第97回(2021年)箱根駅伝 7区振り返り ~区間賞:佐伯(東国大)~

続いては7区における各選手の走りを振り返っていきます。7区結果はこのようになっております。シード争いは8区以降も激しかったですし、順位変動も多々ありましたが、結果としては7区終了時で上位10校に入っていた大学がそのままシードを獲得することとなりました。8区以降も一度も上位10校は変わっていないんですよね。この傾向はよく見られる気がします。シード圏内、シード圏外ではそれぞれ順位変動がちらほらあったとしても、8区以降でシード圏内に入っていくのはなかなか容易ではないです。

大学ごと

7区はトップ3が4秒以内にひしめき合う混戦だったのに対し、3位と4位は41秒もの大差がありました。それだけ、トップ3だった大学はアドバンテージを得たことになります。区間賞は東国大の佐伯、この走りは会心でしたね。全日本では7区で下位に沈み、3度出場した3大駅伝は全て区間二桁順位だったのですが…最後の箱根で素晴らしい区間賞を獲得、6区で主力の芳賀が苦しんだことでシードが苦しくなるかもと思われたところで、総合5位に浮上しシード権獲得に近づきました。


区間2位だった創価の原富は前半抑えて後半ペースアップするトップを走っている選手だからこそやりやすい理想の走り、総合2位との差を43秒も広げ、1分51秒差としました。6区で詰められたものの、7区で再び突き放すのも良い流れですよね。この時点で創価の初優勝の可能性が高くなってきました。区間3位に青学の近藤、こちらも全日本2区は苦しい走りですしたが、箱根ではきっちりと力を発揮し、総合7位にまで浮上してきました。



7区の重要度が上がってきたことも影響したのか、ルーキーを起用したのは駒澤1チームだけ、花尾は区間4位と上々の走りを見せたのですが、優勝争いという観点では前半差を詰めて後半逆に大きく差を広げられる苦しい走りになってしまいました。全日本の走りを考えると、箱根は十分な走りでしたけどね。3位争いでは東海の本間と東洋の西山の争いとなりましたが…本間が区間6位の走りで総合3位を死守したのに対し、西山は区間12位という結果に…本間も3大駅伝で安定した走りを見せてくれていますよね。


西山は日本選手権に出場していましたし、合わせるのは難しかったのかなあ。中止となった出雲を除き、3大駅伝全てに4年間出場、3年目以降は全て二桁順位と駅伝では苦しみましたが、随所に存在感は見せてくれたかな。シード争いでは、順大の小島が区間15位も総合6位とまだまだ好位置はキープ、小島は3度の3大駅伝出場で全て二桁順位と力を発揮出来ていないのが気になります。


シードのボーダー争いでは、國學院の徳備が区間7位と上々の走り、これは大きかったですね。國學院の復路は6,10区は安心と思っていただけに、7~9区でどれだけ粘れるかがシードに大きく影響する状況、そこで3大駅伝最初で最後の出場となった徳備が好走したことで、8区以降も走りやすくなったのでは。区間8位に早稲田の宍倉、会心の走りというわけでは無かったかもしれませんが、1つ順位を上げて総合10位とシード権内に浮上する走りは大きかったです。


区間10位に帝京の寺嶌、3大駅伝のエントリー自体初めて、さらに6区でアクシデントがあった中できっちりと区間中位でまとめ、総合9位は死守したところに帝京の選手層を感じます。シード争いでは、これまで粘ってきた神奈川でしたが、落合が区間17位とついに崩れる区間が出てきてしまうことに…まだ10位とは24秒差ではありますが、シード園内の大学がどこも8区以降も選手が揃っているため、厳しい展開となりました。


7区でこそシード圏内に入りたかった明治は手嶋が区間11位にとどまり、総合13位という位置は変わらず…故障明けだった聖人はともかく、加藤・小袖・前田・そして手嶋とここまでエース級が揃って前年度よりも苦しい走りになっているのは、今後に向けての大きな課題となりましたね。中央は中澤が区間5位の走りで総合17位に浮上、箱根予選に続いての好走で2年生世代も着実に存在感を示していますね。


区間9位に日体大の森下、箱根予選で149位だったことを考えると、この1桁順位は上出来でしょう。総合14位と2つ順位を上げていますし、前回は2区以降ずっと苦しい展開でしたが、森下も4年になってチームに貢献してくれました。城西の藤井が区間13位、箱根予選の走りを考えるともう一歩かもしれませんがしっかりと中位でまとめてくれました。1年生に注目が集まる城西ですが、2年も藤井を筆頭に活躍してくれれば。


国士舘の荻原が区間14位、こちらもまずまずの走りと言えるでしょう。前回の箱根は1区最下位でしたが、今回は何とかまとめてくれました。また、往路を走って欲しい選手です。区間16位に拓殖の吉村、復路は2年生が4人と多く担うことになりましたが、吉村もその1人、区間順位としては正直もう一歩でしたし、今後主力になっていって欲しい選手の1人です。


区間18位に法政の田辺、5区以降は4年生を並べてきた法政ですが、4年で唯一の3大駅伝経験者だった田辺は苦しい走りに…それでも、箱根予選にエントリーされなかった田辺もよう7区を任せられるまでに合わせてきてくれました。区間19位に山梨学院の木山、主力を欠いた影響をもろに受けた区間の1つだったかな。今年度は全日本・箱根予選にもエントリーされていない2年生ですし、区間下位に沈んだのも仕方なかったのでは…区間最下位に専修の成島、6区は何とか連続最下位を回避したのですが、これで5区間目の区間最下位ということに…19位とも52秒も離されていますし、戦力的にやはり厳しすぎましたね。。。


関東連合の小坂(日大)は区間13位相当とまずまずの走りだったかなあ。今年度急成長した日大期待の選手ですが、しっかりと中位でまとめてくれました。来年度はドゥングや樋口らとともにチームを牽引し、箱根復帰に導いてくれれば。

総評

優勝争いはここでかなり創価が有利に立ちましたよね。7区終了時でどれだけ差を縮められるかが一つの鍵だと思ってましたが、ここで引き離したことで、往路終了時とは30秒ほどしか詰められていませんし、9区に石津を残していることからも、本当に4度目の箱根で優勝が見えるほどに。3位の東海は創価と4分26秒もの大差をつけられ、5分12秒をつけられて東洋を含め、3位以下はもう完全に優勝争いから脱落することとなってしまいました。



シード争いでは、青学や早稲田といった往路で出遅れた大学がきっちりとシード圏内に戻ってきた一方、明治は6,7区で差を縮められないどころか広げられてしまい、10位と2分4秒差とシード権がかなり厳しい状況に。往路で大きく出遅れた中央は連続区間5位で巻き返しを開始しました。1区からシード圏内で粘っていた神奈川は7区でシード圏外にはじき出されることとなりましたが、まだ10位と20秒差と希望をもてる位置でつなぐことに。山をまとめた城西は10位と1分28秒差となり、さすがにシードは厳しい展開になってきましたね。

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