第96回(2020年)箱根駅伝結果 ~青学が完璧なレースで2年ぶり5度目の総合優勝~

箱根駅伝もあっという間に終わってしまいましたね。公式結果(PDF)はこのようになっております。青学が圧倒的な強さを見せて優勝を果たした一方、前回上位の東洋、駒澤が下位シードに沈む展開。さらに、前回シード校では法政、順大、拓殖、中央学院と4校がシード落ち、東国大、明治、早稲田、創価が新たにシード獲得と各大学の戦力というのは、やはりかなり拮抗しているのかなあという印象でした。その中でも青学と東海が抜けていましたが…各大学ごとに復路の走りを振り返ります。

1位:青山学院大学

復路も強かったですな。6区谷野が区間3位、7区中村友も区間4位で東海大学で詰められるも最低限に留めて2分の差はキープ、そして東海が差を冷たかった8区で前回は苦しんだ飯田が東海との差を1秒に留めたことで優勝の可能性は極めて高くなり、9区神林が区間賞で青学の優勝を決定付けました。


10区湯原は区間5位もきっちりとその差を守っての2年ぶり5度目の総合優勝となりました。往路からスキが無い走りでしたが、復路も盤石の強さでしたね。前回の箱根はほころびが見えたかと思いましたが、今回はその反省を活かし、また憎らしいほどに強い青学が戻ってきました。来年度以降もまた青学の時代が続くことになるかもしれません。

2位:東海大学

6区に起用された館澤が57分17秒という異次元の区間新記録をマーク、故障に苦しんだ主将がとんでもない走りを見せて、青学との差を一気に縮めてくれました。7区のルーキー松崎も区間3位で青学との差を20秒縮め、これで一気に優勝の可能性も残ってきたのですが…8区小松が2年連続区間賞も青学とは1秒差を縮めるのみ。


そして9区の松尾が区間8位で実質終戦となってしまいました。ちょっと松尾は駅伝となると力を発揮しきれなかったかなあ…2年連続の10区となった郡司は区間3位の走りで何とか復路優勝を確保、総合2位でのフィニッシュとなりました。往路で故障明けの選手を起用せざるを得なかった状況が結果として大きく響いてしまったかなあ。黄金世代が4年時に何とか勝ちたかった箱根でしたが、青学が1枚上手でした。

3位:國學院大學

目標である総合3位を確保したのが國學院大學、6区の島崎が館澤には抜かれるも区間8位と上々の走り、7区の木付は3区11位と区間中位で粘りました。さらに、8区の河東が区間7位で走ったのも大きかったですね。これで3位は堅いかと思ったのですが、9区の茂原が区間19位に沈んでしまい、総合5位に後退してしまうことに。茂原も4年時は苦しい走りが続きました。


しかし、そんな中チームを救ったのは殿地、区間4位の走りという順位だけではなく、前を走る2校に追いつき、4校でのラストスパート合戦を制しての総合3位、往路3位を目標とし、実際に達成してしまうのですから凄まじいですね。4年生に頼らないチームにもなってきましたし、来年度も楽しみです。

4位:帝京大学

6区の島貫は区間13位とやや苦しいスタート、力のある選手であってもやはり故障明けでは厳しいですよね。正直、館澤が異常なのかと…7区の中村も区間9位と上々の走りで総合8位をキープ、そしてここからが帝京の選手層を存分に見せつけることとなります。8区の鳥飼が区間3位の走りで2つ順位を上げて総合6位に浮上。


そして9区の小森が区間5位の走りで総合6位をキープ、さすがにこのままの順位かと思ったのですが…秘密兵器と言っていた10区の吉野が凄まじかったです。区間新&区間2位とすさまじい走りで前を行く大学に追いついてラストは4校の争いに。ラストは3秒届かなかったものの、総合4位と過去最高順位でのフィニッシュとなりました。前回の5位を上回り、出雲、全日本から見事に立て直してきましたね。

5位:東京国際大学

6区の大上が区間16位と苦しい走りで総合4位に後退しましたが、7区の真船が区間7位という粘りの走り、さらに前回も7区で好走している8区の芳賀が区間5位とこれまた素晴らしい走り、2年連続で箱根にだけはきっちりと合わせてくれます。非常に頼もしいですね。


そして、9区に温存して相沢が区間3位の走りで前を猛追、往路だけではなく、復路にもきっちりと選手を残せる強さはとても箱根で初シードを狙う大学とは思えませんね。。。9区終了時は再び総合3位に浮上することに。10区の内山は区間9位と粘りの走りで3位集団に最後まで食らいつき、3位と7秒差の5位、初シードが5位と全日本に続いて素晴らしい結果を残しました。

6位:明治大学

2年連続の6区となった前田が区間7位と好スタート、総合5位の順位をきっちりとキープすると、7区に満を持して起用された阿部が区間新、区間2位に1分16秒もの大差をつける圧巻の走りを見せました。阿部がよくぞ完全復活してくれました。


8区は櫛田、最初はゆったりと入ったもののしっかりと区間8位でまとめて総合4位を死守、9区で2年連続村上が区間11位とこちらも区間中位の走りで総合4位のままに。10区の河村は区間10位、4校でのラスト勝負では、スピードが活かせるかと思いましたが、さすがにラストの力は残っておらず…3位と26秒差の6位という結果となりました。力のある選手が揃いながら、どうしても噛み合わなかったチームがようやく噛み合い、シードを獲得出来たのは良かったです。

7位:早稲田大学

6区の半澤は区間19位と苦しい走り…早稲田も6区は苦しいですね。。。総合12位まで下がってしまいました。しかし、7区のルーキー鈴木が区間2位という素晴らしい走りで総合9位とシード権内に浮上、8区の太田直も区間4位の走りを見せました。この7,8区に二人を起用出来るのは早稲田の強さですね。


9区の新迫も区間4位で続き、総合8位に浮上することに。10区の宍倉は最初から最後まで2校の争いとなった7位争いをラストのラストで突き放し、総合7位、2年ぶりのシード獲得となりました。箱根予選で9位通過となったときはどうなるかと思いましたが、全日本、箱根としっかりと立て直してきたのはさすが早稲田です。

8位:駒澤大学

6区の大成は区間6位と上々のスタートで2つ順位を上げて総合6位に浮上、7区の小林も区間5位で総合6位をキープとここまでは順当な走りだったのですが…8区の加藤が区間11位…それもシード権内の大学がほとんど上位に来る中でこの走りは痛く、総合8位に下がることに。全日本の悔しさを晴らしたい9区の神戸も区間13位に沈み、総合9位とシード権にも不安が出てくることに…


しかし、そんな中で10区に出場した唯一の2年生である石川は区間7位、ラスト勝負には破れたものの区間7位の走りは3大駅伝初出場ということを考えれば、上出来と言って良いのでは。ただ、出雲2位、全日本3位だったチームが箱根では8位…本当に箱根には合わせられない状況が続きますね…このままでは今後も優勝争いに加わるのは難しいそうかなあ。。。

9位:創価大学

6区のルーキー葛西が区間16位と苦しいスタート、さらに、7区の右田が区間18位で総合11位とシード圏外に下がることとなりました。この時点では正直シードは厳しいと思ったのですが…8区を走った鈴木大が区間9位と復活の走り、さらに9区の石津が区間6位で走ってくれたのが大きかったですね。これで、現実的に箱根シードが見える位置となりました。


しかし、それでも最大の立役者は間違いなく1区の嶋津でしょう。実績を残してきた嶋津ではありますが、まさか10区で区間新&区間賞の記録を叩き出すとは…総合でも9位にまで順位を上げ、見事に初シードを獲得しました。

10位:東洋大学

駒澤以上に大誤算だったのが東洋でしたね…6区の今西は57分34秒という驚異的な区間新&区間2位の走りで一気に総合7位に浮上、3大駅伝デビューとなった7区の蝦夷森が区間6位、8区のルーキー前田も区間6位と上々の走り、9区の大澤も区間9位で総合7位は死守と、もちろん東洋からすれば物足りない走りかもしれませんが、悪くない走りだったと思います。


しかし、10区の及川が区間19位と大きく崩れてしまい、総合順位を3つ下げてしまい、総合10位に…柏原が入学して以来、守り続けてきた総合3位を逃すどころか、ギリギリでのシード獲得となりました。定方が走れなかったことも痛かったですが、東洋の選手層の薄さを感じぜずにはいられない結果に…来年度の巻き返しに期待です。

11位:中央学院大学

6区を任された武川が区間5位というびっくりすぎる走り、大学から長距離を本格的に始めた選手が、ルーキーイヤーの箱根6区で58分25秒の区間5位で走ってしまいますか???武川を抜擢する中央学院もその期待に応える武川も凄まじいです。一気に総合9位に浮上することに。7区の吉田は区間14位、8区の藤井は区間15位とやや苦しんだものの、総合10位は何とか守ったものの、また今回もシード争いの真っ只中に巻き込まれることに。


そんな中、9区に温存した有馬が区間2位という素晴らしい走りで、総合11位と55秒差をつけました。これでシードは安泰かと思いきや、2年連続10区の石綿がまさかの区間18位に沈んでしまうことに…さらに、11位だった創価が区間新&区間賞ですからね… 粘り強く守ってきた中央学院の連続シードも途切れることとなってしまいました。

12位:中央大学

6区を任されたルーキーの若林が区間10位と上々の走り、7区を任された森凪也は区間12位…森凪也が7区になった時点で苦しいとは思っていましたが、やはり万全では無かったようで…8区の矢野も区間16位と前年度に比べても苦しい走りとなってしまい、総合14位まで下がることとなりました。しかし、9区の大森が区間10位の走りで総合13位と1つ順位を上げることに。


そして、10区の二井ですよね。28分台をマークして注目されて以降、故障続きで記録会でも満足な走りを見せられなかった二井が最後の箱根に出場しただけでも個人的には嬉しかったのですが、ここで区間6位と有終の美を飾る走りで総合順位も1つ上げて12位、最後に舟津と田母神という4年生が待っていたのも感動的でした。シードには届きませんでしたが、収穫も多い復路だったのでは。

13位:拓殖大学

6区を任された玉澤が区間18位と苦しいスタートで総合11位といきなりシード圏外に下がってしまったのがまず痛かったですね。その後は7区の児玉が区間10位、8区の佐々木が区間14位と決して悪くはない走りだったのですが、シードを争う大学とは差を広げられてしまったんですよね。9区を走る中井も区間12位といずれも崩れない走りを披露してくれました。


ただ、10区を走った清水がまさかの区間最下位に沈んでしまうとは思いませんでした。ここまでは大崩せずに良い走りを見せてしまったのですが、最後に大きく崩れてしまい、1つ順位を下げて総合13位で3年連続シードとはなりませんでした。それでも、個人的にはよくぞ粘ってくれた復路でしたし、今後に向けても期待は持てる結果だったのでは。

14位:順天堂大学

6区の清水は区間12位とまずまずの走りも、全日本の走りと前回も経験していることを考えると、もう一歩だったか。7区の小畠は区間13位、8区のルーキー西澤は区間9位で1つ総合順位を上げて13位となりました。西澤も早速一桁順位で走っていますし、やはり今後が楽しみなルーキーですね。


9区の高林は区間15位、10区の野田は区間17位ということで最後を締めくくった4年生はもう一歩だったかなあ。それでも、持ちタイムを伸ばしながらなかなか出番の無かった高林が最後に走れたのは良かったですし、下級生から活躍していた野田が故障に苦しみ続けた中、最後の箱根を走ったのは嬉しかったなあ。ただ、2年連続のシード獲得とはなりませんでした。。。

15位:法政大学

6区の坪井が区間15位と苦しい走り…前回は素晴らしい走りを見せている坪井ですが、やはり故障明けというのは大きかったかなあ。力を発揮することは出来ませんでした。7区の松澤は区間15位、8区のルーキー中園はも区間18位と苦しい走りに…法政のルーキーは8区から飛躍する選手も多いですが、中園も今回の悔しさを糧にしてくれれば。


9区に抜擢された清家が区間7位で走り、2つ総合順位を上げて15位となったのは今後に向けて大きな収穫だったのでは。10区を走った増田も区間12位でまとめ、そのまま総合15位となりました。佐藤がいればと思わずにはいられない往路の結果でしたが…それでも、新戦力の台頭もあり、収穫もあったかなあ。

16位:神奈川大学

6区の森が区間11位というまずまずのスタート、7区の川口も区間8位と良い走りを見せてくれました。川口も自己ベストをマークし、さらに勝負レースでも結果を残してきたのは大きいです。8区の安田響は区間12位とこちらもまずまずの走り、ただ9区の古和田は区間18位とやや苦しい走りに…


10区を任された荻野は区間11位の走りで総合16位でのフィニッシュとなりました。往路に比べると、復路はまずまずだったかなあ。7区の川口、8区の安田響といった2年生がしっかりと走れたのも今後に向けては収穫かなあ。ただ、箱根予選で2位通過を果たしていることを考えると、箱根で結果を残せなかったのは残念だったかなあ…

17位:日本体育大学

6区を任された廻谷は区間14位ともう一歩だったかなあ。本来であれば主要区間を任せてもおかしくない選手ですし…7区の大内一は区間17位、8区の嶋野も区間17位と復路もなかなか順位を上げることは出来ず、総合18位のまま…

9区の野上が区間16位、10区の中川も区間13位ということで、5区間全てで区間13位以下と苦しい結果になってしまいましたね。中川も10区で13位ということは、やはり万全では無かったのか…日体大も監督が変わって箱根予選は良かったものの、箱根では苦しい結果に…なかなか箱根予選上位通過しても、本戦で結果を残すのは容易ではない。。。

18位:日本大学

6区の宮崎が区間4位と凄まじい走りを披露、この走りは6区の中でも最もびっくりしたかもしれません。58分21秒という素晴らしいタイムでしたね。しかし、7区を任された松岡、8区を任された若山というルーキーコンビはともに区間19位に沈んでしまい、総合16位まで順位を下げてしまうことに。。。


さらに、9区を任された橋口が区間最下位に沈んでしまいました。。。10区の金子は区間15位も1つ順位を下げてしまい、総合18位と往路の15位からは3つ順位を下げてしまうことに…日大も良い選手は毎年入ってきているのですが、なかなか3大駅伝の結果に結びつかない…

19位:国士舘大学

6区を走った曽根が区間9位と好スタート、6区に苦しむ印象がある国士館でしたが、ここで好走出来たのは良かったですね。曽根が6区でこれだけ走ってくれるとは…7区を走った清水拓が区間16位、8区の清水悠は区間13位と決して悪くは無い走りでしたよね。総合力は年々上がってきているように思えます。


9区の福田は区間17位、10区の孝田も区間14位で復路は総合16位、総合19位という結果でした。往路がさすがに崩れすぎてこのような結果となりましたが、多くの区間が最下位やブービーだった時期からはだいぶ進んできたような…後は、また往路で戦える選手の台頭が待たれます。

20位:筑波大学

6区の岩佐が区間20位と苦しいスタートになってしまいました。復路は一斉スタートとなるため、ここで最下位になってしまうと、単独走になることが多いので、7区以降の選手は走りづらいんですよね…それでも、タイムは61分10秒ですから、これで最下位というのが恐ろしい…


7区の杉山、8区の伊藤も区間20位ということで、3連続で区間最下位に沈んでしまいました。これは展開もあったでしょうし、やはり久しぶりの出場、そして選手層の薄さも出てしまったかなあ。9区を任された医学部の川瀬は区間14位と上々の走り、10区の児玉も区間16位ということで、総合順位は最下位でしたが、よくぞ最後まで走りきってくれましたね。襷も9区まではずっとつながったわけですし。

19位相当:関東学生連合

6区の竹下が59分5秒と好タイム、区間9位相当の好スタートを切りました。しかし、7区の宮田は区間最下位よりも遅れてしまったのはちょっと苦しかったかなあ。8区の吉井は区間9位相当とこれまた良い走りを見せてくれました。こういう経験を大学に持ち帰って欲しいですよね。


9区の渡邉も区間12位相当で走っていますし、今回の箱根では粘り強い走りが出来たと思います。アンカーの阿部は区間最下位からも2分半ほど離されてしまいましたが、総合では19位相当で走ってくれました。例年に比べても、勝負出来たレースだったのでは?

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