第97回(2021年)箱根駅伝 2区振り返り ~区間賞:Y・ヴィンセント(東国大)~

続いては2区における各選手の走りを振り返っていきます。2区結果はこのようになっております。各大学も当然のようにエース格を起用してきますが、実績のある選手、前回好走した選手であっても2年連続で結果を残すのが難しい区間ですよね。そんな中では留学生が上位を占めた中、割って入った選手が素晴らしかった。その一方で優勝候補や上位候補と言われた大学が2区で苦戦することも多かった。

大学ごと

区間賞は東国大のY・ヴィンセント、前回3区で驚異的な区間新記録を叩き出しましたが、今回も2区で65分49秒という区間新記録を叩き出しました。前回相澤がマークした65分57秒を8秒更新することに。ヴィンセントからするとタイムとしてはこれでもまだ少し物足りない気もしますが…相澤が区間2位タイ(2人)に21秒差だったのに対し、ヴィンセントは区間2位に1分20秒もの大差をつけていますからね。やはり圧巻の走りでした。本人は次は4区も狙っているようで…往路の区間記録がヴィンセント色に染められていくのかも。。。


他の留学生もさすがの走りを見せ、区間2位にR・ヴィンセント(国士舘)、5位にラジニ、6位にムルワと出場した4人の留学生は区間6位以内に入っています。R・ヴィンセントは3年連続区間4位以内と安定の走りを披露、ただ後ろから追う展開とはいえ66分台は欲しかったところかなあ。ラジニも前回は区間2位タイでしたからね。箱根予選トップ通過だったことを考えると、こちらももう一歩…ムルワは好位置でタスキをもらい、Y・ヴィンセントに抜かれた際についていく選択をしたのは良かったですが、さすがにハイペース過ぎたのか終盤はややペースダウンしてしまったかなあ。


いずれも区間上位ではあった一方で4人とも完璧な走りを見せたかというとそれぞれに少なからず課題もあったかもしれません。そんな留学生に割って入った日本人選手が2人、区間3位だった日体大の池田と区間4位だった東洋の松山です。池田は日本選手権1万で27分台をマークしており、その後日本選手権に出場した選手が軒並み苦戦する中、最も活躍した選手と言って良いでしょう。


松山は唯一2区に出場したルーキー、全日本の走りを見ると箱根2区は大丈夫?と思ったのですが杞憂でした。67分15秒というタイム、集団から抜け出して9→5位に浮上する走りは来年度エースとしてチームを牽引するであろうことを想像させる走りでした。日体大同様に東洋もほぼ完璧な1,2区でした。


区間7位に駒澤のエースである田澤が入りましたが、これは正直物足りない走りですね。監督も本人もそう発言していますし、最低でも日本人トップは走ってもらわないといけない選手ですから。日本選手権があったこと、1区15位とやや出遅れてしまったこと、前にいたのがY・ヴィンセントという最強大学生でついていくのが困難だったこと、上りが得意ではないことなどが挙げられるかな。


区間8位に東海の名取、こちらも決して悪い走りではないですが、好走したとも言えないのかなあ。せっかくタスキをもらってすぐに先頭に立てた理想的な展開だったことを考えると、名取の力を考えるともう少し上位でもおかしくないですからね。区間9位に神奈川の井手が入ったのは上出来かなあ。3度の箱根を含む4度走った全日本は全て区間1桁と安定した走り、前回の5区、今回の2区と主要区間で結果を残し続ける井手はまさにエースに相応しい結果を残し続けました。


区間10位に順大の野村が入りました。まだ2年生ながら三浦とともにダブルエースの一角を担う選手、エース区間でも十分に他大と渡り合えることを示してくれました。今年度の順大の躍進の立役者ですし、来年度以降も楽しみです。前回2区を走った日本人選手は2人いますが、12位だった帝京の星、17位だった明治の加藤といずれも前回よりも順位を落としています。星は全日本の走りを考えてももう少し走ってほしかった気がします。


そして加藤ですよね…前回は前半抑えて後半上げる見事な走りですが、今回は前半抑えて後半も上がらないという…1区で出遅れたことや前がY・ヴィンセント、田澤に後ろはR・ヴィンセントというエース級だったのも走りづらかったか。2区終了時で総合17位と大きく下位に沈んでしまうことに…この時点で優勝候補の一角が早くも脱落してしまいましたから…


区間11位が城西の菊地だったのも少し意外だったかなあ。箱根予選、全日本と結果を残し、1万のタイムも大きく伸ばしていましたから。2区終了時で抜け出したかった城西としてはやや誤算でした。早稲田の太田が区間13位、青学の中村は区間14位と優勝候補の大学も2区で出遅れました。太田もやはり日本選手権1万で27分台の好走を見せた影響があったかな。1区が好スタートだっただけに、ここで5つ順位を上げて10位まで後退したのは痛かった。


青学も優勝候補としてエース区間の2区で苦戦し、6→13位と7つも順位を下げたのは想定外だったでしょう。中村も今年度は安定してハイレベルな走りを見せ、2区も任せられると思ったのですが荷が重かったのか…國學院の中西大も区間15位に沈んでしまっています。藤木が1区12位と出遅れた影響もあったのか…國學院はダブルエースを起用して2区終了時で区間15位と苦しい序盤戦となりました。


区間16位に中央の森凪也、明治同様に中央も1区の出遅れを2区で挽回出来ず、さらに傷を深くしてしまうことに…エースの1人である森凪也をもってしても立て直せないとどうしようもないですね。。。2区終了時で総合18位となり、シード争いからも大きく遅れてしまうことに。山梨学院の日本人エース森山も1区最下位では力を発揮するのは難しく、区間18位どまり・・・区間15~18位は1区の出遅れが響いた感じかなあ。


区間19位に法政の河田、1区区間賞と最高のスタートを切った法政ですが、今年度不調の河田にはちょっと厳しかったか…後ろからハイペースで来るエース級にどんどん抜かれてしまい、さらに終盤はフラフラになってしまうというアクシデント、何とかタスキをつないだものの、1→16位と15も順位を下げてしまいました。区間最下位に専修の茅野、茅野も箱根予選で好走したエース格の1人ですが、それでも箱根2区は別格ですよね。。。木村を欠いたことも響き、苦しい走りとなってしまいました。


1区好スタートの関東連合も2区候補とも言われた村上を起用出来ず、河村が走ったものの区間最下位相当…力の似た選手が揃う関東連合はどうしてもエース区間で苦戦しやすいですが、今回もそれは変わらずでした。。。

総評

2区終了時でトップに立ったのは順当に東国大、創価も狙い通り区間2位と好位置につけました。優勝候補では東海が3位と上々のスタート、一方で駒澤は大エースを起用しながら8位ともう一歩順位を上げきれず…早稲田も総合10位と出遅れてしまいました。前回優勝の青学が総合13位、上位だった帝京が14位、國學院が15位と出遅れが目立ちます。特に優勝候補筆頭の青学が13位は厳しい展開に…


また、上位候補だった明治が17位、中央が18位でともにトップ4分20秒ほどの大差をつけられてしまうことに。総合17位以下は1区で16位以下に沈んだ大学が揃い、総合順位が区間順位に近くなりやすい駅伝のパターンにハマってしまいました。1,2区を理想的な展開で進めたのは、4位だった日体大、5位だった東洋、7位だった神奈川あたりですね。優勝争い、シード争いから実質脱落してしまった大学もちらほらありますが、この時点ではまだまだ予断を許さない状況でした。

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