2014年 都大路結果雑感 ~世羅が圧勝、2位に佐久長聖、3位に埼玉栄~

2014年12月23日

本日、全国高校駅伝が行われました。優勝大本命と目されていた世羅が予想通り3区カマイシで抜けだすと、4区も区間賞を獲得するなど圧巻の走りで2時間2分39秒で歴代4位、2位に2分近い大差をつける圧勝で3年ぶりの優勝を果たしました。主要区間である1,3,4区を走った選手はいずれも2年生であり、来年度は仙台育英が持つ大会記録に挑むことになりそうです。うーん、もう大会前から優勝は決まっているような状況でしたし、優勝争いという点では正直見どころは少なかったですね。日本人があれだけ強く、さらに留学生までいては他校はどうしようもありません。実業団を含めた日本人選手よりも強い留学生がいるというのは、やっぱり見ている方としては面白みに欠けてしまいますよね。大会結果はNHKロードレースのHPに載っています。それでは、1区から簡単に振り返ってみたいと思います。

 

 

1区は有力選手が集まったものの、最初の5kmは15分を超えるスローな展開となりました。これはある意味しょうがないのかなと思います。1人で飛び出したり、先頭を引っ張ったりするのは相当勇気&実力が無いと出来ないことですし・・・エースがタイムを稼いでくれるのが一番ですが、稼ぎにいって逆にブレーキになってしまうのが最悪の結果ですし。そんな中、区間賞を獲得したのは伊賀白鳳の下、序盤は後方につけ、ペースが上がると前の方にスルスルと上がっていき、抜けだすと最後も切り替える見事な走りでした。タイムは29分39秒と平凡ですし、区間2位とも3秒差ではありますが、都大路で1区区間賞を獲得出来るのはロード高校最強の証だと思います。

 

 

2位に入った和歌山北の橋詰も粘り強い走りでした。一番のポジティブサプライズは佐久長聖の關の区間3位ですね。トラック路線ではインターハイに出場さえ出来ず、駅伝シーズンでは復活してきましたが、10km区間は1度も走っていません。にも関わらず、2年生にしてこの走りは見事でした!2年世代と言えば、羽生・鬼塚のツートップが強力ですが、そこに割っていって欲しい選手です。4位湊谷、5位坂口、6位新迫は実績通りさすがの走り、どの大会でも外さない強さは素晴らしいです。7位だった埼玉栄の2年生館沢も伸びてきている選手ですし、8位市立船橋の伊勢は県予選・関東ともに故障の影響か5km区間でしたが、本番に合わせてくる調整力・勝負強さは見事です。上位陣は軒並み実力のある選手が入ってきたという感じですね。

 

13分台ランナーである豊川の長谷川が21位、八千代松陰の冨田が27位という結果でしたが、過去のロードでの実績を考えれば妥当だったとも言えそうです。日体大記録会と都大路1区ではあらゆる状況が違いますしね。。。ずっと安定した結果を出していた愛知の山藤が28位だったのは逆に意外でした。。。1年生では24位に入った山梨学院の飯島がトップで、世代トップクラスと言われる西脇工業の加藤でさえ39位、何かしらトラブルがあったと思われる倉敷の前田、佐野日大の大森は34分台で56位、57位という結果に終わっています。いくら力があっても1年生が難コースと言われる都大路の1区10kmを攻略するのは至難の業ですね。

 

 

2区最大の注目は800mで高校記録保持者、インターハイ800m,1500m2冠の中距離ランナーである市立船橋の前田がどんな走りを見せるかでした。前評判に違わぬその走りは7分59秒で区間歴代2位の好タイム、1位の記録は佐藤清治が叩きだした不滅と言われる7分55秒ですが、それにわずか4秒差にまで迫りました。区間2位に15秒もの差を3km区間でつけるというのは凄まじいですね。中距離期待の星ですし、順調に伸びていってくれればと思います。区間上位には、スピードのある西京の中村や諫早の西村、佐久長聖のルーキー名取、14分9秒のタイムを持つ学法石川の林などが上位に来ています。

 

 

3区は留学生がトップ3を独占し、優勝争いはここで勝負ありとなりました。ここで頑張ったのが1区で出遅れた小林と愛知の2年生、小林の今西は23分49秒で22人抜き、愛知の青木は23分53秒で19人抜きと頑張りました。来年度もチームのエースとして活躍が期待されます。また、もう1人23分台を出した埼玉栄の小笹は県予選、関東とともに高いレベルで結果を残しており、特にロードでの安定感はずば抜けています。大学でも即戦力として活躍しそうですね。秋田工業の2年である松尾も24分2秒で走っており、3区は2年生が大いに活躍しました。しかし、最も活躍が期待された大牟田の鬼塚は万全でなかったのか区間13位に沈み、高1にして初めて13分台を出した学法石川のスーパールーキー遠藤も同タイムに終わっています。

 

 

4区は本来であれば留学生を起用していない高校が追いあげたいところですが、ここでも世羅の中島が区間賞を獲得していまうのですから、打つ手なしといった感じですね。ここで好走したのが前回1区区間賞を獲得している小林の廣末、ずっと故障に苦しんできた世代No.1ランナーが復活を告げる区間3位の走りでチームを入賞圏内へと押し上げました。卒業後は日清食品へ進むということで、高卒では珍しいですね。箱根を沸かせたスター選手が集まっていますが、是非とも活躍を期待したいです。須磨の福田もロードでは相変わらず強く、10人抜きの快走、秋田工業のルーキー齋藤も区間6位と頑張りました。ルーキーでは最も目立った走りだったかな?2位争いは5区以降のメンバーを考えると7秒差にひしめく秋田工業、埼玉栄、佐久長聖の3校に絞られ、熱い戦いが予想されました。

 

 

5区は最短区間の3km、通常7番手の選手が起用されることが多く、選手層が問われる区間ですね。埼玉栄の青山、伊賀白鳳の外岡が同タイムで区間賞を獲得した他、佐久長聖の茂山も3位に入り、2位争いは引き続き混沌としていました。さらに、総合6位の仙台育英から14位に愛知まで24秒差に9校がひしめき合い、入賞争いも激しさを増していきましたね。区間上位には学法石川の田母神、西脇工業の赤沢が入り、両チームの層の厚さを感じました。

 

 

6区はまたしても世羅の井上が区間賞を獲得、2分台での優勝に向けて驀進していきます。ここで好走したのが佐久長聖の宮島、区間2位の走りでチームを総合2位まで押し上げました。愛知の多和田が3位、学法石川の阿部が4位でそれぞれ3人抜きを果たし、ともに入賞に向けて好走を見せました。埼玉栄は区間6位で粘ったものの、ここでも離された秋田工業は2位争いから後退してしまいました。

 

最終7区は2位争いがトラック勝負となり、佐久長聖、埼玉栄ともに熱いレースを見せましたが、最後は見事にスパートを決めた佐久長聖の澤が競り勝って2位、埼玉栄が3位となりました。ともに優勝経験のある強豪校ながら、ここ最近は苦戦することも多かったですが、見事に表彰台を決めました。埼玉栄は県予選、関東大会ともに圧倒的な強さを見せていたため、3位以内に入ってもおかしくないと思っていましたが、持ちタイムは良いものの、ロードで結果を出せていない佐久長聖は良くて入賞だと思っていました。それがまさか2位にまで入ってくるとは・・・1区、3区を走った選手は2年生ですし、来年度も面白そうですね。4位以下は秋田工業、小林、市立船橋、学法石川、そして愛知までが入賞となりました。1区で出遅れた小林、愛知は見事に入賞まで巻き返してきました。

 

 

市立船橋は県予選で八千代松陰に破れ、南関東枠でも4区終了時では日体荏原に大差をつけられて絶望かと思われましたが、そこから5,6区で追いついての出場権獲得、そして6位入賞は素晴らしかったです。上位候補として名前が上がっていた伊賀白鳳は10位、九州学院は13位、八千代松陰は22位、大牟田は26位に終わっています。伊賀白鳳は中畑を、八千代松陰は羽生を欠いたのが痛かったですし、九州学院は3,4区で順位を落としてしまいました。大牟田はエース鬼塚の走りが痛かったかなあ。。。上位候補と言われていても、一つのアクシデントであっという間に入賞圏外にまで弾き飛ばされてしまうのが、都大路の怖さですね。

 

 

区間順位では、水城のエース中島が区間賞を獲得しています。本来であれば1区を走るべき選手でしょうから、万全では無かったのでしょう。それでも、区間賞を獲得するところは流石です。2位に世羅のルーキー吉田、3位に九州学院のルーキー神林と世代トップクラスの二人が上位を占めました。故障に苦しんでいた鳥栖工業の嘉村が4位に入るまでに戻ってきたのは良かったですね。大学に故障を抱えたまま行くと伸び悩む選手も多いですからね。。。愛知の飯島が区間5位の走りで8位入賞を決めました。

 

 

期待された1年生がちょっと目立たず、上級生でも実績のある選手が力を発揮出来なかったりと波乱も多かった今大会ですが、優勝した世羅はもちろん、大きくブレーキすることなく堅実に走りきった佐久長聖、埼玉栄、秋田工業が2~4位に入りました。各大学のファンからすれば、新入生の走りが気になったところでしょうし、来年、大体の新入生が判明したら、各大学ごとの新入生の走りを振り返ってみたいと思います。3年生はこれで高校での大きなレースは終わりますし、大学に進むにせよ、実業団に進むにせよ、新たなステージでの戦いが待っています。今回好走した選手も悔しい思いをした選手も、次の舞台でまた活躍してほしいものです!!

 

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