箱根5、6区、往復路、総合の全てが参考記録に… ~函嶺洞門閉鎖の影響~

本日、ショッキングなニュースが関東学連から発表されました。詳細はこちらをご覧いただければと思いますが、今年の2月7日に箱根の定点ポイントとしても有名な函嶺洞門が老朽化の影響もあり、通行禁止となりました。その代わりに、バイパスによる迂回路が設けられ、箱根駅伝でもこのバイパスを利用することはわかっていたのですが、それに伴い、従来の記録がどうなるかは私も気になるところでした。しかし、過去の例ではほぼ距離の変わらないコース変更でさえも全ての記録が参考記録扱いとなってしまったため、今回も予想通り、函嶺洞門のコース変更の影響を受ける5区山上り、6区山下り、往路記録、復路記録、総合記録の全てが参考記録扱いとなってしまいました。それぞれの記録に敬意を表して、振り返ってみたいと思います。

 

5区 88回大会 柏原竜二(東洋大:4年) 1時間16分39秒

 

もう箱根駅伝ファンに説明は不要でしょう。山の神と呼ばれた柏原竜二が4年時に打ち立てた不滅と言われた大記録です。この偉大な記録をいつ破る選手が現れるのだろうか?と思っていましたが、記録が更新されるよりも先に、コースが更新されてしまいました…柏原は1年時に順天堂の今井が打ち立てた1時間18分4秒の記録を47秒も更新する1時間17分18秒で走り、東洋初の往路優勝、そして総合優勝に貢献しました。2年時に1時間17分8秒で区間新、3年時に1時間17分53秒で区間賞、そして4年時の1時間16分39秒で区間新と5区の歴代トップ4を柏原が独占するという他を寄せ付けない走りで東洋の黄金時代を築き上げました。不滅の記録は本当に更新不可能な記録となってしまいましたが、新コースで新たな山の神の誕生を期待したいと思います。

 

 

6区 87回大会 千葉健太(駒澤大:2年) 58分11秒

 

山上りのスペシャリストが柏原ならば、山下りのスペシャリストはこの千葉健太でしょう。1年時から59分44秒で区間賞を獲得すると、2年時に大東大の金子が77回大会で築いた58分21秒を10秒更新する、58分11秒で区間記録を更新しています。この記録は前半はスローペースだったものの、後半はハイペースかつ上りに感じると言われるラスト3kmの平地区間もペースを落とすこと無く、築き上げました。3年時は故障明けだったこともあり、59分39秒の5位に終わりますが、4年時には58分15秒と自信の区間記録に後4秒に迫る走りで3度目の区間賞を獲得しています。ちなみに、6区も距離はほぼ変わらなかったものの、76回大会で現行コースに変わっており、この旧コースでの記録は神奈川大の中澤が記録した58分6秒と単純にタイムでは千葉を上回っています。この記録も含めて、いつか更新する選手が現れて欲しいです。

 

 

往路記録 88回大会 東洋大学 5時間24分45秒

 

往路記録は東洋大学が柏原4年時に記録したこれまた不滅と言われる記録です。従来の記録は前年度に自身が記録した5時間30分17秒であり、その記録を実に5分32秒も更新しているのですから、衝撃的です。1区で宇野博之がハイペースにきっちりと対応し、62分34秒の区間4位で走ると、設楽啓太68分4秒の区間2位の好走、さらに山本憲二が1時間2分43秒で区間2位ながら歴代4位の素晴らしい走りを見せます。3区終了時にトップに立ったものの、その勢いは衰えることを知りません。4区では3大駅伝初出場の田口雅也が54分45秒の区間歴代2位の好タイムをマークしてトップの座を盤石にすると、5区に控えるは柏原竜二、東洋にとってはこれ以上ない最高の展開でタスキをつなぐと、1時間16分39秒の区間新記録での往路新記録を達成しました。

 

この記録は条件に恵まれ、1~4区までを区間歴代でもトップ10に入るようなペースで繫ぎ、さらに5区に山の神クラスのランナーがいないと更新は不可能であろうというとんでもない記録です。。。今回参考記録となる5つの記録の中でも最も更新が難しい記録だと個人的には思っており、参考になってしまうのが本当に残念です。

 

 

復路記録 90回大会 東洋大学 5時間25分38秒

 

復路記録は前回の箱根駅伝でやはり東洋が記録した記録です。東洋自身が88回大会で記録した5時間26分51秒を1分13秒更新しています。6区では箱根初出場の日下佳祐が6区4位の走りで好スタートを切ると、7区では服部弾馬が区間歴代7位となる63分27秒で区間賞を獲得、更に8区で高久龍が1時間4分35秒という区間歴代4位の好走で区間賞、ここで優勝は決定的となりました。9区では3大駅伝初出場の上村和生が1時間9分24秒で区間4位ながら区間歴代10位の好走、最終10区は大津顕杜が1時間9分8秒で区間歴代3位で走り、MVPを獲得しています。まさに完璧と言っていい走りではないでしょうか?2013年度に出雲でも全日本でも好走と言える走りを見せた選手はこの5人の中にいなかったにも関わらず、箱根ではここまでピーキングを合わせてくるのですが、本当に神がかっています。この記録も更新は容易では無かったでしょう・・・

 

 

総合記録 88回大会 東洋大学 10時間51分36秒

往路の記録は先ほど往路記録を説明した時に記載したので割愛し、6区以降を見ていきます。既に往路で5分以上の大量リードがあるにも関わらず、手を緩めることは一切無い東洋、3年連続で6区を任された市川孝徳が59分15秒で区間賞スタートを切ると、7区では設楽悠太が1時間2分32秒と佐藤悠基が持つ区間記録を2秒更新する区間新記録の走りを見せつけました!!8区では3大駅伝初出場の大津顕杜が1時間4分12秒と区間記録に7秒差と迫る歴代2位の好走、これで4区~8区まで5連続区間賞ともう手がつけられない状況です。9区の田中貴章こそ万全ではなかったこともあり、1時間11分6秒と区間6位に留まりますが、アンカーを任されたこれまた3大駅伝初出場の齋藤貴志が1時間9分45秒と区間歴代5位の好走で区間賞、延べ6個の区間賞を獲得した東洋が2位の駒澤に9分以上の差をつけるぶっちぎりの優勝を果たしました。

 

前回の箱根ではほぼ完璧と言っていい走りを見せた東洋ですが、それでも山の神不在の影響は大きく、1分15秒総合記録には届きませんでした。88回、90回のタイムは本当に歴代を見ても群を抜く素晴らしい記録でした。今回参考記録となる5つの記録のうち、6区を除く4つを東洋大学が占め、まさに東洋の黄金時代を象徴する記録が参考記録となってしまいます。これは非常に残念ではありますが、また東洋にはこれらの記録を上回るような記録を打ち立てて欲しいですし、他の大学も当時の東洋よりも強いと思わせるような素晴らしい走りを見せて欲しいです!!

 

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