らしいですね。順大の三浦は区間8位ということでやはりまだ状態は上がっていなかったかなあ。


この区間で苦戦する実力者も多く、國學院の3本柱である山本は11位、出雲4区区間賞だった創価の山森は13位、国士館のエースカマウが14位、東洋の小林はまさかの16位に沈んでいます。東洋は大エースがいない状況で2区で崩れたことでシードは現実的に厳しくなりました。

3区区間賞:キムタイ(城西)

城西のキムタイが出雲3区に続いての連続区間賞、13→8位とシード圏内にチームを押し上げました。1年時はやや苦戦しましたが、今年度は駅伝で最も活躍を見せる選手です。駒澤のエース篠原は前半に差を詰められて一瞬大丈夫かなと思いましたが、後半一気に差を広げるクレバーな走りで区間2位、3位とも22秒差をつける走りで後続との差を広げることに。


最も見所だったのは青学の一世と早稲田の石塚の2位争い、一度は逆転された一世が再び追いついてきた走りが印象的でした。ただ、区間順位としては石塚が7位、一世が8位ということでエースとしてはちょっと物足りない結果に。そんな中、國學院の上原が区間3位の快走、出雲に続いてエースの走りを見せています。今3本柱と言われたら平林、伊地知、そして上原ですね。


東京国際も佐藤榛が区間5位と復活の走り、頼りになる選手が戻ってきましたし、シードに向けて大きい走りでした。帝京の柴戸が区間6位、東農大の原田が区間10位だったのも大収穫、箱根に向けて主要区間での起用が期待されます。最も衝撃的だったのは中央の大和が区間11位に沈んだこと。3大駅伝では4大会連続区間賞、監督も区間賞を取れる状態にまで上がってきたという話だっただけに、まさかの結果でした。区間3位以下でさえ、1年の箱根以来ですからね…


出雲で好走した創価の石丸は区間13位とここでも苦しい走り、出雲で苦戦した順天の吉岡も区間14位に沈み、高校時代は世代No.1だった選手も3大駅伝で苦戦が続いています。東洋は奥山が区間16位と2区に続いて関東勢最下位ということに…全く浮上のきっかけを掴めずにいましたね。

4区区間賞:斎藤(城西)

城西が2区間連続での区間賞を獲得、出雲で転倒した影響があってつなぎ区間の4区に回ったのかなと思いましたが、状態も良くて3区キムタイ⇒4区斎藤で一気に順位を上げるためだったのか。8→2位と一気に6つも順位を上げてきました。区間2位に26秒もの大差をつけているのも素晴らしく、キムタイ、山本唯とともに3本目の柱が出来たのは大きいです。


駒澤の赤星も危なげない走りで区間2位、どんどん総合2位との差を広げていきました。中央の溜池が3位、國學院の高山が4位と出雲も好走した2人が上位に。溜池の安定感はチームトップと言って良いですし、高山も2年になって大きく力をつけてきました。東農大も並木が区間5位の走りで総合5位とシード圏内にここでもつけているのが素晴らしい。


大東大の入濱が区間8位、東海の南坂が区間9位だったのもまずまずだったかなあ。特に南坂はもっと上位で走れるかなあという期待もあったのですが…ルーキーはこの区間も苦戦が続き、早稲田の工藤が区間11位、創価の小池は区間16位に沈んでいます。小池は出雲で良い走りを見せていたのですが、出雲・全日本と両方に合わせるのは容易では無いです。帝京の西脇はふらふらになってしまい、脱水症状なのか何かしらのアクシデントがありましたね…区間22位と非常に苦しい走りになりました。

5区区間賞:吉田響(創価)

ここで別格の走りを見せたのが創価の吉田響、13→9位と4つ順位を上げてシード目前に迫っただけではなく、従来の区間記録を29秒も更新する会心の走りを見せました。つなぎ区間に何故いるのか分からないほど別格の走りを見せますね。出雲に続いての区間賞を獲得し、シードが苦しくなったチームを救いました。箱根5区も区間新の期待が高まります。


駒澤の伊藤は給水を取れず終盤は苦しそうな表情でしたが区間2位、吉田響とは38秒もの差をつけられたものの、良く走ってくれたと思います。出雲はもう一歩でしたが、この走りが出来るならば箱根は6区以外も任せられそう。前回区間賞だった國學院の青木瑠は区間3位とさすがの走り、青学の山内も区間4位で3年ぶりの全日本をしっかりと走りました。中央のルーキー本間が区間5位で走ったのは箱根を見据えても来年度以降を見ても収穫だったのでは。即戦力として活躍してくれました。


大東大は6区にワンジルがいる状況で西代が区間6位の好走、シード圏内の8位に入れたのは大きかった。帝京の末次も区間7位で苦しんだ4区から立て直してきたのは見事でした。早稲田は菖蒲が区間12位と苦し走りでシード争いに後退、状態があまり上がっていなかったという話でしたし、やはり苦しかったか。東農大も実井が区間13位で総合でも10位まで後退してしまうことに。。。国士館は岩下が区間24位と非常に苦しい走りに…走り終わった後は倒れ込んでしまいましたし、総合15位と関東勢最下位に下がってしまいました。

6区区間賞:太陽(駒澤)

3年連続の6区となった駒澤の太陽が3度目の正直で区間賞を獲得、総合2位との差をさらに広げて優勝をさらに手繰り寄せました。区間2位に23秒もの差をつけているのも良いですね。強さを見せつける走りでした。大東大のワンジルが区間2位の走りで総合でも8→6位に浮上、シード獲得に向けて好位置につけました。青山学院は荒巻が区間3位で総合でも2位をしっかりとキープ、中央の吉中は区間4位で総合でも4→3位に浮上、本間とともに新戦力が早速好走したのは頼もしい限り。


國學院の嘉数も区間5位ですから3大駅伝デビューとしては上出来ですよね。3~6区は2年生の4本柱に任せましたが全員が区間3~5位という安定感を誇り、この学年の強さを見せつけました。区間6位に東国大の生田と東洋の村上が並び、生田はしっかりとシード圏内は死守、村上は残る7区間が全て二桁順位の中で唯一区間1桁で走りました。


シード争いでは早稲田の菅野が区間11位と2区間連続の二桁順位で総合8位に転落、長距離区間を考えるとかなり苦しい状況になりました。さらに苦しい走りとなったのが創価の山下、区間16位タイで11位にまで後退、8位とも1分以上の差をつけられることに。東海は折口が区間9位で粘り、総合10位でエースに繋ぐことに。

7区区間賞:平林(國學院)

この区間はとにかく3位争いが面白かったですね。國學院の平林vs中央の湯浅の争いは最後までずっと続きました。最終的に湯浅が総合3位で区間2位の快走、出雲に続いてこの快走は箱根2区でも任せられるほどです。平林は1秒及ばずに総合4位だったものの、区間賞を獲得、エース区間を担い続けた中での初区間賞は非常に価値があります。駒澤の芽吹は後半失速して区間3位、平林とは6秒差ではありますが、もう一歩という走りでした。チームで唯一区間3位以下ということに。


青山学院のエース太田は区間5位でまとめたものの、箱根での圧倒的な走りからするともう一歩だったか。後続の2人が良かったのもありますが、差を詰められることに。箱根ではエースの走りを見せてくれれば。総合トップ4が上位を占める中、唯一割って入ったのが創価のムチーニ、区間4位の走りで総合11→9位に浮上、さらに8位とも4秒差に詰めたのがシード争いに向けて大きかったです。


区間6位で早稲田の伊藤が走ったのはさすがなのですが、区間5位とは56秒も離されているんですよね。今回はトップ5が圧倒的でした。ここでシード争いに巻き込まれてしまうことに。東海のエース花岡は区間7位、総合10位という位置を考えても良く走ったとは思いますが、これまでの実績を考えるとさらなる快走を期待してしまいます。


非常に大きかったのが区間8位で走った大東大の大谷、総合5位と1つ順位を上げて悲願のシードに大きく近づきました。東国大の村松が区間9位、城西の平林が区間10位で7区は総合トップ10と区間順位トップ10が順位の差はあれど同じチームということに。シード争いは総合10位の東海が8位の早稲田と1分37秒差ということで、5位の大東大~9位の創価まで32秒差の争いとなりました。ここではともに区間18位となった東洋の西村、国士館の中島が関東勢最下位ということに。東洋は後1分半で繰り上げスタートでしたし、国士館は関東勢唯一の繰り上げスタートになってしまいました。

8区区間賞:山川(駒澤)

2位争いが面白すぎたので先頭はあまり映りませんでしたが…区間2位に41秒もの大差をつけて区間賞&4連覇のゴールテープを切ったのが駒澤の山川、11.8kmの度会橋(定点)では秒差だったのですが、そこから30秒以上引き離してきたのが凄まじい。戦略としては前半抑えて後半上げるだったのでしょうが、これだけペースアップ出来る余力があったということですからね。今回のコンディションで58分10秒は凄すぎます。


これで駒澤は3大駅伝で5連勝、大東大と並んで歴代最多、次の箱根では前人未踏である2年連続3冠に挑みます。100回という記念大会で歴史に名を刻むのか、それとも駒澤を止める大学があるのか、箱根がますます楽しみになってきました。


2位争いではなかなか追いつかせなかった青学の田中、ひたすら引っ張り続けた國學院の伊地知、ぴったりと伊地知についていった中央の阿部という3人の争い、1度は中央の阿部が2人を置いていったのですが、今度はスパートする2人に逆に置いていかれることに。最後に伊地知を突き放した田中が見事に総合2位でのゴールを勝ち取りました。3位に國學院の伊地知で2年連続の表彰台を獲得、2位には一歩届きませんでしたが強さを見せました。


中央の阿部は最後離されましたがそれでも区間&総合4位、中央が全日本で4位以内に入るのは2007年の3位以来16年ぶりですし、エースの大和が奮わなかった中で他の選手が良く走ってくれました。城西の山本唯は終始単独走ながら区間&総合5位、出雲・全日本ともに目標を達成したのは駒澤と創価の2校だけですね。全日本5位以内の次は箱根3位以内と高い目標を掲げていますが、可能性は十分にあります。区間4位と49秒離されていますが、安全運転だった面もあるかな。


総合6位に創価、吉田凌は区間7位の走りで9→6位と3つ順位を上げて見事に2年連続シードを獲得しました。出雲6区に続いてアンカーの役割をしっかりと果たしてくれました。総合7位に大東大の菊地、区間7位の創価とは1分32秒離されての区間9位ではありましたが、シード権は死守しました。総合8位に東京国際の川内で8位争いを見事に制しました。箱根予選の疲労、予選落ちの精神的ダメージもあるだろう中で2年生アンカーが大役を務めてくれました。


早稲田の伊福は序盤にシード争いから脱落すると総合10位、区間19位と大きく崩れてしまうことに…さすがにシード争いの中で最長区間の8区は荷が重かったか…タイムも64分41秒と非常に苦しい走りになりました。総合9位に割って入ってきたのが東海の竹割、区間13位ながらも1つ順位を上げる走りで崩れずに走ってくれました。石原を欠いた中でシードまであと一歩の9位ならば上出来と言って良いのでは。


総合11位に順天堂の浅井、区間6位と苦しい位置を考えると見事な走りでした。チームのエースと言って良いのでは。総合13→11位と2つ順位を上げる快走でした。総合12位に帝京の小林、区間14位ながら総合12位は守りました。帝京も3区終了時は5位と見せ場は作りましたが、アクシデントのあった4区と長距離区間の7,8区が苦しかった。


総合13位に東農大の田岡、区間20位ということで関東勢ではワーストに。主力を7区までに投入していましたし、ある程度は仕方なかったかな。11→13位と2つ順位を下げることに。東農大も2区終了時で4位、4区終了時でも5位とエース以外の主力も見事な走りを見せました。


総合14位に東洋が沈んでしまうことに…エース格の梅崎ですら区間12位ですから、いかに過酷なコンディションで総合順位が下位で結果を残すのが難しいかが分かります。8区間中7区間で二桁順位も含めて衝撃的な結果でした。箱根連続シードもこのままでは険しすぎる道となりそう。総合15位に国士館の横田、区間17位で総合では14位の東洋に5分の差をつけられることに。8区間全てで区間14位以下ではどうしようもないですね。今回駅伝を経験できたのは大きいですが、箱根に向けてはやはり課題が多そう…


今回も関東勢がトップ15を独占する結果となりましたが…16位に大阪経済、17位に関西学院、18位に関西大と関西勢が続きました。特に関西大学は8区守屋が区間8位の快走で20→17位と3つ順位を上げる殊勲の走り、この走りで来年度も関西勢は4枠を確保できたはず…名古屋大が19位で増枠まであと一歩という結果でした。立命館は出雲に続いて奮わず20位、箱根予選もありましたが出雲・全日本ともに合わせられなかったのが気がかりです。

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