第101回(2025年)箱根駅伝振り返り ~國學院大學~
続いては國學院大學における箱根駅伝の振り返りと来年度に向けての展望を述べていきます。箱根結果はこのようになっております。出雲・全日本を制覇したことで箱根に向けての期待値も大幅に上がっていましたが、個人的には予想通りだったかなあ。上手くハマって2位、順当ならば3位、悪ければ4位以下も全然あり得ると思っていたので…理由は以前も書いていましたが大きくは2つ、山を苦手としていて1年で克服するのは難しいであろうこと、優勝候補として箱根に臨む恐ろしいほどのプレッシャーを経験したことがないからです。

1区の野中は区間6位、本来は1区予定では無かったという話ですが…それでもしっかりと上位で走ってくるのはさすがです。区間2位ともわずか8秒差ですし、スターターの役割を果たしました。2区の平林はやや調子が上がりきらなかったという話でしたが区間8位、タイムも66分38秒は決して悪くないのですが…それでも2区終了時で総合8位に後退してしまうのは2区の恐ろしさを感じるとともに優勝を狙うチームとしては痛かったかな。
3区の山本は区間5位と箱根は3度の出場で全て3区5位という結果でした。素晴らしいほどの安定感ではありますが、全日本で区間新記録を叩き出すなど好結果を考えると、これでも物足りなく感じてしまいますよね。4区の青木瑠は区間2位とさすがの走り、しっかりと持てる力を発揮してくれたのではないでしょうか。タイムも順位もハイレベルでした。
5区の高山は区間14位と最大の懸念事項だった5区で大きく離されてしまうことに。総合6位で先頭とは5分25秒の大差をつけられ、優勝争いから脱落してしまうことに。最もタイム差のつく山はやはり怖いです。エースが走った時以外は軒並み苦戦していますし、鬼門となっています。6区の嘉数も区間16位ということで上りだけではなく下りも苦しかったですね。ただ、ここは本来後村が出場予定だったのが故障で走れなかったということで、急遽の6区となればさすがに難しいですよね。本来は1区予定だったのかな?
7区の辻原は区間2位タイとさすがの走りだったのですが…タスキを落としてしまったのはもったいなすぎましたね。あれで10秒以上はロスをしていたはずなので。。。それでもこのタイムで走ってしまうところに強さを感じます。8区の佐藤は区間7位も2つ順位を上げて総合4位に浮上、故障に悩まされることも多かったですが、2度出場した箱根ではいずれも結果を残してくれました。
9区の上原は区間6位、本来の力からすると快走とは言えないかもしれませんが、脇腹を抑えている場面もありましたし、3位とは1秒差でアンカーにタスキをつなぎました。10区の吉田は区間3位の好走、それよりも3位争いを制したのが何よりも大きいですよね。今年度は出雲・全日本ともにメンバー外で箱根は大丈夫なのかな?と心配していましたが、しっかりと箱根には合わせてくれました。
2区平林、3区山本、8区佐藤と今回の箱根出場メンバーからは3人が抜けることになります。特に平林は3大駅伝全てに出場した唯一の選手であり、その全てが主要区間、そして最も悪い区間順位が最後の箱根での8位ですから、いかにずば抜けた強さと安定感を誇ったかが分かります。大エースが抜ける影響は全大学でもトップクラスに大きいです。
さらに鶴、中川という箱根16人に入った選手たちに沼井、原といった3大駅伝経験者、板垣、木村ら持ちタイムを伸ばしてきた選手など國學院史上最高のスカウトと言われる学年でしたから、その影響は極めて甚大なのですが…それに負けないくらい来年度も強力な選手層を誇ります。今回の箱根に出場した7人は来年度も主力として当然活躍が期待されますし、3年ならば田中登、渡辺、鎌田ら実力者が揃い、2年生も6区経験のある後村、7区経験のある田中愛、持ちタイムを伸ばす山倉らも力があります。
ルーキーは3大駅伝にいずれも出場出来なかったのですが…飯國、尾熊、岡村と箱根16人には3人が入っていて来年度は出場が期待される選手たち、他にも5千で13分台のベストを持つ選手が浅野、中川晴、鼻野木らがいますからね。チームの中心学年になりうる選手たちが揃っています。
来年度も出雲・全日本は引き続き優勝候補として名を連ねることでしょうし、どちらも連覇を達成してもおかしくないかと。青木、上原、辻原、野中と主要区間を担える選手たちが揃っていますし、つなぎ区間の充実度も全大学でトップクラスですからね。その一方で箱根となると本当に箱根に特化するくらいでないと難しいかもと思いつつ、國學院はそんなことはしない気もするんですよね。箱根が全てでは無いでしょうが、箱根に勝つには箱根だけに全てを賭けても困難という悩ましさ。
出雲・全日本を制して箱根に向けて大きな注目を集め、プレッシャーにさらされたのは國學院にとっても良い経験になったでしょうし、全大学でもトップクラスの選手層の厚さというのは、箱根優勝に向けても大きな武器となります。次に箱根初優勝を果たすのは國學院だと思っていますし、その栄冠を是非とも来年度掴み取って欲しいです。