90回箱根駅伝 駒澤大学の不安要素
続いては、出雲、全日本を制し、史上4校目の3冠を狙う駒澤大学の不安要素について・・・過去10年の箱根成績はこのようになっております。出雲・全日本を圧倒的な強さで制し、3冠も期待される駒澤ですが、意外にも箱根に向けての不安要素は多いかなと。それだけ、出雲・全日本と比較して箱根は別物です。優勝候補の1校だと思っていますが、最有力とまでは言えないかなと。。。箱根こそ、駒澤・東洋・日体大の3強の争いとなると思っています。そんな駒澤の不安要素を考察していきます。
まずは距離についてです。駒澤は全日本を最も得意としております。全日本は良くてもハーフの距離になると、力を発揮出来ないということがあるんですよねー。油布は全日本で3区を4年連続区間賞ですが、箱根の距離となると、稼ぐ役割は期待しにくく、チームの主力の1人という印象です。また、上尾ハーフでは全日本で5区区間賞の中谷が64分30オーバー、7区2位の黒川が65分オーバーと長い距離でちょっと結果を残せませんでした。15km以上の距離が8区しかない全日本と違い、最短で18.5kmの距離が10区間ある箱根はやはり別物で、どこまで箱根の距離で力を発揮出来るかというのが気になります。
また、経験不足も心配です。4年連続で箱根を走った千葉、久我、後藤田、3回走った撹上、上野が卒業してしまいました。これだけ箱根経験者が抜けるということは、初の箱根となるルーキーだけではなく、2年生以上も経験が不足していることを意味します。前回箱根を走った現役は6人、湯地はちょっと今年の成績を見る限り箱根出場は厳しそうなので、4本柱+郡司が経験者ということになりそうです。とすると、5人が箱根未経験者となり、未経験者全員が初の箱根で力を発揮するのは難しそうなんですよね。。。大八木監督は育てながら闘っていく年とシーズン前は話していましたが、出雲・全日本を圧倒的な強さで制した以上、こうなったら何が何でも3冠を狙いたいところでしょう。箱根初出場の選手がどんな走りを見せてくれるのかが、鍵となりそうです。
箱根への調整という点でもやや心配があります。駒澤が優勝を狙える力があった年に怪我・体調不良者が出てきて、優勝を逃すというのがありました。具体的には、2009年度(宇賀地4年時)に星・上野が怪我で出場できず、結果として1区18位と大きく出遅れて総合2位、前回の箱根は撹上が体調不良で急遽走るようになった湯地が4区19位で総合3位といった具合です。今年は選手層が薄いだけに、怪我・体調不良者が出てくれば致命的です。優勝を狙える戦力が揃うだけに、いかに箱根に万全で臨めるかが大事になってきます。
最後は、やはり山が不安です。駒澤の山上りは毎年安定して結果を残せていますが、日体大には服部がいます。悪条件だった前回の箱根で1時間20分台で走っており、通常の条件ならばどこまで柏原に近づけるのか?という飛び抜けた実績があります。駒澤の5区は安定はしていても、爆発力はありません。村山の5区はもうないと大八木監督も言っていました。山で服部との差を最小限に抑えなければ、復路は往路の貯金を活かして逃げられるという展開になりかねません。平地で稼ぐのももちろん大事ですが、山が最重要区間であることは間違いないですし、5区の人選が勝負を左右することになりそうです。山下りの6区は区間賞3回、区間記録保持者の千葉が卒業してしまいました。前回6区候補だった染谷はいますが、千葉ほどの走りは難しいでしょう。差がつきにくい6区とはいえ、優勝を争うであろう日体大は前回好走し、更に今年力をつけている鈴木がいます。5区、6区がともに実質経験者がいない状況は、駒澤にとって最大の不安要素だと思っています。逆にここさえ克服できれば、2007年度以来、久しぶりの箱根制覇、そして3冠も見えてくると思います。
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