第97回(2021年)箱根駅伝 1区振り返り ~区間賞:鎌田(法政)~

箱根駅伝が終わってしまいました。今回はあっという間というよりは、もう往路も復路も予想外のことがありすぎて、興奮冷めやらぬという感じです。もう何をもとに箱根駅伝予想すれば良いのか分からないですね。ハーフなんて今年度は特に参考にならず、1万も当てにならない…今回のような悪条件の箱根の場合、本当に速さよりも強さが求められました。


箱根駅伝が終わったことで、2021年も無事に1月4日より始まりましたので…また、来年度の3大駅伝を楽しみにブログ・HPを更新していこうと思います。まずは1区における各選手の走りを振り返っていきます。1区結果はこのようになっております。

大学ごと

前回のハイペースな1区、さらに今年度も各大学のエース級が揃ったことでどれだけのハイペースになるのだろうと思っていたら…あれっ、ジョグ?という超スローペースで始まることに。あれだけ有力選手が揃うと、どうせついてこられてしまいますし、エース級も引っ張りたがらないですよね。1km3分30秒超えはびっくりしました。


そんな中、塩澤が一旦ペースを上げ、その一方で途中で集団に戻る冷静な走りでした。ずっと引っ張っていると、ラストのスパート合戦まで持たなかったかもしれませんが、途中で下がったことで最後まで区間賞争いに加わりましたからね。エース級を起用してきた大学は多かったですが、明確にチームNo.1ランナーを起用してきたのは、法政だけだったと思います。


そして、その法政の鎌田がラスト抜け出し、さらにもう一段スピードを上げて区間賞を獲得してしまうのですから、まさに期待に応える走りでした。最初から最後までクレバーな走りを見せてくれました。タイムは63分ちょうどと当然前半のスローペースもあって速くはないですし、後続ともタイム差はそれほどありませんが、あれだけ有力選手が揃う中で区間賞を獲得したのは大きな自信となったでしょう。まだ3年生、来年度も絶対的エースとしてチームを牽引していってくれれば。


5秒差の区間2位に東海の塩澤が続き、区間賞を獲得出来なかったのは残念ですが、トップ付近でタスキを繋ぐという役目は十分に果たしてくれました。東海としては当然先行逃げ切りを狙っていましたし、さすがは塩澤という走りでした。日本選手権に出場した影響も感じさせませんでしたね。3位にエース格の1人である福田を起用した創価が入り、狙い通り上位でタスキを渡すことに成功。もちろん、2区以降も選手が揃っているからとれる堅実な戦略でした。


今回はルーキーが5人と前回よりも多く起用されました。個人的に、ハイペースになったり、今回のように恐ろしいほどペースの変動があるような経験も試される今の箱根駅伝で1区にルーキーを持ってくるのはリスクが高いと思っているのですが、順大の三浦、明治の児玉らは全日本1区でも好走しており、あの走りが出来るならば箱根でも…という期待があったのですが、ルーキーで最も良かったのは10位だった順大の三浦とルーキーは揃って洗礼を浴びる結果となりました。


ラスト勝負となれば三浦に分があったと思いますが、11月末に故障してしまったこと、ペース変動が激しくラストまで力を残すことが出来なかったか…今年度無類の強さを発揮していましたが、初の箱根駅伝はほろ苦いものになったかなあ。駒澤の1区にルーキーの白鳥が起用されたのはびっくりしました。11月末、12月とトラックを走っていましたからね。スピードはありましたがスタミナ不足はまだ否めなかったようで、遅れてからも粘ることが出来ず、トップと47秒差の区間15位とこちらも苦しいスタートとなってしまいました。


さらに苦しかったのが明治の児玉、白鳥同様にスパート合戦に入る前に遅れてしまいトップと1分6秒差の区間16位、ちょっと故障明けという状態だったようで、戦力は揃っているのだから1区はもう少し確実にいくべきだったのでは?とも思ってしまいますね。さらに、箱根予選で好走した国士舘の山本が区間18位と苦しい走り、箱根予選で好走してもやはり箱根1区で結果を残すのは容易ではないです。全日本でまずまずの走りを見せた山梨学院のルーキー新本は区間最下位…タイムを伸ばしているとは言え、さすがに荷が重かったかなあ。1区候補の瀬戸が回復せずに起用出来なかったのも響きました。


3,4年生は9人出場していますが、いずれも区間13位以内で13位でもトップと35秒差、大きく崩れる選手はいませんでした。その一方で2年生も下位に沈む選手が…ただ、東国大の丹所は区間14位でしたが、トップと45秒差にとどめ2区に大エースノヴィンセントが控えていることを考えると十分にその役目を果たしてくれました。


中央は2年連続で千守を起用しましたが区間17位、たしかに今年度は1万で28分15秒をマークするなど更にタイムを伸ばしましたが、前回も区間16位に沈んでいる選手を2年連続で起用せざるを得なかったのかはちょっと気になるかなあ。今回は往路を任せられる選手が揃っていただけに…専修はエースの1人である高瀬を起用して区間19位という結果ではしょうがないかなあ。木村も欠いていまし、誰を1区に起用しても厳しい展開は避けられなかったかと。


区間4位に神奈川の呑村が入ったのはさすがでしたね。箱根予選でチームトップで走っていましたが、3大駅伝デビューでもその重責を十分すぎるほど担ってくれました。来年度、チームのエースとして活躍してくれることでしょう。区間5位に早稲田の井川、区間6位に青学の吉田と優勝候補と言われる大学はきっちりと区間上位で繋ぎました。井川は準エースの1人でダブルエースを2区以降に温存しながら好位置でレースを進める理想的な走り、吉田も2年連続の1区でしっかりとまとめてくれました。


区間7位に入った城西の砂岡は一度遅れながらも、その後の粘りが素晴らしかったです。さすがはエース格の1人であり、来年度は絶対的エースとしてチームを率いていくことになるのかな。区間8位に池田に次ぐエースである日体大の藤本が入り、こちらも狙い通りかな。区間中位でまとめてエースにつなぐという役割を果たしてくれました。区間9位に東洋の児玉が入ったのは上出来だったかな。全日本に続き箱根でも1区を任さられ、きっちりと中位で走ってくれたのは今後を見据えても大きい。


区間11位に拓殖の合田が入ったのはこちらも上出来でしょう。1万で28分台を出したとはいえ、3大駅伝・予選会はエントリーも初めて、それでこの走りですからね。2区にラジニが控えることを考えても大きかった。区間12位に國學院の藤木、13位に帝京の小野寺と前回好走した二人が二桁順位だったのはちょっと残念だったかな。


特に藤木は前回区間2位で今年度もエースとして活躍していただけに、再度の1区ならば前回の再現が期待されましたからね。途中集団を引っ張ったことで力をつかってしまったか…エースを起用してこの位置は國學院にとってちょっと辛かった。小野寺も前回より区間順位、トップとのタイム差ともに悪くなってしまったのは残念でした。今年度も悪くない走りをしていただけに。。。


関東連合の難波は区間10位相当と上々のスタートでした。箱根予選でチームトップをマークしている選手はやはり箱根でも結果を残してきますね。素晴らしい走りだったと思います。

総評

優勝候補と言われた大学では東海が好スタート、早稲田、青学もまずまずだった一方、駒澤と明治が出遅れてしまいました。ただ、2区に大エースの田澤を残していた駒澤に対し、今年度はそれほど目立った走りが出来ていなかった明治の加藤は2区でどうなのかとちょっと不安の残るスタートに。


また、1区を10位以内で走った大学のうち、シードを獲得したのは6校とやはり1区では大勢は決まらないのが当然ですが、区間16位以下だった選手に限ると、5校ともシードを逃しています。そこには上位に入ることも期待された明治、中央も含まれることに。改めて1区の大事さ、1区で出遅れないことの大事さを知ることとなりました。


1区に誰を起用するかはもう永遠の課題ですよね。エース級を起用して無駄遣いにしたくない気持ちと絶対に出遅れたくない気持ちが交錯しますから。。。理想は準エースを起用して1区で好位置につけるなのかなあ。そうした観点では、神奈川や早稲田あたりが上手くまとめた印象です。トップと10位が31秒差、トップと20位でも2分4秒とそれほどタイム差の無かった1区ですが、この1区は大波乱の展開となっていく2区以降への序章に過ぎませんでしたね。

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