監督特集 ~上武大学 花田勝彦~
続いては、上武大学を箱根駅伝へと導き、全日本では初のシードを獲得するなど、スカウトの苦戦を育成力でカバーしている花田監督について・・・上武が箱根駅伝の常連校となったのは間違いなく花田監督の功績でしょう。箱根予選では集団走を積極的に取り入れ、トップ通過も果たすなど、予選会での勝負強さは群を抜いています。その一方、箱根では未だシード権争いに絡むことさえ出来ず、苦戦を強いられているのが現状ですね。。。
選手時代
早稲田大学の同期には武井隆次、櫛部静二がおり、三羽烏と呼ばれて入学時から注目を集めるランナーでした。ただ、高校時代の実績で言えば他の二人よりも劣っていましたね。高校生で初めて13分台を出し、1500m,5000mともにインタハイを制した武井、3000m障害でインターハイ優勝、現在も残る高校記録である8分44秒77を出している櫛部と全国トップクラスの実績を二人は誇っています。それでも、箱根駅伝には4年連続で出場しており、3区6位→3区3位→4区1位→2区3位といずれも結果を残し、3年時には総合優勝も果たしています。
卒業後もエスビー食品に進むと、アトランタオリンピックで1万m代表、シドニーオリンピックで5000m,1万mで出場するなど、輝かしい実績を残しました。トラックで2度のオリンピック出場というのは、世界で戦ってきた選手の多い早稲田大学OBの中でもずば抜けた実績ですね。大学時代、実業団と順調に成長し、日本のトップ選手となりました。マラソンでも世界陸上に出場していますからねー。現在大学で監督を務める選手の中でも最も成功した選手の1人と言えるでしょう。
監督時代
上武大学の監督となったのは、上武大学陸上部からのメールがきっかけだったということで、まるで小説みたいですねー。最初はメールでの指導だったようですが、大学の箱根駅伝にかける意気込みもあり、2004年に正式に上武大学駅伝部が発足し、その監督となります。就任後はその手腕を存分に発揮し、4年目には福山真魚が学連選抜で初の箱根路に挑み、5区3位と見事な走りを見せました。すると、翌年度の箱根駅伝予選会では見事に3位に入り、初の3大駅伝出場を5年目にして果たしました。新たに箱根駅伝に向けて強化を始めた大学はいくつもありますが、未だに上武大学以降、新たに箱根駅伝に出場する大学は出て来ておらず、伝統校が予選落ちするなど厳しい争いの中で初出場から連続出場しているところに上武大学の勝負強さが際立ちます。
予選会は初出場が3位といきなり上位通過、その後も1位通過も1度経験し、常に5位以内での通過と安定した結果を残してきましたが、箱根本戦では14位が最高であり、区間一桁で走れる選手が少なく、予選会での見事な走りとは裏腹にシード争いとは無縁なチーム状況が続いていました。集団走により、ともすれば実力が劣る選手でもある程度走ることが可能な予選会とは違い、箱根では単独走が多く、自分でペースを作る力が必要になってきますからねー。かと言って、集団走を行わずに予選落ちしては元も子もありませんし、難しいところです。昨年度は予選会でも11位と箱根出場後最低の成績となり、増枠に助けられての通過となりました。本戦でも、3本柱をつぎ込んだ3区まではシード圏内にいましたが、そこから徐々に遅れて20位に沈んでいます。
全日本では2011年度にギリギリで予選通過を果たしたにも関わらず、本戦では初出場で初シード獲得という快挙を成し遂げました。まさか、箱根よりも全日本シードを先に獲得するとは思いませんでしたねー。翌年もシードは逃しますが7位と好走、2014年度は戦前の低評価にも関わらず4位通過を果たすなど全日本の方が相性は良さそうかなあ?昨年度からの低迷はこのまま箱根本戦出場も厳しくなってしまうのでは?と思っていましたが、今回の全日本予選での好走はチームを明るく照らすものでした。上武大学に花田監督は必要不可欠な監督だと思いますし、今後も長期政権を築いてもらい、まずは箱根の連続出場を維持しつつ、箱根本戦でも勝負出来るチームを作っていってほしいと思います!!