圧巻の2段スパートで中村がMGC優勝!!  勇馬が2位でともに東京五輪を射止める!!

本日、東京オリンピックのマラソン代表を決めるMGCが行われました。公式結果(PDF)はこのようになっております。最後の最後まで誰が優勝するのか、2枠しかない五輪代表の座を射止めるのかが分からない凄まじいレースでしたね。今まで見たマラソン大会の中でも最も印象的でした。

最初に抜け出したのはHONDAの悠太、積極的なレースをすると本人も語っていましたが、真夏ほどではないとはいえ、30度に近い暑さの中、20kmまでキロ3分ペースで押していったのが凄いですね。15km時点では2分10秒もの差をつけ、このまま逃げ切るのでは・・・?とも思わせました。

しかし、ハイペースが祟った35km~40kmは18分37秒もかかってしまいましたからね…個人的には集団を避けて抜け出すのは悠太の走力を考えても作戦としてはありだと思いましたが、さすがに10kmを29分台で進むようなペースはリスクが高すぎたのかなあと…最終的には14位まで落ちてしまい、日本歴代2位のタイムを持つ悠太ですが、五輪代表には届かず…

最終的にトップ3に入ったのは、第二集団に最後まで残っていた選手たちでしたね。富士通の中村、鈴木、TOYOTAの勇馬、オレゴンの大迫の4人が第二集団を築きました。最初の5kmは16分弱、15kmまでは15分30秒も切れないスローペースの中、15km~20kmが14分48秒まで上がっているんですよね。このペースで進んだのがこの4人でした。

特に鈴木の積極的な走りは印象的でしたね~神大時代は箱根2区で活躍したものの、実業団に入ってからは故障に苦しんでいたのですが…復活を遂げるとあっという間にマラソンに対応してMGC代表を決め、今回も終盤まで集団に喰らいつくレースを見せてくれました。最終的にも7位に入ってきていますからね。

第二集団はその後、TOYOTAの藤本が加わり、九電工の大塚、GMOアスリートの橋本が加わり、さらに安川電機の中本、NTT西日本の竹ノ内が加わってついに9人の集団となりました。この集団が37kmで悠太を捉えた後、優勝争いは本当に見ごたえがありました。

藤本が最初に遅れてしまって集団は8人、その後は各選手がスパートの機会を伺っていました。徐々にペースアップして集団からは中本、竹ノ内が遅れてしまい、これで集団は6人に。さらに、橋本がペースを上げると大塚、鈴木がついていけずに集団が4人になりました。

2人がついて来れないのを見た後、39kmを過ぎて中村がついにロングスパートを仕掛けることに。駒澤大学時代、1区を任された時に何度も見せてきた走りでしたね。スパートするタイミングが絶妙、一気にペースを上げて集団から抜け出しました。ただでさえ、橋本が一度ペースを上げたところで、さらにスパートを仕掛けられると、他の選手は厳しいですよね…

それでも、41km地点で日本記録保持者の大迫が意地の走りで中村に追いつき、勇馬も迫ってきたときにはこのまま逃げ切るのは厳しいかなあと思ったのですが…大迫に追いつかれたところでさらにスパートを仕掛けて再び抜け出すのはまさに驚異的。最後は2位に8秒差をつけて優勝のゴールテープを切りました。

駒澤出身者は世界陸上こそ出場しても、オリンピックとなるとずっと手が届かずにいましたからねえ。かつての日本記録保持者である藤田でさえ…そんな中、ついに中村がその座を掴みました。勇馬、大迫、悠太、井上ら4強と言われた選手たちを全て上回っての優勝ですからその価値は計り知れないものがあります。強いレースでした。

2位争いは勇馬と大迫の熾烈な争いとなりましたが、勇馬が5秒差をつけて2位、こちらも五輪内定となりました。福岡マラソンでの驚異的なレースで評価を高めましたが、この大舞台でも強いですね。むしろ、箱根2区をはいめ大舞台でこそ、さらに力を発揮してきているようにも思えます。

優勝の本命と思われた大迫はラストで及ばずに3位…五輪内定とはなりませんでした。ずっと先頭を走ることなく好位置をキープしてきたときは、ラストで抜け出すのは大迫かなあとも思っていたんですよね。中村もずっと集団の中にいましたが、誰かがペースアップするたびにずっと2,3番目でついていったのが、逆に力を使ってしまっているんじゃないかと思っていましたが…

大迫はラストで足が残っていなかったという話でしたが、あの美しいフォームが崩れて必死で前を追う姿は、このレースにかける思いの強さを感じるかのようでした。3位は五輪争いでは圧倒的に有利な立場にあります。自身がマークした2時間50分50秒の日本記録を福岡国際、東京、びわこ毎日の3レースで抜かれない限りは大迫が選ばれるのですから…

現実的には福岡国際やびわ湖毎日で2時間5分台を狙うのは厳しいでしょう。両レースはコンディションが良くても2時間7分台が現実的な目標のように思えます。となると、多くの有力選手は東京マラソンに集結してくることになるのでは?前回のような寒すぎるコンディションでは記録は出ないでしょうが、悠太が日本記録を出したときのようなコンディションならば…

そこに悠太、井上らが明確に2時間5分49秒を狙って臨むのであれば、抜かれる可能性が無いとは言えないんですよね…大迫が東京マラソンに再び出場する可能性もありますし、どのような選択をするのか興味深いです。逆に言えば、それだけ2位と3位の差が大きいということですよね。内定と極めて可能性の高い有力とでは、今後の五輪に向けての準備も違ってくるでしょうし…

4位に大塚、5位に橋本が入ってきたのにはびっくりしましたね~大塚は確かにロードでは大学時代から強く、マラソン向きとも言われていましたが、これだけ有力選手が揃う中でこの順位で走ってくるとは…今回は惜しくも五輪代表は逃しましたが、今後の活躍がますます楽しみになってきました。

橋本は青山学院時代は神野、久保田らと同学年、全日本には2度出場しているものの、箱根には1度も出場出来ていないんですよね…それでも、実業団に進んでからは着実に力をつけ、MGC代表の座を掴み、ここでも5位という結果は素晴らしいと思います。

6位に入ったのは竹ノ内、日大時代時には箱根に3度出場していますが、そこまで目立った選手では無かったのですが…こちらも実業団で強くなっていましたね。今回のような厳しいコンディションでも強さを発揮できる選手という印象です。

7位は前述の通り鈴木が入っており、8位に入った選手の中では最年少ですね~故障から復活したと思ったらあっという間にこの活躍、さらなる活躍が期待されます。8位には逆に最年長の中本が入ってきました。世界陸上でも活躍した選手ですが、ここでも8位に入ってくるあたりに強さを感じますね…これだけ、一線級で活躍を続けるのが凄いです。

4強の一角に数えられた井上は序盤からなかなかペースが上がらず…2位集団が抜け出したときにもついていけませんでしたし、その後もペースはあがらずに完走した27人中最下位というまさかの結果になってしまいました…アジア大会でも金メダルを取るなど暑さにも強く、さらに2時間6分台の速さもあることから、優勝候補にも挙げられていた選手なのですが…まだ可能性がゼロになったわけでは無いですし、日本記録を目指して欲しいです~

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