2014年度 高校生特集 その1(湊谷、坂口、梶谷、富田、下)
大学長距離における残す大きなレースは明後日に行われる学生ハーフくらい・・・いよいよ新入生も入寮して大学の練習に加わってくることになります。というわけで、今日からは高校生の持ちタイム上位+主要大会で実績を残している選手を中心に高校時代の実績を取り上げていきたいと思います。今回は持ちタイムトップ5にスポットを当ててみます。
1位:湊谷 春紀・・・トップは13分57秒29を持つ秋田工業の湊谷、高2まではそこまで目立った選手では無かったんですよね。むしろ、高1にして14分11秒をマークした1個下の松尾の方が目立っていたくらいなので・・・高3のインターハイ5000mでも決勝に進んではいますが、18人中15位に終わっています。その評価を一気に高めたのは国体5000mでしょう。ここで14分ジャストを叩きだして3位に入り、一躍トップクラスの仲間入りを果たしました。タイム・順位ともに優秀です。その後、記録会で13分57秒までベストを伸ばしました。
そして迎えた駅伝シーズン、都大路では1区4位の好走でチーム4位に大きく貢献するなど、持ちタイムに違わぬ強さを大舞台でも見せました。続く都道府県対抗でも再び1区を任されて区間7位とエース級が揃った中でまたしても結果を残しました。残る全国の舞台となった千葉クロカンでは3位、福岡クロカンで5位とこれまた素晴らしい成績で世界クロカンジュニアにも選出されています。都大路、都道府県対抗のエース区間、千葉・福岡クロカン全てで1桁で走っている選手は湊谷しかおらず、その凄さがわかると思います。東海大学に進学予定となりますが、1年生唯一の1万m28分台、駅伝でもエース区間で好走し世代トップと呼ばれる川端のように大学でも即戦力として活躍出来るのか楽しみです。
2位:坂口 裕之・・・13分57秒41を持つ諫早の坂口が2位となります。1万mの持ちタイム29分12秒は世代トップタイムであり、2年生にして既にこのタイムを出しています。もちろん、持ちタイムだけではありません。3年のインターハイ5000mこそ、予選で15分37秒の17位と散々な結果に終わってしまいましたが、失敗レースはそのくらいです。国体では14分3秒で5位入賞、都大路では1区5位、都道府県対抗でも再度1区を任されて3位ですからね。全国レベルの大会でこれだけ好記録を連発するというのは素晴らしいですね!
千葉クロカンには出場していませんが、福岡クロカンではラストのスパート合戦を制し、見事に優勝を果たしました。やはり世界クロカンの代表に選ばれています。実績としては湊谷と近い感じでしょうか?失敗レースがインターハイくらいでそれ以外は全て好走しているという・・・3年の駅伝シーズン以降で好成績を連発した選手は大学でも即戦力として活躍する傾向があります。明治大学に進学ということで、いわゆる最強世代と入れ替わりで入学することになります。当然、チームとしても坂口にかかる期待は大きいでしょうし、1年時から3大駅伝フル出場・理想をいえば主要区間を任されるようになって欲しいです。横手・木村の二人が抜けていますが、3番手争いはまだまだ混戦ですからねー。
3位:梶谷 瑠哉・・・13分57秒81のタイムを持つ白鴎大足利の梶谷が世代3位です。3年のインターハイ5000mでは3組6位と惜しくも決勝進出はなりませんでした。各組5位まで無条件+タイム上位3人が決勝に進めますからあと一歩ということになります。ただ、1500mでは決勝に進出し3分54秒で9位、惜しくも入賞は逃していますがスピードのある選手です。15000mと5000mに両方出る選手はどちらも決勝に進めば4日連続で走ることになりますからね。両方で結果を出すのは容易ではありません。しかし、国体では14分46秒で25位とちょっと奮わない結果に終わっています。
迎えた駅伝シーズン、激戦区である栃木県駅伝では那須拓陽に敗れて都大路を決められず、北関東の地区代表を賭けた関東駅伝では1区で梶谷が29分47秒で見事に区間賞を獲得したものの、4区で途中棄権となってしまい、都大路には出場出来ていません。都道府県対抗には1区で出場しますが、1区26位と残念な結果に終わっています。千葉クロカン・福岡クロカンともに出場していませんので、全国レベルでの実績はちょっと他の持ちタイム上位の選手と比べると乏しいですかね。箱根王者で選手層も抜群の青山学院に進学ということで、13分台ランナーであっても駅伝メンバーに入ってくるのは容易では無いでしょう。現3年生が圧倒的な戦力を誇るだけに、2年目以降から戦力になってくれれば?という感じかな。
4位:富田 浩之・・・13分58秒17を持つ八千代工業の富田が4位にランクインしています。ただ、セカンドベストは14分30秒を切るくらいですし、他の持ちタイムトップ10に入ってくるような選手と比べると、実績としては残念ながら劣っています。インターハイ・国体には出場しておらず、関東駅伝では1区20位、都大路でも羽生の怪我の影響もあり1区を任されましたが、27位に終わっています。都道府県対抗では4区11位と順位はまずまずですが、高校生3区間の中でも最短区間ですからね。
クロカンには両方出場し、千葉クロカンで29位、福岡クロカンで46位に留まっており、ちょっと持ちタイムが先行しているのかなと感じてしまいます。大学は梶谷同様に青山学院に進学することになります。梶谷以上に駅伝メンバーの争いに1年時から加わるのは厳しいでしょう。即戦力を求められるチーム状況では無いですし、少しずつ力をつけていってくれればと思います。
5位:下 史典・・・13分台ランナーは4人で、14分1秒59を持つ伊賀白鳳の下が5番手となります。2年生までは長い距離や暑い時期のレースで度々凡走をしており、安定感に欠ける選手という印象でした。評価が変わり始めたのは2年の都大路からですかねー。ここで6区区間賞の好走を見せています。さらに伊那駅伝でも高校を代表する選手が揃うエース区間で区間賞の快走、さらに評価を高めました。その後、5000mで14分8秒までベストを伸ばすと、インターハイ5000m決勝では日本人の中では最後まで留学生ランナーに付いて行き、終盤はさすがにペースが落ちましたがそれでも粘って日本人トップの走りを見せ、高校トップクラスのランナーであることを証明しました。
国体ではラスト1周で軽い接触があったようでペースを上げられずに7位に終わっていますが、都大路では1区を任されると冷静な走りでラストで抜けだして区間賞を獲得、トラック日本人最強の証と言われるインターハイ5000mで日本人トップ、ロード最強の証と言われる都大路1区区間賞の両方を獲得しています。都道府県対抗では再度1区を任されると、鬼塚のラストの切れ味にこそ及びませんでしたが、3秒差の2位で走っています。千葉クロカンでもタイム差無しの2位と完璧と言っていい1年間を送っていましたが、最後の最後、福岡クロカンでは25位に沈んだのはちょっと残念でしたね。駒澤大学に進むことになりますが、村山・中村世代が卒業することで戦力ダウンが心配される中、大きな期待とともに加わることになるでしょう。駒澤期待のルーキーは村山や西山・中谷のように1年の出雲から起用されていますし、下も1年から3大駅伝フル出場してほしい選手ですし、高校OBの中村や西山に負けない活躍を期待したいです。