第101回(2025年)箱根予選結果 ~厳しいコンディションの中、10位争いは1秒差の決着~
箱根予選当日だけ夏のような暑さとなった今年度、途中棄権となる選手が何人も出てくるなど、まさにサバイバルレースとなりました。前回の箱根で11位の東海、12位の国士舘がともに予選落ちとなる一方、前回の箱根予選で18位の専修が2位通過、箱根最下位の山梨学院が3位通過を果たすなど、波乱の展開となりました。大学ごとにレース結果を15位以内を中心に振り返ります。レース結果はこのようになっております。
上位通過候補の1校でしたが、見事にトップ通過を果たしました。主力の稲塚が当日外れたことでやや不安になりましたが、馬場の15位を筆頭に林が25位、國安が30位とエース格が上位をキープ、2桁順位が8人、10番手も137位と稼ぐ選手が稼ぎ、耐える選手も崩れることは無かったですね。高林監督になってから、全日本予選突破に箱根トップ通過と強さを見せています。
全大学の成績で最も驚いたのが専修の2位通過でした。正直予選落ちの可能性が高いと思っていましたし、上手くハマったとしても下位通過だと思っていただけに、2位通過は望外です。まずはマイナが留学生の先頭集団に食らいついて3位、ここで大幅な貯金を稼ぐことに。さらに、新井、上山がともに30位以内の快走、具志堅、大和田も2桁順位で走って100位以内は5人、さらに10番手でも170位で粘ったのも素晴らしかったです。前回の予選18位から2位は大躍進と言って良いでしょう。
通過校の中で専修の次に驚いたのが山梨学院大学、前回の箱根予選は最下位通過、箱根でも最下位という結果を考えても、今回は厳しい戦いになると思いましたが…キピエゴが全体2位の快走で貯金を稼いだのは予想通り、さらにルーキーの阿部が45位のチーム2番手に入ってきたのにはびっくりしました。徳田、平八重もともに60位台でまとめる見事な走りでしたね。10番手でも185位と上位10人が200位以内できっちりと走りました。ここまで日本人選手が揃って好走するとは思っていませんでしたし、素晴らしい走りでした。
初出場から最多連続出場を続けることによる圧倒的なプレッシャーがありますが、それを上回る驚異的な集団走と安定感、箱根予選で最も安心してみていられるチームです。山崎が16位、平島が19位とエース格がしっかりと貯金を稼ぎ、田島も33位ということで3年生トリオがトップ3を占めることに。集団走は例年ほど完ぺきではなく、100位以内は7人も8番手が149位と差が開いてしまいましたが…それでも10番手が201位で何とか粘り、危なげなく連続出場を果たしました。
エースの吉田が日本人トップを期待されてその通りに走り切る全体10位、まさにエースの走りでした。さらにもう1人のエースである近田が18位と稼ぐべき選手がしっかりと貯金を作ったのが大きかったですね。柴田、市川がともに2桁順位で走った100位以内は4人、そして10番手でも143位、さらに11番手も148位という素晴らしい走りを見せました。11番手の順位は全大学で最も良いですし、日体大を超えて最も集団走を機能させた大学となりました。
エース級を複数欠き、さらに当日本間も外れたことでやや不安ではありましたが…白川が17位とさすがの走り、期待のルーキー岡田が24位で続き、阿部、原田、佐藤と5人が50位以内、うち3人がルーキーということで中央のルーキーの強さを改めて感じました。その一方で100位以内も5人のみ、9番手が139位も10番手が遅れてしまって218位とややヒヤッとする結果に。トップ通過を目指していた中での6位通過はやや物足りない結果だったかな。
キップケメイが2年連続の全体トップ、稼げるだけ貯金を稼いでくれました。箱根予選で本当に頼りになる選手です。さらに大仲が34位、安藤が57位、冨田が58位と続く日本人の主力たちもしっかりと上位で走っています。5番手は110位の高田と順位の差はありましたが、それでも10番手は183位と集団走で走り切ったことで貯金を食い潰さずにすみました。安定した走りを見せてくれましたね。
前回は3秒差に泣いた東国大、エースのエティーリが11位も日本人トップの吉田にも遅れる苦しい展開、差し込みが来ていたでしょうか。さらに楠木が途中棄権という苦しい状況、前回の悪夢がよぎるところでしたが、佐藤が31位、大林が35位、菅野が44位とエティーリだけに頼らない走りを見せてのが大きかった。100位以内は6人、10番手が224位と8~10番手は苦戦しましたが、それでも貯金を活かして箱根返り咲きを果たしました。
全日本予選を通過したとはいえ、神大も予選通過は難しいかと思っていました。さらにエースの宮本が途中棄権となってしまう危機的な状況、それでも酒井が41位で走ったのを筆頭に100位以内で6人走り、志倉、西坂、近藤と3大駅伝・予選会初出場だった選手たちの好走が光りました。大きく稼ぐ選手こそいませんでしたが、10番手の中野が175位で粘っての予選通過、最後の定点である17.4km時点では苦しいかと思いましたが、唯一ここから逆転での通過を果たしました。
エースの浅井が14位と好走、海老澤も37位、古川が50位と上位陣が力を発揮する一方で吉岡は98位ともう一歩、150位以内もわずか6人しかいないという苦しい状況でした。それでも、10番手の児島が199位と10人が200位以内で走る粘りの走りで総合10位、そして11位とはわずかに1秒差で箱根連続出場を勝ち取りました。10人がハーフの距離を走って1秒差、本当にギリギリの戦いを制しました。ただ、箱根に向けては非常に不安になるレースだったのも事実ですね。
エースの前田を欠いたことでボーダー争いに絡むこともないと思っていたのですが…栗本が46位、植月が74位と同学年の前田がいないのならば自分がという2年生が見事な走りを見せました。その一方で原田が97位、深堀が102位ということでエース格の2人がもう一歩伸びなかったか。150位以内は8人、10番手でも211位ということで前田抜きで良く走りましたが…あと一歩、あと一秒届かずに箱根連続出場とはなりませんでした。
チームトップが83位の吉川響、84位の溝上、93位の土田と100位以内は3人いましたが、本来稼ぐべき選手が貯金を作ることを出来なかったのが大きく響きました。特にルーキーの土田はよく走りました。10番手が172位ということで予選通過校と比べても10番手のタイムは上位ですからね。8番手の東原、9番手の大湊、11番手の尾崎、12番手の森下らは本来であれば上位で走って欲しい選手たちですし…当日欠場した堀も含め、チームとして箱根予選に合わせきれなかったという印象を受けました。6年連続で続いて箱根出場を逃してしまいました。
エースのカマウが留学生の集団から遅れてしまい、20位に留まったのがまず痛かったですね。その一方で西田が55位、川勝が61位、横田が72位と主力どころは悪くない走りを見せてくれました。5番手が134位の渡辺ということで4番手と差が開いてしまったこと、10番手が227位ということで8~10番手も190位オーバーと苦労したこともあって総合13位に留まることに。最近は最下位通過であっても粘り強く箱根連続出場を果たしていましたが、8大会連続出場で途切れてしまいました。
当日鈴木が走れなくて不安になりましたが…その不安が的中する結果に。花岡が23位、ルーキーの檜垣が29位と快走、100位以内が6人と上々の走りでしたし、このままいけば通過出来るというところだったのですが…ラスト10mほどでロホマンが倒れてしまうアクシデント、そのまま途中棄権となりました。東海にとって悲劇だったのはその時点で11番手の越がはるか後方だったこと。越がゴールしたのは9番手の中井がゴールしてから4分50秒後でした。アクシデントがあったのはもちろん大きかったですが、通過校と違ってリカバリすることが出来ず、箱根連続出場は11年で途切れてしまいました。
全日本予選に出場を果たして18位だった流経大ですが、箱根予選で15位に入ったのは上出来の結果と言って良いでしょう。森川が27位、長谷川が48位と稼ぐべきエースたちが上位で走りました。一方で留学生のムテチは94位と苦しい走りに…それでも100位以内が99位の小島も含めて4人いたのは素晴らしかったです。ただ、200位以内は7人にとどまり、10番手は240位の伊藤ということで、選手層の薄さが結果として響くことに…それでも十分に見せ場を作ってくれました。
前回箱根出場を果たした駿河台はレマイヤンが5位、100位以内に5人は決して悪くなかったですが、101~200位が163位の小島のみ、さらに201~300位も250位の佐々木のみということで、良かった選手と悪かった選手の差が非常に大きく、10番手が東泉で362位に…300位オーバーが5人いては通過は厳しいです。
初出場を狙った麗澤は17位、工藤、鈴木のダブルエースに東も54位と快走、留学生のシュンゲヤは142位と苦しい走りになってしまい、稼げなかったですね。それでも、200位以内は6人ということで特に8番手以降は下位に沈んでしまいました。
