箱根終了後に考える箱根駅伝(2023年度)の展望 その2 ~箱根シード校~

状況

最後は、来年1月に行われる箱根における現段階での展望をシード校(駒澤、中央、青学、國學院、順天、早稲田、法政、創価、城西、東洋 )に対して述べていきます。来年度の箱根もまず箱根シード校で優勝争いを繰り広げることになるでしょう。12月には何強と呼ばれているんでしょう。少なくとも1強という言い方はされないと思うので、2~4強くらいになるのかなあ。2強ならば駒澤と中央、4強ならばさらに國學院、青学と入ってくるか…


全日本で4チームに割って入るような成績を残す大学が出てくれば、さらに5強、6強とまた増えていくかもしれません。駒澤と中央が来年度も強いとは思いますが、駒澤には今年度あったものの来年度無いものがいくつもあり、逆に中央は今年度は無かったのに来年度はのしかかってくるものがいくつもあります。両チームが揃って来年度の箱根でも今年度のような好結果を残す可能性は正直低いと思っています。

駒澤大学

戦力的には来年度も大きな不安はありません。今年度の箱根経験者が7人残り、元々出場予定だった圭汰、花尾で9人、さらに唐澤が戻ってくればもう10人揃ってしまいます。ただ、今年度と来年度で異なる点がいくつもあります。まず、この3年間で箱根2度を含む6度の3大駅伝優勝を果たしていますが、そのすべてに出場した唯一の選手、田澤廉が抜けることとなります。大エースが抜けたことで残る戦力が揃っていても力を発揮出来ないことは良くありますし、田澤のいない駒澤は箱根で優勝出来るのか?という不安はあります。


さらに大八木監督が勇退するという影響も大きいです。総監督としては残るという話でしたが、藤田新監督となっていきなり今年度のような結果を残せるのかは正直未知数ですからね。監督が代わって上手くいく例もありますが、苦戦するケースも多いですし。最後にモチベーションです。今年度は3冠に向けて非常にモチベーションが高かったでしょうし、3冠を達成したチームが今年度と変わらぬモチベで箱根に臨めるのか?というのは正直かなり不安です。


実際に私は現時点で今年度ほどの熱い想いは無いです。2年前はもう箱根で12年も優勝していない、全日本でいくら勝っても箱根で勝たないと認めてもらえない、だから勝ってほしいという想いが強かったですし、今年度も3大駅伝で最多勝利校なのに他に4大学も達成している3冠を一度も出来ていない、だからこそ何とか3冠を獲得してほしいという想いだったので。各選手のコメントを見ている限りは、2年連続3冠に向けてかなりモチベ高そうではありますが…

中央大学

中央も戦力的には何も心配いりません。唯一、優勝を狙えるであろう大学で往路を走った5人全員残っています。往路優勝と30秒差の2位に入った5人が残っているのですから、大きなアドバンテージとなります。往路メンバーのうち1人は復路に温存ではなく実力で追いやる選手が出てくれば、さらに盤石だと思いますが…


復路の経験者が4人抜けるのは大きいですが、新入生も有力選手が多く加入しますし、1~3年生も3大駅伝未経験ながら楽しみな選手が何人もいます。総合力では今年度以上のチームを来年度築く可能性も十分あります。その一方で先述の通り来年度は不安要素もあります。まずは優勝へのプレッシャー、中央が優勝候補として箱根に臨むのはいつ以来なのか…前回優勝した時は神奈川、山梨学院という2強が揃って棄権という異常事態で少なくとも筆頭では無かったはず。


青学も今年度は優勝候補のプレッシャーに苦しんだという話をしていましたし、来年度は優勝候補として臨むであろう箱根で今年度と同様に力を発揮することは出来るのか?というのはあります。また、今年度は他大学が揃って故障者や不調者に苦しむ中、上位校では唯一と言っていいベストメンバーで臨むことが出来ました。


そして来年度はこれが基準となります。同じようにベストメンバーを組めるのか?駒澤や青学のように主力を欠くような事態になった場合に、大きく戦力ダウンしないだけの選手層を築くことが出来るのかというのも気になるところ。来年度は4強だとすると、現時点で最も選手層が薄いのは中央だと思っているので。。。


こちらは余談でもありますが、箱根の放送で気になったのが「中央である以上目指すのは優勝のみ」みたいなOBのコメントがあったんですよね。6連覇時代ならば納得ですが、それ以降は60年で1度しか優勝していないのに??伝統校ならではの難しさもあるのかなと思ってしまいました。Twitterで見かける中央ファンは苦しい時期を経験している方が多いだけに、かなり謙虚な印象なのですが。

青山学院大学

今年度の箱根経験者が7人と大量に抜けることになり、大幅な戦力ダウンは避けられません。それでも、箱根後は記録会で好走する選手も多く、2年生世代を中心に有力選手が揃っていることで箱根の優勝争いに引き続き残る可能性も十分あると個人的には思っています。ただ、その一方で選手層が今年度よりも薄くなるのは間違いないかと。


太田、佐藤、田中に志貴、若林と箱根経験者は5人と経験不足は否めませんし、記録会で結果を残している選手が箱根でも同様に好走できるかは未知数ですからね。故障者や不調が今年度多く出てしまった中、来年度は主力が全員万全で臨めるというのも考えづらいですし、どれだけの選手層を築いてくるかにも注目です。


箱根初優勝以降は2年連続で優勝を逃していないというのは続いていますし、来年度また優勝に返り咲くことが出来るのか、少なくとも優勝争いに加われるのかというのは今後を見据えても大事になってくるかと。ここで優勝争いにも加われないようだと、3大駅伝だけではなく箱根でも青学の時代は終わったということになってしまいそうでですし。

國學院大學

エースの中西大を欠いても4位に入った今年度は地力の高さを見せました。箱根経験者が7人残り、6人が2年生以下です。國學院が相対的に最も強いのは平林、山本世代が4年時になるときだと思いますが…来年度は優勝争いに加わるだけの力はあると思っています。2,5区はもう平林、伊地知に任せることになるでしょう。入れ替わる可能性はありますが、優勝を狙うのであれば5区はエースを起用するしかないかと。


箱根となると3年生からも伊地知以外に出てきてほしいですよね。藤本のように4年生になって一気に主力となる選手が出てくればチームに勢いも出てきます。6区もしっかりと準備する必要がありますし、復路も走れる選手は揃っていますが区間上位で走る選手が何人も求められますし…3位争いには現時点でも加われるでしょうが、優勝争いとなるとチーム全体でのレベルアップが必要となりそう。

順天堂大学

今年度の経験者は5人、いずれも好走したクインテットが抜けることによる影響は青学と並んで非常に大きいです。いくら有力ルーキーが加入すると言っても、出雲や全日本に比べればさすがにルーキーに大きな期待をするわけにもいかないですし、箱根を未経験の2,3年生が多く戦力となってきてほしいところ。3年ならば内田や出口、2年ならば油谷、海老澤、服部という3大駅伝経験者に神谷もいます。


往路は三浦、石井に浅井も入ってきそうですし、スーパールーキーの吉岡の存在も大きい。1年目から2区を任せられれば、三浦を1区か3区で起用出来るので大きい。5区は神谷が候補として以前から挙がっていましたし、6区は服部も候補ということで5,6区の争いはもっと激しくなって欲しいところ。現時点での印象は今年度と同じ5位ならば上出来と言うところかなあ。

早稲田大学

今年度の経験者は8人、シード校の中で来年度最も順位を上げる可能性が高いのが早稲田だと思っています。井川、鈴木が抜けることとなりますが、元々7区は山口が起用予定だったということで往路も任せられる実力者ですし、さらに即戦力ルーキーとして期待される工藤もいきなり往路でもおかしくないかなと。これだけで10人揃ってしまうわけですからね。5,6区の伊藤、北村はともに好走していて来年度も心配いりません。


気になる点があるとすれば2つ。まずは2区を任せられる選手です。今回は石塚が走りましたが耐える2区ではあったはず。2区を上位で走れないとさらなる上位争いに加わるのは大変ですし、石塚がさらに成長するか他にエースが台頭するのか、2区の選手起用は気になるところ。もう1つは選手層です。今年度は伊藤や菅野の台頭がチームに厚みを持たせました。さらに宮岡、須山あたりが復路で計算出来るようになるとさらに争いも激しくなりますし、実力者の辻もいます。来年度は5位以内やさらに上位に入ってきてもおかしくないかなと。

法政大学

今年度の経験者は6人、内田を筆頭に4年生の抜ける穴は大きいですが小泉、稲毛も含めて経験者が8人いるのは頼もしいです。5区は細迫と高橋が激しい争いをしていて調子の良い方を起用出来ますし、6区は2年連続区間5位以内で走っている武田がいますからね。山は現状心配はいらないですし、1~4区も松永、小泉、宗像らがいますし、さらに復路を走った宮岡や高須賀も候補になってくるか。


来年度に向けては大島、清水、高橋ら1年生がどれだけ戦力となってくるかも選手層に直結します。今年度は正直目立たなかったですが、清水はすでにハーフも64分台で走っていますし、今後の飛躍に期待。新入生も楽しみな選手は入りますが、現状だと往路の方が勝負出来る選手が揃っているような気も…復路も今年度のように上位で走ってくるにはさらなる選手層アップが必要ですね。今年度と同じ7位で走れれば現状は上出来といったところかなあ。

創価大学

今年度の経験者はわずかに4人、主力の葛西、嶋津、濱野に箱根で好走した横山、濱野、緒方が揃って抜ける影響の大きさはシード校でNo.1かもしれません。しかし、2区はカミナが担うことになるでしょうし、石丸、野沢という箱根を走ったルーキーが箱根後にハーフで62分台をマークして力のあるところを改めて見せました。今後は主力となっていくであろう2人です。


さらに新主将の志村もハーフで好走と4年生が抜けた後もまだまだ創価は強いと言わんばかりに結果を残していますからね。箱根経験者の吉田凌に主力となることが期待される小暮といった2年生、ハーフでタイムを伸ばしている山下蓮、黒木といった1年生ら選手はまだまだ揃っているんですよね。非常に育成力のあるチームですし、箱根後も好走を見てもまた来年度もシードを獲得するような戦力をまた築いてくることでしょう。

城西大学

今年度の箱根出場者は10人全員が3年生以下で来年度も残ります。シード校の中では城西が唯一ですね。5区区間記録保持者となった山本唯は来年度2区を希望しているそうですが…そうなったとしても5区に斎藤を起用出来るので不安は無いですよね…復路を走った平林、山中らは往路を走れる力がありますし、往路の出場争いも熾烈となりそう。


1年生を5人も起用してシードを獲得出来たというのも来年度以降に向けて大きいですよね。単純に今年度と同じ区間配置でもさらに上位は狙えそうですが…3年生の復活が選手層を厚くするには大事になってきます。中田、小島、新井、山本樹、堀越、成田と3大駅伝・予選会を経験している選手が揃いますからね。この中から1人も2人でもメンバー争いに戻ってきてくれれば…今年度からどれだけ順位を上げるのかが楽しみな大学ですが、2年連続で最近は結果を残せていないところは気がかりかなあ。

東洋大学

今年度の経験者は5人と実は卒業生の穴が大きい大学なんですよね。ただ今年度はベストメンバーが全然組めなかったのは事実であり、松山、九嶋、熊崎ら万全であれば出場していた選手はいますし、他にもまだ各学年に候補は揃っています。3年ならば全日本に出場した奥山、村上、2年ならば出雲で6区を任された吉田、1年も緒方、網本ら実力者がいます。


新入生も都道府県対抗で好走した田中を筆頭に全国の舞台で実績のある選手が揃いますし、複数の選手が箱根で1年目から走ってもおかしくありません。松山、石田、小林に梅崎も往路候補となってくるでしょうし、今年度の結果は参考にならないのかもしれませんが…それでも東洋が一時的とはいえ最下位を走っていた姿は衝撃的でした…かつては東洋の箱根への調整力はピカ一だったのですが…来年度もシードを獲得する可能性は高いでしょうが、再び3位争いに加われるかというと現時点では可能性が低そうかなあ。

まとめ

戦力的に抜けているのは駒澤と中央でしょうし、続くのは國學院と青学というのが現時点での印象です。今年度よりも上位に入ってきそうなのは早稲田と城西かなあ。4年生が卒業することによる戦力ダウンが大きい大学は青学、創価、東洋らいくつもありますが、かといって来年度のシードが明らかに厳しそうな大学は1校も無いんですよね。シード校が2年連続で変わらないというのは記憶に無いですが、そうなってもおかしくないほどに楽しみな大学がシード校には揃っています。


ちなみに、前年度の展望はもう青学の一強で余程のことが無い限り連覇を達成するであろうとなっていました。箱根でのあれだけの走りを見せつけられ、さらに主力がごっそり残っていればそう思ってしまいますよね…正直、戦力的な不安要素は皆無で優勝候補筆頭が最近勝てていない、青学が4連覇以降はどこも連覇を出来ていないというある意味ジンクスくらいしか不安は無かったくらいですから。


しかし実際には駒澤に7分以上、中央にも5分以上の差をつけられての3位になってしまうのですから、いかに連覇を達成するのが難しいかが分かります。来年度の箱根も予想していなかった大学が優勝している可能性もありますよね。それが大学駅伝の面白さでもあり、怖さでもあるのですが。今年度の箱根は優書争いが復路まで続いて非常に見ごたえがありましたし、来年度も激しくハイレベルな優書争い、シード争いを期待したいです♪

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