箱根終了後に考える出雲駅伝(2025年度)の展望

状況

箱根予選に続いては、10月に行われる出雲における現段階での展望を述べていきます。全日本も同様ですが関東勢を見ていきます。関東からは前回の出雲成績により、箱根でシードを獲得した10校(青学、駒澤、國學院、早稲田、中央、城西、創価、東京国際、東洋、帝京)が出場することになります。


6区間と最も区間が少なく距離も短い出雲駅伝、1,3,6区の主要区間を任せられる3本柱がいる大学が強いですが、つなぎ区間、特に2区が近年は大事になってきます。以前ほど6区での大逆転というのは起きにくくなっていますし、留学生を含め大エースは6区よりも3区に起用される傾向も増しています。

青山学院大学

一時は出雲を得意としていましたが、最近は箱根に絞っていることも多く、2018年を最後に出雲は勝てていません。今年度出雲を走ったのは黒田朝日と宇田川の2人のみ。3大駅伝経験者も7人しかいないんですよね。それだけ4年生が強かったわけですし、その抜けた穴はあまりにも大きい…はずなのですが、3大駅伝初出場で揃って当然のように好走するのが青学なんですよね。来年度優勝しても何も驚きは無いですし、また優勝候補の一角に名を連ねることになりそう。

駒澤大学

今年度2位に入ったのはチームにとって大きな収穫でした。桑田、帰山、山川、伊藤、島子と経験者が5人おり、ここに圭汰が加われば6人揃ってしまいますし、箱根で3区を走った谷中も有力候補。他にも海晴、村上、小山と箱根に出場した選手が揃い、つなぎ区間の出場争いも激しそう。出雲ではエース力というのが大事になってきますし、そうなると3区圭汰、6区山川のような布陣が組めるのは強いです。今年度は出雲前は正直優勝候補と思っていなかったのですが…来年度は優勝候補の一角、状況次第では筆頭と言われていてもおかしくなさそう。

國學院大學

今年度優勝を果たし、連覇に挑むことになります。青木、辻原、野中、上原と経験者が4人残り、1区青木、3区辻原、6区上原のように主要区間はあっさりと埋まってしまいますし、他にも高山、嘉数、吉田といった箱根出場者、他にも28分台のベストを持つ選手が後村、田中登、田中愛、飯國らズラッと揃っており、全大学で最も厚い選手層を誇っているかもしれません。エース区間もつなぎ区間も心配無さそうですし、連覇を達成したとしても何も驚きは無い戦力を有しています。

早稲田大学

今年度は結果として3強が3大駅伝全てでトップ3を独占しましたが、そこに最も迫ったのが箱根4位の早稲田でした。出雲こそ6位でしたが、出雲で苦戦した山口智、山口峻はその後主要区間で好走、藤本、長屋、工藤と出雲経験者が揃っています。他にも間瀬田、山崎と箱根で好走した2人はスピードも抜群。そして早稲田の期待値を最も高めているのは鈴木、佐々木という最強ルーキーコンビの存在です。高校トップ2はこの2人と言われても納得してしまう実績…出雲を早稲田は比較的苦手としていますが…しっかりと合わせられれば優勝しても納得のエース力を有しています。

中央大学

前年度の箱根でまさかのシード落ちで出雲を逃しましたが…来年度の出雲は非常に楽しみです。駿恭、溜池、本間の27分台トリオで主要区間は埋まってしまいますが、白川、岡田はともに主要区間を担うべき選手たちという選手層の厚さ。他にも吉中、藤田、佐藤大ら箱根出場の実力者がズラッと揃い、1万mの平均タイム全大学トップのスピードを誇り、新入生も濱口ら有力選手が何人も加入しますからね。中央も優勝候補の一角として名を連ねることになりそう。

城西大学

前回は7位とやや苦戦しましたが、斎藤、キムタイというエース区間を安心して任せられる2人がおり、鈴木、山中と前回経験者が4人いる一方で箱根にはこの2人は出場しておらず、小林、三宅という1年生コンビに9区区間賞の桜井に岩田、中島と経験者が揃います。もう1区間の主要区間を誰が担うのかというのは気になりますが、1区斎藤、3区キムタイだとすると、6区桜井とかになるのかな。箱根トップ5よりは戦力的にさすがに厳しそうですが、そこに割って入るだけの力はありそう。

創価大学

前回経験者は石丸惇、山口、黒木の3人ですが、本来であればここにムチーニが加わりますし、野沢もエース級へと台頭しました。1区石丸惇、3区ムチーニ、6区野沢のような布陣が組めるのは強いですね。箱根は他にも齊藤、川上、織橋、石丸修、小池と5人も出場しており、箱根で小暮、石丸惇らを起用出来なかったこともあって3大駅伝経験者は豊富です。ただ、吉田響が抜ける影響があまりにも大きく、他の優勝候補と比べるとエース力不足は否めないかなあ。

東京国際大学

出雲はエティーリとベットのどちらが出場するのか…箱根2区区間記録保持者であるエティーリが6区となると、他大学にとっては脅威でしか無いです。中山、菅野、大村ら箱根経験者はいますが、4年生が抜ける影響は非常に大きく、菅野3区、6区エティーリとして1区はどうするのか、つなぎ区間も他に3大駅伝経験者は川内しかおらず、経験値はかなり下がってしまいます。いかに最強留学生がいるとしても、なかなか上位争いに加わってくるのは難しそう。

東洋大学

前回は11位と関東勢最下位に沈んでしまいましたが…さすがに主力を欠きすぎましたからね。前回出雲を走った6人(緒方、濱中、網本、迎、西村、宮崎)は全員残っており、同じメンバーで臨むことも可能。ここに箱根で快走を見せた岸本、来年度のエース候補として期待のかかる松井、内堀、薄根といった箱根経験者もおり、選手は揃っています。その一方でエース区間となると1区緒方、3区松井、6区岸本のような布陣は組めますが、ちょっと厳しそうかなあ。それでも関東下位に沈むチームではないはず。

帝京大学

前回は8位、1,6区を走った山中、福田は抜けますが、尾崎、廣田、楠岡、鎗田と経験者は4人残ります。ここに箱根で往路を走った島田、柴戸で6人は揃います。個人的に期待している1年の小林咲も箱根で好走、完全復活が待たれる3年の藤本、3大駅伝出場が待たれる2年の原、1年の松井らもいて、出雲の出場争いはなかなかに激しそう。ただ、これまでの箱根での結果を見ると、前回と同じ8位前後というのが一つの目安になるかな。

まとめ

来年度の出雲も優勝争いは激しくなりそう。特に箱根でトップ5だった青学、駒澤、國學院、早稲田、中央の5チームはいずれも優勝してもおかしくない戦力を有しています。その中でも青学や早稲田はあまり出雲に合わせてこない印象があるので、どれだけ出雲から勝ちにいくかというのも大事になってきますよね。そうなると、駒澤や國學院が強い気もするのですが・・・来年度は箱根を重視する可能性もあり、出雲に合わせられた優勝候補がそのまま勝ち切る気もします。


出雲は箱根はもちろん、全日本と比べてもシードがないこともあってどうしても軽視されがちですが…それでも3大駅伝の初戦となる大事な大会です。特に3冠を目指している大学にとっては、出雲で優勝を逃すともう3冠達成は不可能になってしまうわけですし。今年度の出雲はアンカーまで優勝が分からない面白いレースが繰り広げられましたし、来年度もハイレベルなレースを見せて欲しいです。