選手特集(23卒) 駒澤大学:田澤 廉 ~3大駅伝6勝、3冠へ導いた大エース~

2023年2月5日

元々はオレゴン世界陸上代表を決めた際に作成した記事ですが、駅伝シーズンの走りも追加し、大学時代の走りを振り返ります。田澤が入学するまでの4年間は3大駅伝で1度も勝てておらず、箱根シード落ちもありましたが…在学中の4年間で3大駅伝に11戦6勝、4年時にはチームを3大駅伝に導き強い駒澤を取り戻しました。その中心にいたのは間違いなく田澤でしょう。

大学1年

入学時からもちろん期待の選手でしたが、高校2年時の活躍に比べると3年時はやや物足りない結果だったため、大学でどこまで結果を残せるのかはやや心配な部分もありました。故障もあってやや出遅れたものの、5月に5000mで14分3秒とまずまずの走りを見せると、関東インカレ2部5000mで7位入賞という素晴らしい走りを披露、大器の片鱗を見せることとなりました。


9月には5千で13分41秒のベストを叩き出すと、出雲駅伝では主要区間の3区を任され、並みいる他大のエースを相手に互角以上に渡り合って区間2位、総合トップに浮上する見事な3大駅伝デビューを飾りました。さらに全日本ではこれまた1年にしてエース区間の7区に抜擢、6区終了時で8位とシード権ギリギリだったチームを総合4位まで押し上げる走りで区間賞を獲得することに。


八王子LDでは1万mで28分13秒とベストをマークすると、箱根では往路の3区に起用されて区間3位、2区終了時で13位→6位にまで順位を上げる走りで3大駅伝全てで主要区間を担って3位以内の好走と抜群の成績で1年目を終えました。もう1年目からエースとしての強さを身に着けていましたね。

大学2年

ホクレン深川大会5000mで13分37秒の大学ベストをマーク、この走りでも正直物足りないと感じてしまうほどでした。日本インカレでは1万mに出場して日本人トップの4位で走ると、全日本では最長区間の8区を任されることに。ここでは東海の名取とともに青学の吉田を追っていき、ラスト1.2kmでの圧倒的なスパートで勝ち切って区間賞、6年ぶりに全日本優勝にチームを導きました。


12月に行われた日本選手権にも出場、ここでは27分46秒を叩き出して8位と見事な走りでしたが世界を目指すにはまだ上がいることも思い知らされる結果となりました。日本選手権の1か月後に行われた箱根に合わせるのはさすがの田澤でも厳しく、エース区間の2区に起用されて区間7位、田澤の力からすれば物足りない結果とはなりましたが、15→8位と7つ順位を上げて総合優勝に貢献しました。

大学3年

本格的に世界を見据えることとなった3年時、日本選手権では故障明けにも関わらず27分39秒とさらに自己ベストを更新する好タイムを叩き出しての2位に入ることに。大学の枠を超えて日本トップクラスの選手の1人となりました。しかし、東京五輪参加標準である27分28秒には届いていなかったため、デンカチャレンジ1万mで記録を狙いましたが暑かったこともあって、組トップだったものの27分52秒に留まり東京五輪出場は叶いませんでした。


その後、ホクレン千歳で13分29秒と自己ベストをマークすると、出雲では6区を任されたものの5区終了時点で8位という苦しい状況、そこから8→5位でのフィニッシュ、区間2位の走りで力を出し切りました。非常に暑いコンディションの中でも改めて強さを見せました。全日本では2年ぶりに7区を任されると、日本人歴代最高となる50分36秒を叩き出して区間賞、総合でも4→1位に浮上してチームの連覇に大きく貢献しました。


12月に行われた日体大記録会では、外国人選手が世陸標準ペースで走る中最後の最後までついていき、27分23秒という日本歴代2位、日本人学生歴代1位、そしてオレゴン世陸標準を突破する最高の結果を残しました。その1か月後に行われた箱根には前年度の経験を活かしてしっかりと合わせ、2年連続の2区で区間賞を獲得、素晴らしい1年を締めくくることとなりました。

大学4年

4月に行われた金栗記念5000mでは13分22秒と大学ベストとなるタイムをマーク、ここまでは完璧な流れできていて5月に行われる日本選手権1万mも世陸内定となる3位以内はまず心配ないかと思われましたが…調整が上手くいかずに調子が上がりきらないというまさの誤算が。。。終盤のペースアップについていけず、28分6秒で10位という結果に終わりました。勝負レースにことごとく合わせ続けていた田澤がまさか最も重要な日本選手権で外すことになるとは…これまでほぼ完ぺきな結果を残し続けていた凄さを逆に感じてしまいますね。


しかし、日本選手権で上位に入った選手たちが、日本選手権後に世陸標準である27分28秒切りを狙ったものの誰も突破することは出来ず…結果として本日、代表に選ばれることとなりました。ここからまた気持ちも身体も世界陸上に合わせていくのは容易では無かったでしょう。5000m以降のペースアップについていけずに28分24秒、20位と世界の舞台で力を発揮出来たとは言い難いですね。


そして迎えた最後の駅伝シーズン、出雲では胃腸炎に苦しむ中でも3区で区間2位とさすがの走りで優勝に貢献、唯一万全の状態で臨めた全日本では7区で49分38秒という驚異的なタイムで区間新&区間賞、3連覇&2冠を圧倒的な強さで達成しました。そして最後の箱根ではコロナ明けという状況でしたが、中央の大和、青学の近藤と歴史に残るデッドヒートを2区で繰り広げることに。2区3位という順位は本人も不満でしょうが、チーム状況を考えても田澤に2区を任せるしかなかったですし、良く走ってくれたと思います。4年時にチームを3冠に導き、これ以上ない有終の美を飾りました。

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