2014年 全日本大学駅伝結果考察 ~7位:早稲田大学~
続いては7位とまさかのシード落ちとなった早稲田大学について、全日本大学駅伝の結果を考察してみます。大会結果はこのようになっております。確定オーダーを見た感想としては、7区に武田が入ればもっと完璧だっただろうけど、オーダー自体は悪くなく、シード権はほぼ確実で後はどこまで上位校と勝負出来るか?という印象でした。前回の方がシードは厳しいだろうと思っていましたし、それで4位に入っているわけですから、今年も問題ないだろうと・・・しかし結果は二桁順位を4区間も出してしまい、7位とシード落ちとなってしまいました。。。
1区は柳、早稲田がシード落ちをするとすれば、1区柳で過去2年のように出遅れてしまい、大迫のような絶対的なエースがいないチームは2区で以降盛り返せないパターンかと思っていました。柳は第一集団には無理に付いていかず、第二集団で冷静な走りを披露し、区間8位とまずまずの走りを見せてくれました。エース級が集まった中では上出来の走りだったと思います。村山兄弟たちに付いていかなかったことについては賛否両論あるかもしれませんが、付いていけばブレーキとなっていた可能性も十分にありますし、冷静な判断だったのでは無いでしょうか?
2区は髙田、箱根2区での区間賞で一気に評価が高まり、先月の記録会でも28分台を出すなど故障からも復活を遂げました。前を行く青学の久保田に追いつき、後ろからきた東洋の勇馬に追いつかれ、高校時代に凌ぎを削った3年生トリオの争いは見ていてワクワクしましたね。しかし、前半突っ込みすぎたのか途中で遅れると、2人を抜いて6位とシード圏内まで順位を押し上げたものの、ペースはそれほど上がらずに区間7位と微妙な走りとなってしまいました。箱根2区での区間賞が変なプレッシャーになっていなければいいのですが。。。
3区は中村、5000m14分1桁に続いて先月28分台ランナーとなり、どんな走りを見せるのか楽しみにしていましたが、これまた前半はまずまずのペースで走っていたものの、後半は明らかにブレーキとなってしまい、最後はフラフラになりながらのタスキリレーとなってしまいました。区間15位という散々な結果に・・・脱水症状など何かトラブルがあったのかなあ?ここで一気にシードが不安になってしまいましたね。前半に明治有村の前を引っ張るなど、ちょっと飛ばし過ぎたのも一因かも・・・
4区は山本、2年連続で4区を好走している山本はさすがの走りを見せました。タイムこそ過去3年間では最も悪かったですが、トップとのタイム差は過去最小の8秒差、区間2位の快走でチームを6位と再びシード圏内まで戻してきました。怪我から復活し、徐々に調子を上げてきている山本ですが、いい走りを見せてくれましたね。前半から突っ込みながらも後半しっかりと粘れていました。早稲田の他の選手は前半突っ込みすぎて後半ブレーキになってしまうことが多かったですね。エースと呼ぶに相応しい走りで、箱根も任されるであろう5区が楽しみになりました。
5区は光延、川端と並んで最もルーキーイヤーで活躍している選手です。明治の横手や青学の藤川など力のある選手もいますが、区間賞争いまでしてしまうのではと期待していました。前半はいいペースで走っていたみたいですが、やはり後半に大きく失速、区間11位で総合順位も8位に下げてしまいました。今シーズン、外すレースは全く無かったと言っていいほどの安定感を誇る光延の失速は正直ショックでした。同じルーキーの工藤に1分18秒もやられたのが余計に・・・最も期待と結果の差異が悪い方に大きかった区間だったかも。。。これでシード落ちが現実味を帯びてきましたね。・・・力のある選手であることは間違いないですし、立て直してきて欲しいですね!
6区は井戸、これまた前半突っ込むというパターン、後半はペースダウンを抑えて区間3位、再びシード圏内の6位まで戻しました。6位と7位以下をずっと行ったり来たりしていましたね。区間3位は決して悪い走りではなかったですが、やはり区間2位と41秒差を付けられたのが残念だったかなあ。思ったよりも、東海や大東大、山梨学院大といったシード権を争う大学との差も広げることが出来ず、7、8区が苦しくなってしまいました。
7区は佐藤、井戸と同じ一般組の2年生で、3大駅伝初出場ですが、1万mも29分20秒まで伸ばしてきています。2年生はいわゆるスポーツ推薦ではない選手がどんどん出て来ていますね。後ろにアンカーにオムワンバを擁する山梨学院がいる以上、何とか山梨学院との差を広げつつ、抜かれることも考慮して5位まで順位を上げておきたいという難しい役割を任されることになってしまいました。一時は5位との差を詰めたものの、またもや後半差を広げられる走りで逆に東海に抜かれて順位を7位へと落とし、区間順位も12位となってしまいました。この走りで黄色信号だったシード権獲得が限りなく赤信号に近づくことに。。。
8区は田口、現実的には43秒前を行く東海の中川と14秒前を行く大東大の植木を抜くしかシード権を獲得する方法はありません。前半から積極的な走りを見せて大東大を逆転、東海との差も30秒ほどまで縮めますが、そこからはなかなか差が縮まらず、山梨学院のオムワンバに抜かれてシード圏外に落ちてしまいました。最終的には東海とも差を広げられ、総合7位でのフィニッシュで8年ぶりのシード落ちとなってしまいました。区間順位も11位とこれまた微妙な結果に。。。
うーん、想像以上に悪かったというのが率直な印象です。2区以降はどの選手も前半突っ込んで、後半失速ばかりでしたからね。前半突っ込んで後半粘るという走りはリターンも大きいですが、後半失速するリスクも大きいです。現実的に優勝争いが厳しくなった3区以降は、シード狙いに切り替えて、無理に突っ込むよりも駒澤のように前半抑えて後半上げる走りの方が素人目ですが良かったのでは?後半上げる走りは、突っ込んで粘る走りよりも最大値は低いですが、ブレーキするリスクは大きく下がりますからね。3冠を達成した2010年度以降、ワースト順位となってしまいました。1万m28分台を6人起用してきているにも関わらず、この結果は持ちタイム通りの力を発揮出来ていないということになりますね。
来年度は山本、田口の二人が抜けますが、平、武田といった2年生が戻ってくればその穴も埋まるでしょうし、楽しみなチームではあると思うのですが、脆さも感じてしまいます。それに、箱根で3位以内に入らなければまずは全日本予選からになります。今の早稲田ならば全日本予選は余裕かもしれませんが、全日本でシードを取る前には、3年連続で出場を逃すなど全日本予選は決して得意とはしていません。また、箱根もずっとシードを撮り続けていますし、予選会のノウハウが不足しているのも不安要素ではあります。予選会に出場する以上、突破できないリスクは常に存在します。一方、箱根では5,6区と特殊区間で好走経験のある山本、三浦がいるというのは大きなアドバンテージですし、ハーフの持ちタイムは全大学中2番目とハーフを得意とする選手が多いです。何とか箱根で3位以内に入り、前回の日体大のように推薦出場で全日本出場権を獲得して欲しいです!!