2015年 出雲&全日本結果考察 ~青山学院大学~
続いては青山学院大学について、出雲、全日本の結果を振り返りつつ、箱根への展望も書いていきます。出雲・全日本結果はこのようになっております。神野を欠き、3大駅伝の中で最も苦戦するのではないかと思われた出雲で快勝、となると、さらに区間が増え、神野も戻ってくる青学は全日本もまず優勝するであろうと思われましたが、主要区間を任された選手が複数区間で奮わず、まさかの2位に終わりました。今年度の青学は頭1つも2つも抜け出た戦力だと思っていましたが、それでも勝てないのですから、3冠の難しさ、そして駅伝の面白さを感じます。
出雲は1区小椋がトップと15秒差の区間2位とまずまずのスタートを切ると、3大駅伝初出場となった中村が区間4位とこれまた無難にデビューを飾ると、3区久保田が区間賞の快走でトップに踊り出るという狙い通りと言えるレース。4区下田が区間6位、5区山村が区間2位ですが総合順位ではトップ争いのままアンカーにタスキを繫ぎました。となると、アンカーにエース一色を残している青学からすれば万全です。区間賞こそ山梨学院のニャイロに譲りましたが、区間2位、29分11秒は日本人歴代1位のタイムで見事に3年ぶり2度目の優勝を果たしました。久保田、一色という大学を代表する選手がしっかりとその力を発揮し、繫ぎ区間も隙が無かったですね。まさに万全の走りで1冠を達成しました。
一方で全日本は1区一色がトップと同タイムの区間2位と好スタートを切りました。一色の高レベルでの安定感は本当に素晴らしく、大学トップクラスのランナーとしての地位を固めています。ずっと主要区間を任されながらも失敗レースが無いですからね。年々、安定感を保ちながらレベルアップしているのが恐ろしいです。2区小椋は区間5位ながらライバルの東洋に35秒離されたのはちょっと痛かったですね。最も3区以降の戦力を考えればこの時点では何も心配していなかかったのですが。。。4本柱の1人として君臨してはいますが、ちょっと他の3人に比べると安定感、爆発力ともに劣っている感じです。
3区に田村和、繫ぎ区間に箱根4区区間記録保持者をおける選手層が青学の恐ろしさです。区間記録に迫る走りを見せたものの、トップとは逆に1秒ですが離されることに・・・ここら辺から青学の計算が狂いだしたような・・・4区久保田はあっという間にトップを走る東洋に追いついたものの、腹痛に見舞われたようで引き離すことが出来ず、逆にリードを許してしまいました。それでも区間賞を獲得しているのはさすがですが、青学とすればここで一気にトップに立つ算段だったでしょうから、2区に続いての主要区間での誤算とも言えます。となると、トップでくると思っていたであろう5区以降の選手たちにも焦りが生まれます。
青学の不安要素はエースクラス以外がトップを独走するような楽な状況でしか駅伝経験が無いという記事を以前書きましたが、5区以降は東洋と一時は並走、リードしても最終的には逆に差を広げられてしいまうという展開が続きました。5区下田は区間賞を獲得し、初めて総合トップに立つ走りとなったものの、東洋に終盤追い上げられてタイム差は無し、6区も渡邊心が一旦は東洋を引き離しにかかるものの、最後は逆に10秒差をつけられてしまいました。7区橋本も一旦は追いついたものの、徐々に差を広げられて27秒差でアンカーの神野に繫ぎました。渡邊心が区間4位、橋本が区間2位と全くもって悪くは無いのですが、いずれも東洋が上回ってきました。
それでも、27秒差ならば普段の神野ならばなんてことはない差だったのですが、故障明けの神野は万全では無かったのかなかなかペースが上がらず、レースを見ていても差が詰まるどころか広がっていくのが分かりました。前回よりもタイムを1分落とし、区間8位に沈んでしまい、全日本の初優勝、そして3冠王手をかけることは出来ませんでした。区間8位というのは神野が走った3大駅伝6回のうちワースト順位です。最後まで噛み合わないレースで、優勝を逃してしまったのは悔やまれますね。。。多大が羨むエース力、選手層を兼ね備えたチームなのですが。
といっても、箱根の優位は動かないでしょう。10人、ハーフの距離になる箱根、しかも山がある。いずれも青学に有利になる要素です。全大学No.1と言われる選手層は人数が増えるほど有利になりますし、ハーフは63分きりが6人、63分30秒切りで10人揃います。山は5区神野、6区村井と前回好走した選手が今回も揃います。前回ほどの走りを神野に望むのは酷かもしれませんが、不調と言われた柏原3年時もギリギリ77分台では上っていますし、神野もそのくらいで走ってくるのでは・・・?平地も主要区間を含めて隙はなく、さらに全日本で敗れたことで精神的な甘さは無いでしょう。
出雲、全日本以上に箱根は万全だと思いますが、それでも箱根は何が起きるか分からないですからね。前評判が高く、勝負の年と呼ばれる大学が箱根で勝てないことは何度もありましたし、来年度はいくら選手が揃う青学といえども大幅な戦力ダウンは免れません。優勝候補筆頭として箱根、全日本の反省を活かし、持てる力を発揮すれば優勝は堅いと思いますので、箱根連覇を期待したいところです!!