選手特集(14卒) 早稲田大学:大迫傑
箱根駅伝が終わって1ヶ月、4年生はそろそろ寮を出て新たな旅立ちの時を迎えています。箱根駅伝の各大学ごとの感想も終わりましたので、卒業する4年生について、その4年間を簡単に振り返ってみたいと思います(一部高校時代もあり) 駅伝で活躍した選手を中心に個人的に印象深い選手を多くて10~20人くらい取り上げてみたいと思います。最初は学生最速ランナーの大迫傑です。
中学時代から全国トップクラスの選手でしたが、やはり本格的に注目されだしたのは高校2年生の時からでしょうか?5000m13分台を2年生にして叩き出し、都大路ではアンカーで佐久長聖初優勝のゴールテープを切りました。1学年上には村澤、千葉、平賀、佐々木寛ら黄金世代の選手が揃っており、日本人だけのチームとしては、都大路史上最速・最強と言われるチームです。強い先輩がいたというのも、大迫の成長を更に加速してくれたのでしょうか?故障が多かった高校時代ではありますが、それでも3年生には1万mで28分台を出し、都大路では1区区間賞、日本人歴代2位の好タイムで走りました。高校トップクラスの力がある選手だとは思っていましたが、故障が多かっただけに、一気に距離が増える大学の練習で不安もありましたが、1年から目覚ましい活躍を遂げることになります。
大学に入って最初の真剣勝負の場となる関東インカレ、その1万mでいきなり28分35秒で4位、当時大学トップクラスだった鎧坂、柏原らと競り合っての走りは衝撃的でした。3大駅伝のデビュー戦である出雲は2区3位と大迫としては悔しいレースとなりました。一転、全日本では1区で9位と出遅れる展開ながらも2区を任されると7人抜きの区間3位の好走、トップを走る柏原との差を詰め、出雲に続く全日本優勝に貢献しました。さらにびっくりしたのが上尾ハーフ、61分47秒というジュニア新記録での走りでした。長い距離も対応しているどころかエース級の走り、この上尾ハーフの結果が続く箱根での独走につながりましたよねえ。。。箱根では最初から飛び出すとついていったのは日大の堂本のみ、2位に1分差、3位に2分差をつける圧巻の走りで3冠達成の立役者となりました。この1年は早稲田にとって全てがピタッとハマった1年でしたし、大迫の貢献も非常に大きかったです。大迫にとってもほぼ完璧な1年だったのではないでしょうか?
2年生になるとそのスピードに更に磨きがかかり、5000mでは13分31秒までベストを伸ばします。そして忘れてはならないのがユニバ1万mでの優勝、暑い過酷なコンディションでしたが、冷静にレースを進めると、最後には失速した選手をまくっての栄冠を獲得しました。渡辺監督以来のユニバ優勝というのがまた不思議な縁を感じますね。3大駅伝では1区で留学生に次ぐ3位、全日本2位、箱根では2年連続区間賞と主要区間で好走を続け、まさにエースと呼ぶに相応しい成績を残しました。ただ、チームはいずれも3位以下に終わり、3冠以降は駅伝のタイトルに手が届かないように・・・とはいえ、本人はどんどん駅伝への興味は薄れていったようで、その一方で世界とトラックで戦いたいという思いが強くなることに。。。
3年生では、GGNで1万m27分台とオリンピックのB標準を突破し、満を持して全日本1万mに挑戦しましたが、わずか0.38秒、高校の先輩である佐藤悠基に届かずオリンピックを逃してしまいました。その後に地面を叩いて悔しがっていたのが印象的でした。本人にとっても4年間で一番悔しいレースだったのでは?駅伝では出雲で駅伝で初めてと言っていいブレーキを経験しました。アゲンストの中、大迫が稼ぐしか無い状況でしたからしょうがないといえばしょうがないのかもしれませんが、まさかの区間10位という結果に。。。それでも、全日本ではきっちりと立てなおして2区2位ながら区間新記録を出したのはさすがです。箱根も3区2位と区間賞には届かず・・・
4年生では自己ベストを大きく更新します。5000mで13分20秒80は学生歴代3位の好タイム、1万mでは27分38秒31は学生歴代最速、日本歴代4位という素晴らしいタイムでした。なかなか更新されそうで更新されない日本記録を是非とも塗り替えて欲しいですねえ。大迫なら出来ると信じております。日本選手権1万mでは2年連続で佐藤悠基に敗れたものの、A標準を突破していたため、念願の世界陸上の出場権を獲得しました。結果は21位とやや物足りなかったですが、学生のうちに世界の舞台を経験出来たのは大きな財産になったと思います。アメリカに何度も行って練習を積むようになり、やはり駅伝では出雲6区3位、全日本2区区間賞(3人同タイム)、箱根1区5位とそこまで結果を出せなくはなりましたが、それでも3大駅伝で4年連続皆勤というのは素晴らしいですね。大学卒業後は日清に進むものの、拠点はアメリカでということで、他の日本人選手とは違うアプローチで練習していくことになると思いますが、そんな状況で今後どんな成長を遂げるのか非常に楽しみです!!
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