第76回(2021)琵琶湖毎日マラソン結果 ~鈴木健吾が2時間4分56秒日本新記録で優勝~

今大会を最後に幕を閉じることとなった琵琶湖毎日マラソン、東京マラソンの開催時期が秋になったこともあって有力選手が集結、さらに絶好のコンディションも重なり、記録づくめの大会となりました。ついに日本記録は2時間4分台2突入、当たり前のように6分台、7分台のベストも出てきて2時間10分を切る「サブテン」はもう実業団のトップランナーを示す言葉ではなくなるのかも…レース結果(PDF)はこのようになっております。入賞した選手を中心に振り返ります。

順位名前所属タイム
1位鈴木 健吾富士通2:04:56
2位土方 英和Honda2:06:26
3位細谷 恭平黒崎播磨2:06:35
4位井上 大仁三菱重工2:06:47
5位小椋 裕介ヤクルト2:06:51
6位大六野 秀畝旭化成2:07:12
7位サイモン・カリウキ戸上電機2:07:18
8位菊地 賢人コニカミノルタ2:07:20

日本新記録

もう、最近のハイレベルなマラソン大会はキロ3分ペースが第2集団以下となり、第1集団はキロ3分ペースを切るペースが当たり前のようになっています。そして、30km過ぎはペースダウンを最小限に抑え、特に最も落ちやすい35~40kmの5kmはいかにキロ3分ペースである15分から落ちすぎないかが最近のレースでは大事になってくるのですが・・・


30kmを1時間29分というキロ3分ペースを1分上回るタイムで通過しながら、35~40kmを14分39秒という最速ラップで駆け抜ける離れ業を成し遂げたのが富士通の鈴木健、2時間4分56秒という初の2時間4分台、これまで大迫が持っていた日本記録を33秒も更新してきました。神奈川大学時代から箱根2区区間賞を獲得するなどハーフの距離で活躍を見せていましたが、ついにマラソンでも会心の走りを見せてくれましたね。


高岡が2002年に2時間6分16秒と一気に35秒も日本記録を更新して以降、2時間6分台さえ出せない状況が15年ほど続いていましたが、2018年に悠太がついに更新、さらに大迫が2度更新し、今回の鈴木健吾と一気に動いてきました。今回は2時間6分台も4人達成していますが、2位にも1分30秒差をつける圧巻の走りでした。今後はマラソン界を牽引する存在となってくれれば。

2時間6分台

2位にHONDAの土方が2時間6分26秒と日本歴代5位となる好タイムで走っています。土方も國學院大學時代から出雲で優勝のゴールテープを切り、箱根2区でも活躍した選手ですが、まだ実業団1年目ですからね。この世代は既に1万で日本記録保持者となった相澤や歴代2位の伊藤もいますし、トラックにマラソンに大活躍を見せています。あっという間にトップクラスの仲間入りを果たした土方も長く活躍して欲しい。


3位に黒崎播磨の細谷が入ってきたのはびっくり。第2集団でレースを進めましたが、そこからどんどん第一集団の選手を抜かしていき、ついには土方にも9秒差まで迫る2時間6分35秒ですからね。このタイムは日本歴代6位となっています。細谷といえば中央学院時代に箱根5区で2年連続3位で走るなど結果を残す一方、今年のニューイヤー駅伝でもエース区間の4区で4位と好走している選手。


目立つ走りというよりはいつの間にか好走しているというような印象がありますが、今回もどんどんペースを上げていく素晴らしい走りでした。35~40kmも15分3秒でカバーしており、これは鈴木健吾についで2番目に良いタイムです。そういえば細谷も鈴木健吾と同じ95年世代ですね。97年世代が脚光を浴びていますが、こちらの世代も非常に楽しみ。


4位に三菱重工の井上が2時間6分47秒で入りました。今回も当然のようにハイペースで入り、一時はペースメーカーよりも前でレースを進めることに。後続に追いつかれてからも、しっかりとまとめてくれました。これで2度目の2時間6分台ですから凄いですよね。日本歴代8位のタイムとなりました。ロードでの強さ、マラソンでの強さは日本トップクラスの選手です。


5位にヤクルトの小椋が2時間6分51秒で入り、日本歴代9位タイとなる好タイムです。小椋といえばハーフマラソンで60分ちょうどの日本記録保持者としても知られますが、マラソンでも歴代トップ10に入ってくることに。こちらもロードでの強さはハーフだろうがマラソンだろうが強いです。青学時代は同級生の久保田や神野に次ぐ存在という印象ですが、実業団では圧倒的な存在感を見せています。

入賞

6位に旭化成の大六野が2時間7分12秒で入りました。日本選手権1万mで優勝するなどトラックで活躍を見せ、ニューイヤー駅伝でも毎年のように好走を見せていましたが、マラソンではまだ目立った走りが出来ていなかった…そこからのこのタイム、走りは素晴らしいですね。旭化成はMGCに誰も出場出来ず、ニューイヤーの強さに比べると、マラソンはどうなのか?と言われることもありましたが、ここで大六野が結果を残したのは大きいです。


7位に戸上電機のカリウキが2時間7分18秒で入りました。戸上電機は最近強化を始めてニューイヤー駅伝にも出れるようになり、金丸が4区9位と好走したことも話題となりましたが、カリウキは2区24位に留まっていたんですよね。今回は終盤にやや失速しましたが、それでもこの走りは素晴らしく、個人としてもチームとしてもまだまだ強くなっていきそう。


8位にコニカミノルタの菊地が2時間7分20秒で入賞を果たしました。コニカミノルタは最近のニューイヤーで奮わず、今年は18位に沈んでいますが、個人では菊地が奮闘している印象。ニューイヤー駅伝は4区28位と非常に苦しみましたが、今回はしっかりと合わせてきてくれました。まだまだ、一線級で活躍して欲しい選手ですし、チームも立て直していって欲しい。

その他

9位にトヨタ紡織の聞谷が2時間7分26秒で入ってきました。順天堂時代は1年時から箱根10区を走るなど長い距離を担ってきましたが、そこまで目立った走りが出来ていたわけではないんですよね。4年間全て9区or10区で往路は走ったことが無いですし。しかし、実業団での成長ぶりは著しいです。まだまだ、伸びてきそう…


川内が10位の2時間7分27秒で走ったのも話題となりました。なかなかプロになってから結果を残せていませんでしたが、今回はついに2時間8分の壁を超えて自己ベストを叩き出してきました。大きく崩れること無く走ってくれましたし、長く活躍して欲しい。


他にも2時間7分台がずらりと揃い、2時間8分切りが15人、2時間7分42秒で走ったJR東日本の作田将希は初マラソンの歴代最高タイムですから素晴らしい。さらに、Hondaの足羽も2時間7分54秒で初マラソンの歴代2位と初マラソン組の好走も目立ちましたね。2時間9分切りも28人、サブテンは42人、日本人選手に限っても2人減るだけで40人いますからね。最後の琵琶湖毎日マラソンは記憶にも記録にも残る素晴らしい結果となりました!

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