第97回(2021年)箱根駅伝 5区振り返り ~区間賞:細谷(帝京)~

続いては5区における各選手の走りを振り返っていきます。5区結果はこのようになっております。 距離が短くなったとはいえ最もタイム差のつくことが多い区間、今回もトップとラスが7分23秒差は10区間中最大、4区終了時で固まっている集団が2つあったこともおり、大幅な順位変動が起きました。

大学ごと

4区終了時でトップと素晴らしい走りを見せていた創価はここで三上が区間2位、トップとも13秒差という素晴らしい走りで見事に往路優勝を果たすことに。総合2位とのタイム差も2分14秒と創価の往路は完璧な走りでした。確かに主力を往路に投入してはきましたが・・・5区間とも2~6位で往路優勝を果たすとは思いませんでした。前回初シード、これが初めての箱根連続出場ですからね…


往路2位争いでは、前回区間賞だった東洋の宮下が今回も区間3位と2年連続の好走、前評判から考えれば東洋の往路2位は上出来ですよね。創価ほどでは無かったですが、東洋もほぼ完璧な走りだったと言えるかな。復路にも選手が残っていただけに、優勝争いにも踏みとどまることに。駒澤もルーキーの芽吹が区間4位、もちろん十分なのですが芽吹だったらトップと52秒差の4位はちょっと物足りなく感じてしまうほどです。それでも、東洋とは7秒差、優勝争いに踏みとどまりました。


そんな往路トップ3を抑えて区間賞を獲得したのが帝京の細谷、帝京は前回山で苦しみましたが、今回は見事に山登りを制し、2位の東洋とも17秒差に詰め、初の3位以内どころか復路に残るメンバーを見ると、総合優勝も夢ではないのでは?という素晴らしい走りでした。優勝候補の一角である東海は西田が2年連続の区間7位、前回同様に今回も故障などもあって合わせきれなかったのが残念…往路に主力4人を投入しての往路5位、トップと3分27秒差はかなり総合優勝は厳しくなることに…


優勝候補筆頭と思われた青学は3度目の5区となった竹石が苦しい走り…途中で痙攣して複数回立ち止まってしまう状況、2年前の区間13位よりもさらに厳しい区間17位に沈んでしまい、総合でも12位、優勝争いどころかシード争いに巻き込まれてしまうことに。4区終了時で2位争いを繰り広げていた東洋、駒澤、帝京が区間上位でまとめた中、東国大も4年の箱根が3大駅伝・予選会通じて初出場となった荒井が区間10位でまとめて往路6位、2年連続のシードに向けてよく踏ん張りましたね。


その一方で早稲田はルーキーの諸冨に託したものの、5区19位と大きく崩れてしまうことに…3位→11位にまで順位を後退させてしまい、早稲田も青学同様に優勝争いから脱落しシード争いに巻き込まれることとなりました。1区からずっと崩れることの無かった順大は津田が区間13位も総合7位、シード返り咲きに向けて復路にも戦力を残すこととなりました。ただ、これだけ戦力が揃っているとなると、もう少し5区でも稼ぎたかったかなあ。


同じく1区から好位置を守っていた神奈川も北崎が区間11位とまずまずの走り、苦しむことが多かった往路を5区間全てで区間11位以内でまとめ、往路8位とシードも狙える位置でのフィニッシュとなりました。ただ、一方で優勝候補と目された大学からも狙われる位置となることに…1,2区で出遅れた國學院も5区の殿地が区間8位でまとめて往路9位でのフィニッシュ、しっかりとシード圏内に入ってきました。誤算もありましたが、復路にも島崎、木付らを残して9位はまずまずかな。


拓殖は前回も5区を走っている石川が区間5位の好走、故障明けで5区に間に合わせてさらに区間5位と4年連続の箱根で最も良い走りを見せてくれました。総合でも10位と往路をシード圏内で終えましたからね。吉原ら主力を欠いた中でこの位置で往路をまとめるとは思いませんでした。


5区でびっくりな走りを見せてくれたのは城西の山本唯、ルーキーながら区間6位でまとめて往路を13位で終えました。全日本でもエース区間の7区に起用されるなど期待の高さは伺えましたが、ルーキーが5区で好走したのは今後を見据えても大きいですね。5区で巻き返したい明治は聖人が区間9位、11月末に故障してからよく合わせてくれました。もちろん、順位は物足りないですし、総合でも14位に留まっていますが、10位とは1分2秒差にまで縮め、何とか復路にシードの希望をつなぐことに。


3大駅伝・予選会通じて初エントリーだった4年の古海が5区を担った法政は区間12位と上出来と言って良いでしょう。5区候補だった清家を平地に回して4年生がきっちりと5区をまとめるというのは、ある意味狙い通りの走りが出来たのでは無いでしょうか。それだけに2区で河田がフラフラになってしまったのが痛かったです。国士舘も4年の孝田に5区を託して区間14位とまずまずの走り、国士舘も年々戦力アップは果たしているのですが・・・なかなか総合順位を上げることは出来ないんですよね。崩れる区間で一気に下がってしまうのが痛いです。


山梨学院は星野が区間15位の走り、これまでの実績を考えるとこちらもまずまずかなあ。主力を大量に欠いてしまい、往路は厳しすぎる展開でしたからね。まだ2年生ですし、今後に期待かなあ。もう5区を走った2年生が日体大の村越、5区候補の1人として期待されていましたが、区間16位はもう一歩だったか…総合でも15位に下がってしまい現実的にはシード争いに加わるのは厳しくなることに。


4区まで苦しんだ中央は5区でも畝がまさかの区間18位…3度目の5区で過去2度は10位以内dまとめていたのですが、今回は力を発揮することは出来ず…中央が往路19位に沈むことになってしまいました。どれだけ戦力を整えても、予選会や記録会で結果を残しても、なかなか箱根で結果を残せないですね。。。今回こそが最大のチャンスだと思ったのですが。


5区最下位は専修のルーキー野下、区間19位にも2分9秒も離されてしまう最下位で4区間連続の最下位に沈んでしまいました。往路で最下位になる可能性は正直高いとは思いましたが、19位と10分以上も差をつけられてしまいましたからね。7年ぶりに出場を果たした箱根はやはり甘くはなかったです。関東連合の杉浦(慶應)はその野下よりもさらに23秒遅れた区間最下位相当…狙い通りの区間配置が出来なかったことが最も影響したのがこの5区だったかなあ。

総評

優勝候補、シード候補と言われた大学が本当に往路は明暗くっきりでしたね。創価の往路優勝はびっくりで、復路にも原富、石津を残し6区も自信があるという話でしたから、2分という差は決して小さくは無い差のように思えました。創価も含めて総合3位以内を狙うと離していた東洋、駒澤、帝京までが現実的に総合優勝を狙える位置だったかな。復路にも選手を残していましたし。


明確に優勝を狙うと宣言していた東海が往路5位、青学に至っては12位と波乱の展開となりました。さらに優勝候補の一角と言われた早稲田が11位、明治が14位ということで復路でのシード争いが非常に熾烈になることが予想されました。


一方で東国大、神奈川といった往路は厳しいのではと思われた大学もきっちりとシード圏内をキープし、復路に希望を残すことに。5区で一気に順位を上げる大学、下げる大学も多く、やはり5区は引き続き最重要区間の1つであることは間違いないですね。そんな中、区間トップ3は帝京の細谷、創価の三上、東洋の宮下と3年生が上位を占めることとなりました。これは来年に向けても楽しみな結果だったかなあ。


またルーキーは3人出場し、駒澤の芽吹、城西の山本唯が好走したものの、早稲田の諸冨、専修の野下は区間19位、20位と苦しい結果に…早稲田は3年連続で好走した安井が卒業していこう、3大会連続で区間15位以下と5区で苦戦しています。この区間を何とかしないとさらなる上位は難しいですね。

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