日本選手権1万m(2021/05/04) 雑感 ~伊藤が五輪内定、田澤&芽吹の駒澤コンビが表彰台~

昨日、日本選手権の1万mが行われました。27分台が4人しか出なかったことを考えると、そこまでコンディションも良くなかったのかなあ。前回の日本選手権が27分台が大量に出て、感覚が麻痺してしまいそうですが、前回は実力者が恐ろしいほどに揃い、涼しい12月に行われましたから。それでも、優勝した伊藤の圧倒的な強さ、田澤&芽吹という駒澤コンビの学生離れした走りが印象的でした。詳細はレース結果をご覧ください。入賞者を中心に振り返ります。

順位競技者名所属
所属地
記録
1位イトウ タツヒコ
伊藤 達彦(98)
Honda
埼玉
27:33.38
2位タザワ レン
田澤 廉(00)
駒澤大
青森
27:39.21
3位スズキ メブキ
鈴木 芽吹(01)
駒澤大
長野
27:41.68
4位イチダ タカシ
市田 孝(92)
旭化成
宮崎
27:54.45
5位モギ ケイジロウ
茂木 圭次郎(95)
旭化成
宮崎
28:01.32
6位マルヤマ タツヤ
丸山 竜也(94)
ヤチヨコウギョウ
埼玉
28:01.80
7位イノウエ ヒロト
井上 大仁(93)
三菱重工
長崎
28:03.39
8位オカモト ユウダイ
岡本 雄大(91)
サンベルクス
東京
28:04.17
~1組~

欠場者が何人か出たこともあって1組は12人と少ない人数で行われました。そんな中でも組トップだったコニカミノルタの名取の走りは強かったですね。徐々にポジションを上げていき、ラスト1周となってからの切れ味は抜群でした。28分12秒と自己ベストには2秒及びませんでしたが、社会人1年目からしっかりと結果を残しました。まだまだタイムも伸ばせるでしょうし、強くなりそうです。


2位に黒崎播磨の田村友、兄の田村和が疲労骨折で欠場となってしまいましたが…田村友も積極的な走りで28分15秒の走りはさすがです。ラスト勝負で一歩届かなかったのは残念でしたが。。。3位に入った安川電機の古賀は最初から集団を引っ張る走り、しっかりとペースを維持してくれました。途中で苦しそうな表情となってからも粘りの走りを見せて28分17秒で走っています。


4位に入ったトヨ九の藤曲、6位に入ったHondaの田口もともに途中で集団を引っ張りながらも、しっかりと28分20秒台でまとめてくれました。1組に唯一大学生で出場した青学の近藤はずっと好位置をキープしながら28分24秒で5位とさすがの走り、セカンドベストをマークしています。青学のエースになってほしい選手ですし、ずっと安定した走りを見せてくれています。

~2組~

優勝したのはHondaの伊藤、別格の強さでしたね。ずっと先頭集団の前方でレースを進め、ラスト2周になってからのスパートはまさに驚異的…27分40秒前後のペースでレースで走ってきて、さらに27分33秒でゴールするまでにスピードを上げられる強さですよね。すでに五輪参加標準記録を突破している優位性もありましたが、優勝するにふさわしい選手が勝ちきったという印象です。


ニューイヤー駅伝後に疲労骨折で2ヶ月走れずも大舞台にしっかりと合わせてくる強さ、間に合わすために協力してくれた人たちへの感謝、地元静岡開催への思いを語った優勝インタビューも素晴らしかったですし、オリンピックでも最大のライバルである相澤とともに素晴らしい走りを見せてほしいです!


2,3位に駒澤の田澤、芽吹が入ってきたのには正直びっくりしました。芽吹は大学トップクラスの安定感があるとはいえ、日本選手権という大舞台はまた別物だと思っていましたし、田澤も故障明けで合わせてきた状態でしたからね。それがどんどん実業団の有力選手が遅れていく中、芽吹は中盤以降、伊藤のスパート前ずっと日本人先頭でレースを進め、田澤も芽吹に負けるわけにはいかないと当然のように食らいついていきましたからね。


田澤が思ったほどラストの切れ味が無かったのは故障の影響もあったかもしれませんが、それでも27分39秒21という日本学生歴代2位という凄まじい走り、それでいて悔しいと思える意識の高さですよね。大学3年生になったばかりですでに日本トップクラスランナーの1人ですし、トラックにロードに圧倒的な走りを見せ続けてくれれば。


芽吹は27分台で走れれば上出来かと思っていましたが、27分41秒68という日本学生歴代3位の走りで3位表彰台、全く外さない勝負レースでの強さは驚異的です。6月生まれの2年生なのでU20の資格はありませんが(12月末時点での年齢が19歳が対象)10代の最高記録となりますね。そして10代で日本選手権の表彰台に上ってしまうとは…田澤とともに大学最強のダブルエースと言って良いでしょうし、どれだけ強くなるのか今後の成長がますます楽しみです。


4位に優勝候補としても名前の挙がった旭化成の市田孝が27分54秒で入りました。3位とは13秒離されており、ちょっと4位以下はあまりテレビでも映っていなかったので展開は把握出来ていませんが…それでもしっかりと27分台で走って5位とも7秒差をつけるのはさすがです。強い旭化成を牽引する選手の1人ですね。


5位に同じく旭化成の茂木、茂木の安定感もずば抜けていますよね。28分1秒でまとめていますし、一時期故障で苦しんだこともありましたが、いざ勝負レースに出場すれば全く外さない印象があります。6位に八千代工業の丸山が同じ28分1秒で入ったのもちょっとびっくりです。専修大学時代からエースとして活躍していましたが、卒業後の成長ぶりが凄まじいですね。高いレベルで活躍を続けていってくれれば。


7位に三菱重工の井上、マラソンでもハイレベルな結果を残し続けている井上ですが、トラックでも勝負レースとなれば外さない強さ、本当に強い選手というのはどんな距離でも大会でも結果を残し続けてくれます。28分3秒でしっかりと入賞を果たし、さすが井上という走りを見せてくれました。8位にサンベルクスの岡本が28分4秒で入りました。入賞した選手の中では最年長、岡本も長く活躍している選手ですが、今年度に入って27分台を叩き出し、日本選手権でも入賞とここにきてさらに強くなっているのが素晴らしいです。


他に2組に出場した大学生は2人いましたが、東海の市村が29分5秒で23位、早稲田の井川が29分15秒で24位とともに苦しい走りとなってしまいました。特に井川は高校時代からのライバルである田澤が2位に入っただけに相当悔しかったでしょう。関東インカレ、そして駅伝シーズンではともにエース級の走りを見せてくれれば!!

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