第53回(2021年)全日本大学駅伝に向けて ~前回優勝:駒澤大学~

続いては前回の全日本で6年ぶりの優勝を果たした駒澤大学について、全日本に向けての戦力分析及び展望を述べてきます。前回結果はこのようになっております。2区終了時ではシード圏外にまで落ちましたが、そこからは徐々に順位を上げていき、アンカー田澤がラストの1.2kmで抜け出して優勝を果たしました。単独トップに立ったのは最後のみ、トップが目まぐるしく変わるレースを制しました。

~前回からの戦力増減~

箱根では3年生以下が中心でしたが…全日本では4年生が3人走っています。1区3位の加藤、4区7位の伊東、7区4位の小林が抜けることとなります。加藤が1区で好スタートをきったことで、2区で苦戦したものの前と大きく離されることが無かったのは大きかったですし、7区小林が東海と2秒差という好位置でたすきを繋いだことも、8区田澤の逆転に大きく貢献しました。4区伊東も集団から離された後に粘ったのは大きかったですし、この3人が抜ける影響は当然大きいです。


さらに、個人的には前回の全日本でMVPと言える活躍だった5区2位の酒井が退部、この戦力ダウンも非常に大きいです。4区までもう一歩という状況で3大駅伝初出場の5区酒井が快走を見せたことが6区以降に繋がりましたからね。4人が抜けるのはシード校の中では帝京と並んで最多タイですし、戦力ダウンが大きい大学の1校であることは間違いありません。


しかし、戦力ダウンも大きいですが、戦力アップも凄まじいことになっています。田澤、芽吹は日本選手権1万mで2,3位に入るなど実業団相手にも負けない走りを披露、5千でも揃って13分20秒台をマークするなど特に芽吹の成長が凄まじい。さらに、前年度は3大駅伝未出場の唐澤が関東インカレ2部5千、1万で日本人トップの3位と急成長、3本柱の一角を占めるまでになりました。主要区間が3区間の全日本において、唐澤の存在は極めて大きなものとなります。


さらに、3年生では東山、中島が13分台に突入してメンバー入りを狙うまでになりましたし、2年生の躍進ぶりがなんと言っても目立ちます。前回は2区11位だった花尾は関東インカレハーフで2位に入るなど3本柱に次ぐ実績を積み重ねています。前年度台頭した白鳥、青柿は故障もあって今年度は目立っていませんが、13分40秒台、28分20秒前後のベストをともに持っているのは強力。


今年度は5千で13分50秒をマークした安原を始め赤津、赤星が13分台のベストをマーク、安原と赤津は関東インカレも経験しており、主力として期待される選手です。ルーキーも佐藤条二が13分47秒のベスト、13分51秒のセカンドベストと好タイムを連発、さらに篠原は13分53秒のベスト、13分55秒のセカンドベストと14分36秒の高校ベストとは思えない活躍を見せています。

~区間配置~

3,7,8区の主要区間に3本柱である田澤、芽吹、唐澤を起用するのが王道にして盤石。8区は前回も同区間を経験しており、ラストの切れ味もある田澤が適任でしょう。後は芽吹、唐澤のどちらを7区にするかだけかなあと。まだ唐澤は芽吹には及ばないと思っているので、より距離の長い7区に芽吹、3区に唐澤がベストだと思っています。7,8区に日本選手権表彰台コンビを温存しながらも、3区に関東インカレダブル表彰台の選手を起用出来るのは驚異かなあと。


残るつなぎ区間ですが…前回の起用を見ると4区も重視している大学が増えているように思えます。今後は3区と4区に主力を起用する傾向になりそうかなあと。前回も3,4区に中谷→太田で抜け出した早稲田や塩澤→石原で一気に巻き返した東海らが存在感を示しましたからね。となると、4区に4番手の選手が起用されるのでは?現状ならば花尾になるのかなあ。


1区は万全であれば前回の箱根を走っている白鳥やラストの切れ味が抜群だった安原、ルーキーも起用しやすい最短区間であることから条二や篠原の起用も考えられます。ここに前回走っている山野や新戦力として期待される中島、東山に赤津、赤星、箱根でメンバー入りを果たしている青柿らで激しい争いとなるのでは。主要区間に3本柱がビシッと起用出来れば、つなぎ区間は調子の良い選手を柔軟に起用出来そうです。

~展望~

駒澤は出雲や箱根に比べて全日本を圧倒的に得意としていること、3本柱がとにかく重要な全日本において全大学最強と言われる3本柱を有していることを考えると、優勝候補筆頭は駒澤だと思っています。ただ、もちろん不安要素が無いわけではありません。まず、現状は3本柱と4番手以降の戦力差が大きいです。もちろん4番手以降もハイレベルではあるのですが、3人が抜け出している状況はかつてエース級と続く選手の戦力差が大きなって苦戦した時のようにチームとして上手く機能するかどうか…


4番手以降の選手が3本柱に追いつき追い越せで切磋琢磨してチームとして成長出来れば良いですが、そこはまだ未知数ですからね。また、前回の全日本経験者の半分が抜けているということで、経験面での心配もあります。唐澤もトラックシーズンで圧倒的な走りを見せているとはいえ、まだ3大駅伝は未経験ですし、芽吹もトラックに比べると3大駅伝で圧倒的な走りを見せているわけではありません。


さらに、新戦力の多くも当然3大駅伝は未経験なわけですし、全日本が3大駅伝デビューの選手が複数出てくると思われます。その選手たちが持ちタイム通りの力を発揮出来るかというと、これまた不安な部分もあるかなあと。期待はもちろん大きいですが、トラックとロードは別物ですし、記録会と勝負レースは全く異なるものですからね。


優勝候補の一角として名前が挙がることは間違いなく、その筆頭となる可能性も高いです。前年度は5年間3大駅伝で勝っていない中での全日本優勝でしたが、全日本・箱根優勝校として全日本を迎えるプレッシャーも当然あるでしょう。そんな中でも各選手がもてる力を発揮し全日本で連覇を達成出来るのか、駒澤の強さが改めて問われることになりそうです。

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