ニューイヤー駅伝2022 結果雑感 ~HONDAが悲願の初優勝を達成~

明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。ニューイヤー駅伝、富士通や旭化成、HONDA、トヨタ自動車らが優勝候補と言われましたが、多くの優勝候補が苦しむ一方で最終区まで初優勝をめぐる争いなど面白いレース展開でした。レース結果はこのようになっており、区間ごとにレース結果を振り返っていきます。

~1区(12.3km)~

茂木が先頭をずっと引っ張る走り、優勝候補は集団の中で力を溜めることが多いですが…それでいてトップと4秒差の4位は素晴らしいですね。好スタートを切りました。ラストスパートで抜け出したのは九電工の舟津、1500mでも鍛えたスピードで見事に区間賞を獲得しました。1500mから再び距離をのばしてから12.3kmにもきっちりと対応してきました。


ラストに集団から最初に抜け出したのはYKKの森山、トップと3秒差の2位と素晴らしいスタートを切りました。山梨学院大時代は怪我で苦しむことは多かったですが、実業団で即活躍するのは嬉しいです。優勝候補では富士通の松枝もトップと3秒差の3位、TOYOTAは田中が13秒差の8位、HONDAは川瀬が19秒差の13位で走っています。日立物流の永戸も区間5位で走り、森山とともに山梨学院OBの活躍が目立ちます。

~2区(8.3km)~

外国人選手が唯一走れる最短のインターナショナル区間、SUBARUのキプランガットが区間賞を獲得、実業団に入ってくる外国人選手のレベルの高さは本当に凄まじいですね。どんどん若手が台頭してきますよね。区間2位に12秒差をつけているのも素晴らしいです。小森コーポのシトニックが区間2位、トヨタ紡織のケイタニーが3位で走っています。前回区間賞、九電工のコエチは区間20位と今回は非常に苦しい走りに…


優勝候補はいずれも苦戦気味、旭化成のモゲニが区間15位、Hondaのカベサが区間24位、カロキを起用出来なかったTOYOTAは堀尾が区間25位、富士通のロキアは区間32位に沈んでいます。この区間が優勝争いを一気に混沌とさせましたね。個人的に実業団の外国人選手の起用は何の違和感もないですし、出場する方が普通だと思っていますが…外国人選手同士でも1~2分の差はついてしまいますから、最短区間ですが重要ですよね~

~3区(13.6km)~

スピード選手がずらっと揃うこの区間、追い風とはいえ10km通過が26分台で3人というとんでもないハイペース…区間新が7人も出るという区間新ラッシュとなりました。1万m五輪代表、旭化成の相澤が区間賞を獲得、当然のように区間賞&区間新を獲得する走り、さすがです。区間2位にTOYOTAの太田が入り、7秒差の好走でした。今年度の躍進ぶりは素晴らしく、あっという間に日本トップクラスの仲間入りを果たしました。


区間3位に三菱重工の林田が入ってきたのはびっくりしました。世代トップクラスながら高卒で実業団に進みましたが、順調に成長を遂げています。チームをトップに押し上げました。4位に黒崎播磨の田村、田村も高卒からの実業団ですが、年々力をつけていてもう兄の田村和ともそれほど差はないのでは?と思うほどに強くなりましたね。予選で相澤を上回ったのも注目を集めました。


区間5位にNTT東日本の小林、故障もありましたがニューイヤーにはしっかりと合わせてくる勝負強さは駒澤大学時代から健在です。区間6位に富士通の潰滝と復活の走り、区間7位に入ったトーエネックの難波もびっくりしました。麗澤時代からは力はありましたが、ここまでの走りを見せるとは…実業団に入ってからの躍進ぶりはまさに驚異的かと。HONDAの小山は区間8位もまだ総合14位にとどまっています。

~4区(22.4km)~

黒崎播磨の細谷が区間新記録の走り、もちろん長い距離での強さは疑いようがないですが…福岡国際マラソンで日本人トップ、MGCを獲得して1ヶ月で再びエース区間に合わせるのは容易ではないはずなのに、連続して結果を残すタフさも走力も別格です。区間2位に安川電機の古賀、こちらも区間新記録の走りでした。最初から突っ込んだ走りをしながらも最後まで粘れるのがすごいですね。


三菱重工の井上、トヨ九の藤曲がともに区間3位の走り、井上もこれだけハイレベルな走りを毎年続けられるのがすごいですよね。総合でも2位以下をぐっと引き離しました。藤曲も順大時代はそこまで目立たなかったのですが、実業団では年々成長を遂げているのが凄いです。区間5位にHONDAの伊藤、序盤は集団でそれほどペースが上がっていませんでしたが、苦しそうになってからどんどん前を追って行くのはいつもの走り、ここで総合5位まで浮上したことで優勝争いに加わることに。


TOYOTAの西山も区間6位で総合でも6位にまで浮上しています。一方で旭化成の市田孝は区間17位と苦しんで総合でも2→8位に6つ順位を落としてしまい、富士通の中村はまさかの区間26位に沈んでしまい、総合19位まで下がったことで優勝争いからは脱落してしまいました。前回は4区で好走しましたが、東京五輪後の今回は厳しい走りに…

~5区(15.8km)~

旭化成の小野が区間賞の走り、高卒で実業団の小野も茂木同様にチームに欠かせない選手となっています。再び優勝争いに加わってきました。HONDAの青木も区間2位でトップと32秒差まで浮上、一気に初優勝が視界に入ってくることに。SUBARUの照井も区間3位の走りで総合2位、トップと24秒差まで詰めました。


トップだった三菱重工が山下が区間4位の走り、黒崎播磨の土井も同じく区間4位で走っています。山下は差は詰められたものの決して悪い走りではなかったですし、土井も見事な走りを披露、5区で区間5位以内に走ったチームはすべて総合でも5位以内に入るという区間順位が総合順位に近い結果となりました。マラソン日本記録保持者、富士通の鈴木は区間10位ともう一歩…東京五輪マラソン代表、TOYOTAの服部も区間14位にとどまり、東京五輪を走ったマラソン組はやはり負担が大きかったのかなあ。。。

~6区(12.1km)~

6区区間賞を獲得しているチームが9年連続で優勝しているというもはやジンクスというよりは6区に強い選手を残せるチームが強いということですよね。今回区間賞を獲得したのはHONDAの中山、区間2位に27秒差をつける圧巻の走りでトップに浮上しました。そして、今回も6区区間賞が優勝するというのは継続となることに。他の優勝候補が脱落していったことで、相対的にHONDAの選手層の厚さが活きたかなあ。三菱重工やSUBARUはエース級は強いですが、選手層ではどうしても劣る部分がありますし。


区間2位にSUBARUの小山が入り、優勝戦線に踏みとどまりました。区間3位タイには旭化成の鎧坂、愛三工業の鈴木が走っています。旭化成はトップと42秒差でギリギリ優勝に望みをつなぐことに。鈴木も総合30位でタスキを受けてこの走りは凄いですね。25位と5つ順位を上げています。区間5位に小森コーポの神戸が入ってきたのはびっくりかなあ。最後の箱根は走れませんでしたが、実業団で早速元気な姿を見せてくれました。

~7区(15.5km)~

前半はSUBARUの口町がHONDAの土方を追い上げ、一時は5秒差まで迫ることに。この走りを見たときはラスト勝負にまでなるのか?と思いましたが…土方が差を詰められてからペースアップして一気に引き離すというトップを走るチームとして理想的な走り、一度差を広げるとどんどんその差は広がるばかり。区間賞の走り、しかも区間2位に45秒差という7区間で最も差をつけるダントツの走りでついに初優勝を果たしました。総合2,3位に入ることはありましたが、どうしてもあと一歩届かなかった優勝、若手選手を起用してついに勝ち取りました。


2位にSUBARUが入ったのも素晴らしかったですね。積極的な走りでトップに迫りましたし、口町は区間3位で走っています。前回の予選はアクシデントもあって突破出来ませんでしたから、そこから復活して即2位ですから。。。


3位争いを制したのは旭化成、大六野がラストで抜け出して3位は死守しました。2区でやや苦戦したこと、そして最長区間の4区で苦しんだのが痛かったかなあ。大六野も区間4位でまとめています。選手は揃っていますし、引き続き優勝争いに絡んでいくことでしょう。


4位は三菱重工、定方が区間5位の走りで上位入賞を果たしました。ただ、チームは優勝を目指していたわけですし、3~5区はトップだったことを考えると悔しい4位かなあ。長崎出身の選手中心でここまで上位争いに加わるのは凄いですよね。井上が健在のうちに何とか悲願の初優勝を。。。


5位は日本人選手のみで臨んだTOYOTAが入りました。カロキを起用できない中でも5位に入るTOYOTAの強さですね。大石も区間6位と安定の走り、区間3~6位のチームがそのまま総合2~5位に入ることとなりました。また来年も優勝候補に名を連ねることになるでしょう。


6位は黒崎播磨、田村、細谷の2枚看板は非常に強力ですね。中村は区間18位とやや苦しみましたが、それでも総合6位ですからね。。土井もよく走りましたし、ずっと目標としていた入賞をついに55年ぶりに果たしましたね。黒崎播磨もここからさらに選手層を高めていきたいところ。


7位にSGホールディングスが入り、こちらは22年ぶりの入賞となりました。アンカーの三上は一度入賞圏内に入るもそこから離れてしまって厳しいかと思いましたが、そこから再び復活して区間2位と素晴らしい走りで7位入賞を勝ち取りました。2区以降はずっと区間13位以内と安定の走り、そしてアンカーの快走が良かったですね。


8位と最後の入賞はトヨタ自動車九州、9位と5秒差で勝ち取りました。大城が区間11位の走り、区間順位というよりはもう入賞争いを制するかどうかでしたから、見事にアンカーの役割を果たしてくれました。トヨ九もたまに苦戦することはありますが、着実に若手が戦力となって上手くチームが回っているように思えます。


9位にGMOインターネット、あと一歩入賞には届きませんでしたね。2,3区で揃って区間20位以下になってしまったのが痛かったですかね。それ以外は区間11位以内で走っていましたからね。6区終了時では8位でしたが、入賞争いに敗れる結果となってしまいました。


優勝候補と目された富士通は結局12位で入賞も果たせなかったわけで、本当に駅伝は走ってみるまで分からないですね。改めて駅伝の恐ろしさを感じました。。。