第96回(2020年)箱根駅伝 5区の振り返り&気になり ~区間賞:宮下(東洋)~

続いては、5区における各選手の走りを振り返っていきます。5区結果はこのようになっております。 まず素晴らしかったのが区間賞&区間新を獲得した宮下ですよねー。4区終了時で総合14位だったときは、本当にシード落ちもありえるかと思いましたが、5区の走りで総合10位とも秒差の11位に浮上し、チームを救う走りを見せました。2年連続で走っている田中を押しのけて5区を任されるだけのことはあります。


区間2位に青学の飯田が入ってきたのも優勝争いにおいて、圧倒的有利な状況を作りました。全日本8区の走りを見る限りは、ここで東海や國學院にグッと差を縮められるかと思ったのですが、逆に両校と差をつける走り、特に最大のライバルと目された東海1分24秒もの大差をつけました。3~5区の3区間で東海と3分以上の差をつけたのですから、まさに完璧なレース展開と言って良いでしょう。往路優勝のゴールテープを切り、総合優勝もグッと近づけました。


区間3位に國學院の浦野、前回の圧倒的な走りからすると、今回はももちろん素晴らしいですが、もう一歩だったかなあ。3大駅伝全てで区間3位以内というのも素晴らしいですが、その一方で区間賞が取れなかったのは物足りないと感じるほどに浦野への期待は大きいですからねえ。それでも、往路2位は上出来と言って良いでしょう。


区間賞候補の1人だった東海の西田は区間7位、こちらも箱根に万全の状態で合わせられなかったようで特に終盤は苦しい走りになってしまいましたね。3年生の力で勝ち取った全日本に対し、箱根はその3年生が塩澤以外苦しんだかなあと。5区好走経験がある選手では、前回区間5位だった駒澤の伊東が区間13位…駒澤も前回好走している大聖、山下、そして伊東と走るべき選手が結果を残せずに往路8位と苦しい結果となりました。


2年前に区間10位だった中央の畝拓夢は1つ順位を上げて区間9位という結果に。ただ、監督の期待が非常に大きかったことを考えると、ちょっと物足りない走りだったのかなあ。最も計算出来る区間という話でしたし…また、双子対決で話題となった中央学院の畝歩夢は拓夢を3秒上回ってきました。この3秒負けたというのも拓夢にとっては非常に悔しかったでしょうね。


逆に歩夢にとっては高校時代からずっと拓夢が注目され、また結果を残し続けてきたいたのが、ついに直接対決で上回ったという誇らしい思いもあるでしょう。まだ3年生ですし、来年度再びの激突も十分有り得そう。


2年前に5区8位で走っている帝京の平田はさらに力をつけていることを考えると期待大だったのですが…まさかの区間18位に終わってしまいました。帝京の5区は2年連続で鬼門になっていますね。それでいて、総合5位以内に入ってくる帝京も凄いのですが…前回は関東連合で5区を走っていた筑波の相馬も区間19位と下位に沈んでしまいました。前回の走りはまずまずだったのですが、チームとして走った今回の方が苦戦したのは残念…


2年連続で区間中位で走っていた国士館の鼡田も区間最下位に沈むとは思わなかったですね。チームが苦しい位置でも鼡田はしっかりと走れており、ヴィンセントに次いで計算出来る区間だと思っていたのですが…こうして見てみると、箱根5区で実績のある選手が比較的今回は苦しんだように思えますね。


そんな中、先述の浦野とともに今回も好走したのが法政の青木、総合18位と苦しい位置ながらも区間4位の走りで2つ順位を上げてきました。苦しい状況でも結果を残し続ける青木の存在は本当に法政にとって大きかったですよね。恐ろしいほどの安定感でチームを支え続けました。逆に青木が抜ける来年度が心配になってしまうほどに…


区間5位に入ったのが明治の鈴木、上り適性があるとは言われていましたが、加藤に2区を任せることで5区に鈴木を温存出来ました。そして、今回の素晴らしい走りですよね。総合5位にまで4つ順位を上げ、チームのシード獲得を大きく引き寄せる走りを見せました。区間6位に入った神奈川の井手も見事でしたね。チームが下位に苦しみ、主力たちが揃って力を発揮できない中、重要区間の5区でその役割を果たしてくれました。


東京国際の山瀬は区間10位、前後を走る選手が驚異的な走りを見せる中、無理せずきっちりと区間中位でまとめ、さらに終盤には東海を抜きかえしての3位と素晴らしい走りを見せてくれました。5区で崩れなかったのも東国大が躍進できた理由の1つですよね。拓殖の石川が区間11位、出雲・全日本はエントリーされずも箱根には合わせてきてくれたのが大きかったですね。この走りで往路は10位とシード圏内に留まることが出来ました。


区間12位に創価の築舘、1年時に候補に挙げれながら走れず、3年越しの箱根で区間中位でまとめてくれました。往路7位と初めてシード圏内でのフィニッシュとなり、復路に向けても期待のもてる往路となりました。区間14位に順大の真砂、持ちタイムを着実に伸ばし、3大駅伝初エントリーで重要区間の5区を任されましたが、順位としてはまずまずだったかなあ。3年連続で好走していた山田攻の後というのも大変ですよね。


区間15位は早稲田の吉田、前回は残念ながらアクシデントで箱根5区を走れず、、、今回は無事に走れましたが区間15位は本人としても納得の行く走りでは無いですよね。早稲田は今回は山で苦しむこととなってしまいました。区間16位相当に関東連合の外山が走っていますね。チームとしても総崩れしてしまうでも無く、何とか粘れていたのも印象的でした。


日体大の藤本が区間16位、日大の廣田が区間17位となっています。ともに5区を希望しており、特に藤本はこれまでの実績から箱根5区でも相当いけるのでは無いかと期待も大きかったのですが、箱根デビュー戦はほろ苦いものになってしまいました。廣田も1万で28分台を叩き出し、ついに掴んだ箱根初出場でしたが…最初で最後の箱根はこちらも苦しいものとなってしまったかなあ。。。