箱根終了後に考える箱根予選(2021年度)の展望

状況

続いては、10月に行われる箱根予選における現段階での展望を述べていきます。箱根で11位以下になってしまった10校+箱根予選落ち校で争われる箱根出場権、来年度は特に記念大会でも無いですし、今年度と同様に10枠を巡る争いとなるでしょう。箱根予選の恐ろしいところは、本当に何が起きるかわからない、どれだけ前評判が高くとも、箱根であと一歩シードを獲得出来なかっただけだったとしても、予選落ちする可能性は十分にあります。


2019年の箱根で11位だった中央は箱根予選で10位と最下位通過、11位とはわずかに26秒差でした。箱根12位の早稲田も予選会は9位と薄氷を踏む思いでした。2020年の箱根で11位、それまで5年連続でシードを獲得していた中央学院は今年度の箱根予選で12位と予選落ち…箱根出場争いも年々熾烈になっています。近年はさらに箱根出場に向けて強化する大学も増えていますし。


本戦はさておき、箱根予選通過を考慮すると、大きくは以下の4点が重要になってくるかと思います。1つ目は稼げる選手がいるか。箱根予選は集団走を行う大学がほとんどですが、何人かはフリーで走らせることが多いです。その選手はいわば大量に貯金を稼いでほしい選手。他大のエースと互角以上に渡り合える選手の存在は重要です。


2つ目は今年度と来年度の比較になりますが、戦力ダウンはどうなのか。4年生への依存度とも言えますが、当然4年生中心のチームはその抜けた穴が大きくなります。有望な新入生が入ることで戦力ダウンを抑える事もできますが、出雲や全日本と異なり、全員がハーフの距離を走らなくてはいけない箱根予選はルーキーに頼るのは危険ですから、そこまで計算は出来ないかなと。


3つ目は箱根予選での安定感です。言い方は悪いですが、ずっと箱根予選に出場している大学はそれだけ箱根予選のノウハウが溜まっていることになります。靴の進化など箱根予選の戦い方も大きく変わったりしますし、久しぶりに箱根予選に出場した有力校というのは、箱根予選も比較的苦戦しますからね。前年度の早稲田や今年度の中央学院が当てはまります。逆に連続して箱根出場を続けるもなかなかシードが獲得出来ない大学は、最新の箱根予選の戦い方を知っているわけで、有利に働きます。


4つ目は選手層の厚さです。当然ですがエースが稼いでくれても他の選手が揃って沈んでしまったはどうしようもありません。集団走についていける選手がどれだけいるか、その後さらにペースアップ出来るくらい余力を残せるのが理想です。特にチームの8~12番手の選手の走りは大事になってきますね。ある程度計算出来る上位選手と比べると崩れることも多いため、想定外にタイムをロスしてしまうということはよくあります。エースが稼ぐ1秒も10番手が遅れる1秒も差は無いですから。


こうした観点から各大学をざっと見ていきます。

展望

戦力的に抜けているのは当然箱根11位だった明治と12位の中央、ともに1区で出遅れ、2,3区で立て直せないという悪循環に陥ってまさかのシード落ちとなってしまいました。3年生以下の1万の持ちタイムは全大学中3番手の明治、4番手の中央ですからね。明治は28分台を10人揃え、中央も8人を数えます。明治は手嶋、鈴木、加藤、櫛田ら、中央も吉居、森凪也、三浦、千守らエース級が揃い、さらに来年度の新入生も有力選手が加わります。


唯一の不安は箱根予選を決して得意としておらず、苦戦したり悲劇の予選落ちを経験したりしている点ですが…さすがに箱根予選で苦戦している場合では無いですよね。今年度の箱根の借りを返すためにも、トップ通過を争ってほしい2校です。


神奈川大学はトップ通過は難しくとも、最も通過する可能性が思っている大学です。呑村というエースがいて、川口、西方という往路を10位でまとめている主力たち。さらに箱根予選チーム3~5番手のルーキートリオ、中でも箱根10区2位の佐々木は一気にエース候補に名乗りを上げたのでは。


2年生は箱根に誰も出場していないのはちょっと残念ですが、鈴木、古市と箱根予選に出場している2年生も健在。箱根でシードをなかなか獲得出来ない一方、箱根予選の安定感は抜群ですし、箱根予選・箱根を走った4年生は2人のみ。来年度も3位前後で通過出来る戦力となるのでは。


日体大は箱根連続出場を続け、箱根予選で下位通過もまず無い極めて安定したチームです。その一方で来年度に向けては大きな不安要素が…4年生依存が最も高いチームなんですよね。箱根予選は12人中7人が4年生、箱根は10人中6人が4年生といずれも過半数を超えています。となると、4年生が抜けた穴は非常に大きく、選手層が一気に薄くなってしまうんですよね。確実に稼ぐことが計算出来るのは藤本くらい…


28分台のベストを持つ名村や大内宏は箱根は苦戦、29分前半のベストを持つ選手も何人かいますが、勝負レースでは未知数な選手も多いかなあ。4年生が抜ける穴が大きい一方、新入生は楽しみな選手が多いです。植松、田中、西槇、渡野とすでに5千の持ちタイムでトップ10に4人入っていますし、即戦力として活躍してくれる選手が複数出るかも。さすがに予選落ちの心配は無いと思いますが、例年ほど盤石ではないかな。


拓殖は未知数な部分も大きいですよね。記録会への出場も少ないですし。ただ、箱根予選を完走した11人中10人が2,3年生ということで前回比較だと戦力ダウンは少ないです。ここに箱根1区で好走した合田が加わればほぼ前年度と変わらない戦力を現時点で臨めそう。現1年生や新入生は現状どれだけ戦力となってくるか未知数ですが、拓殖のことですからいつの間にかチーム中位で走る選手が出来そうですね。通過確実とは言えないものの、今年度よりは安心と言えそう。


城西は稼ぐ役割を担っていた4年生が抜け、砂岡が抜けた存在に。しかし、前回中位でまとめている藤井や宮下、そして1年生の存在がとにかく大きいです。山本唯、山本樹、野村、山中、堀越と5人走った箱根予選経験者は2年生になってさらに力をつけてくれることでしょう。すでに箱根で好走した山本唯、5人以外で箱根を走った新井と現1年生が来年度はチームの中心となりそうかな。そこに負けずと2,3年生から台頭する選手が出てくれれば…予選通過は十分偉えると思いますが、2年前は15位と予選落ちしているだけに、油断は厳禁です。安定感にイマイチ欠ける部分もありますからね。


法政は、箱根予選はなかなか順位が上がらず最後まで不安が大きかったですが、箱根を経て前回よりはかなり安心感が増しているかな。まず、4年生の戦力ダウンは箱根予選に限ればトップ10全て3年生以下だったので無いです。エースの鎌田は箱根1区区間賞で自信をつけたでしょうし、清家、松本、河田、川上と準エース格が4人に増えてきたのも好材料。


河田や川上は箱根で思うような走りを出来ませんでしたが、最も苦しいかもと思っていた今年度の予選を突破して戦力アップしている以上、さすがに再び通過圏外を走るような状況にはならないと思うのですが。


国士舘大学は箱根予選でも年々順位を上げるなど安定感を増している大学の1つです。ヴィンセントが稼ぐだけではなく、清水拓や山本龍など2桁順位で走る選手も着実に増えてきていますからね。箱根予選で上位10人のうち抜けるのは曽根のみ、箱根も10人中8人が3年生以下でした。持ちタイムも着実に伸ばしていますし、箱根予選通過という点ではだいぶ安心して見ていられる大学になってきたのかなあと。それと本戦で戦えるかはまた別の話しではありますが…


山梨学院はちょっと不安な大学の1校かなあ。箱根にあそこまで故障者が続出して合わせられなかったのも気になりますし、4年生も森山や瀬戸など12人中6人が箱根予選を走っていますから戦力ダウンは決して小さくはありません。100位以内でも4人が走っていますから。箱根を走った新本や島津といった1年生に橘田に木山、篠原といった2年生、松倉や坪井、渡邊といった主力の3年生と選手は揃ってはいますが、箱根連続出場への道は簡単ではないかと。箱根で下位だった大学の中では戦力ダウンが大きめでかつ箱根予選もかなり上手くいっての通過のように思えたので。


専修大学は箱根では最下位とやはり戦力的に厳しかったですが、箱根予選も箱根も出場した4年生は2人のみ。確かに茅野や森島、辻らが抜けるのは痛いですが、留学生のキサイサが加わることで大きく稼ぐ役割が期待されます。今回の箱根を経験してさらに下級生が成長してくれるであろうことを考えると、少なくとも今年度を上回る戦力で来年度も臨めることになるのかなと。現状の戦力は20番手であっても、2年連続の予選通過は決して無理な目標ではありません。


予選会校では、11位だった筑波は戦力ダウンがあまりにも大きすぎますよね。西、猿橋、大土手、相馬らが抜けるのはまた新たにチームを作り直さなければいけないレベル…昨年度のように見違えるチームへと成長を遂げる可能性はもちろんありますが、現状では出場権争いに加わるのは難しいでしょう。


最も復帰の可能性が高いのは中央学院、栗原、小島、武川と稼げる選手がいて、持ちタイムも29分20秒台、30秒台の選手がずらっと揃い、ルーキーも堀田兄弟や吉田らがいるわけですから、戦力的には当然予選通過の有力候補に上がるはず。ただ今年度は高速駅伝に上手く対応出来なかったのが気がかりです。さすがに今回の反省を活かして十分な対策を練ってくるとは思いますが…


箱根復帰を目指す大学…上武や大東大はまだまだ厳しいのかなあ。上武はまだ13位、14位で粘っていますが、大東大は18位、16位とあまりにも崩れすぎなんですよね。上武も稼ぐ役割を担った岩崎が抜けますし、村上というエースはいても中堅どころがチーム中位で走れていないんですよね。持ちタイムは以前よりも上がっているものの、相当戦力を高めないと箱根返り咲きは遠そう。


大東大も同様に2年生を中心に1万のタイムを伸ばし、現1年生も菊地や久保田ら楽しみな選手はいます。ただ、箱根予選で2年連続で大惨敗という状況から抜け出せるかというと…エース級も中堅層も戦力不足は否めないですよね。日大は箱根予選は大苦戦でしたが、まだ1年なだけにここで立て直せればですね。ドゥング、小坂、樋口が計算出来るのは大きいです。ピーキングの問題だったのか、それとも勝負レースで力を発揮出来ないのか…来年度の箱根予選でも通過争いに絡めないようだと、本格的に箱根復帰が難しくなるだけに正念場かなあ。


初出場を狙う麗澤、駿河台はどうなんですかねえ。新入生も着実に持ちタイムの良い選手も入るようになってきていますが、箱根出場が近づいたかもと思ったら今年度は麗澤が13位、駿河台は15位にとどまっていますし…箱根予選のコンディションにも左右されそうです。基本的には厳しいコンディションの方が力を発揮しやすいのかなあ。ただ、今年度と比べて相対的に強くなるというわけでも無いですし、11~15位から抜け出すにはまだ力不足か。。。


箱根の結果だけを見ると、この大学はさすがに箱根連続出場は厳しいだろうなあという大学が無いんですよね。戦力ダウンがある大学は戦力アップがあったり、元々の戦力が充実していたり…逆に戦力的に厳しいところは3年生以下中心で4年生が抜ける穴が小さかったり…2年連続で箱根出場校が一緒という可能性もありえるかも…最も、そんなことはさせまいと中央学院を筆頭に1年で返り咲きを狙う大学、3年ぶりの箱根を狙う大学、初出場を狙う大学が虎視眈々と狙っているのでしょうが…


不安があるとすれば今年度が箱根返り咲きとなった大学、城西や山梨学院、専修が2年連続で箱根予選を突破出来るのか、前回のような走りを見せられるのかということになってくるのかな。いずれも前年度は箱根予選で14位以下と箱根出場争いに絡めていませんからね。来年度、好走を再現できなかった大学が最低1校は再び予選落ちに戻ってしまい、返り咲きを狙う大学が1校は上がってきそうかなあというのが、箱根後の印象かなあ。9ヶ月後とか全く状況が変わっていそうな気もしますが、、、

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