第97回(2021年)箱根駅伝 8区振り返り ~区間賞:大保(明治)~

続いては8区における各選手の走りを振り返っていきます。8区結果はこのようになっております。 シード権内の10校は8区以降変わらないという話をしましたが、上位でも中位でも下位でも順位変動はまだまだ発生しましたね。8区は10番手の選手が起用されることも多く、選手層が最も問われる区間の1つですから。

大学ごと

選手層が問われる区間という区間だけあって実際に区間上位にきている大学もいわゆる優勝候補や上位候補が並びました。その中で唯一苦しい走りになってしまったのが東海の濱地、ちょっと後半は明らかに走りもおかしかったですし、走り終わった後もちょっと足を引きずっていたような…?3大駅伝デビューは区間15位とほろ苦い結果になりました。


そんな中、区間賞を獲得したのは明治の大保、往路も復路も苦しい走りで残る9区間中7区間が二桁順位で最高でも区間7位だった中、この走りはチームに希望をもたらしましたよね。タイムも63分59秒と区間歴代2位の好タイム、シードラインとも1分8秒まで差を縮める会心の走りでした。大保の4年時の復活は全日本、箱根ともに素晴らしかった。


3位争いでは東海が一気に厳しくなった一方、東洋は野口が区間2位の走りを見せました。高校ベストは15分台ながら1年の箱根からエントリーを続け、最初で最後の3大駅伝出場でこの走り…集大成と言える走りでした。青学は岩見が区間3位とさすがの走りで総合でも5位に浮上することに。シード圏内に入ってもひたすらに1つでも上の順位を目指す積極的な走りは前回王者のプライドを感じました。


優勝争いでは、駒澤の佃が区間4位の走りで22秒差を詰めることに。ただ、上りが得意と言われていた佃なだけに遊行寺の坂以降で差を縮められなかったのはもったいなかったかなあ。一方の創価は永井が区間8位とこちらもまずまずの走り、しっかりと1分29秒の差を保ったまま復路のエースにタスキを繋ぐことが出来ました。詰められるとしたら、8,10区だと思っていたので上出来だったかなあと。


シード争いでは、早稲田の千明が区間5位、故障明けで8区に周りましたが出場すれば結果を残すのが頼もしすぎます。本来であれば中谷、太田とともに3本柱を形成してほしい選手ですし、この走りで一気に11位と1分以上の差をつけることに。早稲田と同じく総合で9位タイとなったのが帝京の鳥飼、区間6位という走りは決して悪くはないのですが、前回3位で走っており、全日本も好走していることを考えると区間賞争いも期待されましたからね。贅沢を言えばもっと上位で走ってほしかった選手かな。


國學院のルーキー伊地知が区間9位で走ったのも大きかったです。7区に続く好走で総合8位をキープ、この走りでぐっとシードを引き寄せました。ルーキーが結果を残したのも今後を見据えて大きいです。順大の西澤は区間10位という走り、主要区間も担える選手なだけに8区でこの順位は物足りない気もしますが、2年連続10位以内と安定した走りを見せてくれました。


トップ10のうち9校が優勝争い、シード争いに絡んでいた中、中央の三浦が区間7位と割って入ることに。三浦も本来であれば往路の主要区間を担ってほしい選手ですし、8区に回って時点で本調子では無かったか…それでもしっかりとまとめて総合14位と3つ順位を上げてきました。神奈川は安田が区間11位と決して悪くはない走りだったのですが、シードを争う大学がいずれも好走したため、1分以上の差をつけられてかなりシードは厳しい展開に。


東京国際の熊谷は区間14位とやや苦しい走りに…それでも総合7位とまだまだシードラインとは1分30秒以上の差はキープしました。7区区間賞のリードが活きましたよね。区間12位に法政の糟谷、6,7区を担った4年生が苦しむ中、糟谷は何とか中位でまとめてくれたかなあ。4年生の中ではハーフで実績もあり安定感のある選手、最後に箱根を走りチームに貢献してくれました。


区間13位に拓殖の江口、6,7区でシードラインとは大きく離されてしまいましたが江口は比較的粘ったほうかなあ。1年時は3大駅伝フルエントリーを果たしている選手ですし、今後主力になってほしい2年の1人です。区間16位に国士舘の清水悠、前回も8区を走っていますがその時の13位よりも順位を下げてしまったのはちょっと残念だったかな。清水悠も往路を走って欲しい選手の1人なだけに、物足りない結果となってしまいました。


区間17位に日体大の大内宏、全日本でエース区間の7区を担っている選手、8区ならば上位での走りも期待されましたが今回は厳しい走りになってしまいました。持ちタイムも良いですし、来年度は主力の1人として活躍して欲しい。区間18位に専修の水谷、箱根予選で200位台だったことを考えると、このくらいの順位かなあという気もしてしまいます。まだ1年ですし、今回の経験を今後に活かしてくれれば。


区間19位に城西の新井、山を走ったルーキー2人は上々の走りを見せていましたが、新井は苦しい結果となってしまいましたね。箱根予選に未出場ながら箱根出場を果たすほど期待も大きいのでしょうし、他のルーキーとともにチームを牽引する存在となってくれれば。区間最下位に山梨学院の篠原、7区同様にベストメンバーが組めなかったしわ寄せとなった区間かなあ。箱根予選、全日本とメンバー入りを果たしていますが3大駅伝は初出場、7,8区を担った2年生コンビは今回不発だったか…1,3年生に主力がいるだけに、2年生も割って入ってくれれば。


関東連合の高槻(東農大)は区間12位相当と上々の走り、関東連合で出場したルーキーとしては十分でしょう。東農大は今年度ルーキー中心で箱根予選に出場、2年連続でスカウトも良かったですし、箱根返り咲きに向けて力を蓄えていますね。専修も復活しましたし、次は東農大の番かな・・・?

総評

この区間は上位3人が4年生と最上級生の活躍が目立ちました。特に明治の大保はエース級が力を発揮出来ない中、2,3年時に苦しんだ経験が生きたのかなあ。頼もしい選手になってくれました。東洋の野口も本来であれば出場する可能性は低かったという話ですし、4年間コツコツ力をつけてきた選手が最後に選ばれ、結果を残すのも素晴らしい。岩見も2年時の悔しすぎる走りを乗り越えての2年連続3位以内、苦しい時を乗り越えてきた4年生の強さですね。


シード争いでは神奈川、明治が9区以降に希望とつないだものの、13位の城西は10位と4分近い差になって完全に脱落、青学も総合5位に浮上して完全にシード争いからは抜け出しました。現実的には7位の東国大~12位の明治までの争いとなりました。優勝争いはかなり創価が有利になりましたよね。もちろん9,10区は残っていましたがなかなか思うようにタイム差を詰められない駒澤に対し、9区に絶対的自信を持っている創価でしたから…

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