選手特集(15卒) 駒澤大学:中村 匠吾

2019年9月27日

4年生個別特集、恐らく最後になると思います。読者からの要望もあり、私も取り上げておきたかった選手・・・高校時代からインターハイや駅伝で活躍し、大学では故障や不調に苦しむこともあったものの、いざ大会・駅伝に出場すれば結果を残し続けてきた駒澤の中村 匠吾について、高校時代~大学4年生までを振り返ってみたいと思います。駒澤の4年生特集とかぶっている箇所もあるかと思いますが、ご容赦ください。

 

 

高校時代

中学時代に都道府県対抗駅伝で2区を走っていますが、区間28位に留まっています。三重県からは高校から実業団まで活躍している選手が何人もいますが、中学時代から結果を残している選手は少ないんですよね。上野工業(現伊賀白鳳)時代、高1の持ちタイムは14分41秒とそれほど目立つものではありませんでしたが、都大路で4区5位の好走とその力の片鱗は見せていました。一方で都道府県対抗では5区30位とまだまだ安定感のあるような選手ではありませんでした。2年時、5000mのベストを14分18秒まで伸ばすと、都大路では1区14位、都道府県対抗では1区6位で走っています。徐々にエース区間でも結果を残せるようになってきました。

 

3年時、インターハイ5000mではトップと1秒差の3位、タイムも14分00秒と素晴らしい走りを見せました。駅伝シーズン、三重県高校駅伝では上りの難コースである1区を29分52秒で走っています。今年度、都大路1区で区間賞を獲得した下が30分57秒かかっていることからも、そのタイムの凄まじさが分かるかと思います。5000mのベストも13分50秒と村山謙太に次ぐ世代2位まで伸ばし、満を持して迎えるはずだった都大路の直前で脚を痛めるアクシデントが・・・強行出場して1区を走り44位に終わっています。都道府県対抗ももちろん欠場、その後駒澤に進学してからもしばらくは走れない日々が続いていましたし、せめて3km区間にすべきでは無かったのかなと思います。

 

 

大学時代

 

1年生

故障を抱えて入ってきてこともあり、トラックシーズンは姿を見せていません。迎えた駅伝シーズン、記録会で13分55秒で走れるまでに戻してくると、全日本6区で3大駅伝デビュー、区間3位と上々のデビューを飾りますが、1~5区までは2位東洋を突き放していたこと、10年連続で区間賞を獲得していた6区で区間賞を逃し、逆に東洋に詰められたことで微妙な走りだったという評価だったと思います。それだけ、期待が大きかったこともありますが・・・その後、記録の出にくい府中ハーフで64分50秒で走ったものの、箱根は走ることは出来ませんでした。犬山ハーフで63分26秒までハーフベストを伸ばしたものの、悔しさの残る大学デビューとなりました。

 

 

2年生

トラックシーズン、初の1万mで28分56秒といきなり28分台をマーク、上々のスタートを切りました。関東インカレ2部1万mでも4位に入っています。優勝が謙太でしたから、4位でも悔しい走りでしたでしょうが・・・1万mではその後ホクレンで28分22秒の好タイムをマーク、2年生してエース格の1人へと成長を遂げてきました。しかし、駅伝シーズンはコンディションが整わず、出雲・全日本ともに出場することは出来ませんでした。それでも、箱根には何とか間に合わせ、3区3位で走っています。ただ、相手が東洋の悠太、早稲田の大迫と大学トップクラス相手だったとはいえ、ともに1分以上突き放されており、まだまだ大学トップクラスとは差がある感じでしたね。その後、学生ハーフで62分41秒をマークして優勝、ユニバハーフマラソンの出場権も獲得しました。

 

 

3年生

大学を代表する選手へと成長したのは3年時、GGNで28分5秒と大学ベストとなるタイムをマークすると、関東インカレ2部1万mでは先輩の窪田を抑えての優勝を果たしました。勢いそのままに全日本選手権にも出場、5位入賞を果たしています。トラックシーズンの締めくくりはユニバハーフマラソン、ここで3位と表彰台に上る走りを見せました。 エースとしての走りが期待された駅伝シーズン、出雲では1区を任されると、1度スパートをかけて人数を絞ると、終盤に2度目のスパートで後続を突き放し、区間賞を獲得、区間2位に20秒差、最大のライバルである東洋に40秒差をつける圧巻の走りでチームを15年ぶりの出雲制覇へと導きました。

 

続く全日本でも1区を任されると、東洋の悠太と激しい争いを演じ、最後はまたしても驚異的なロングスパートで悠太を一気に突き放し、区間2位に32秒差をつける走りで区間賞を獲得、出雲に続く2冠、そして全日本3連覇に大きく貢献しました。出雲・全日本と同様に箱根でも1区を任さられますが、12月に入ってから軽い故障をしていたようで・・・それでも結果は区間2位、歴代5位となる1時間1分36秒と素晴らしいタイムで走ったのはすさまじいですが、東洋とは10秒差しかつけることが出来なかったのが痛かったですね。。。結果としてチームも2位で3冠を逃す結果となってしまいました。その後、熊本30kmロードレースに出場し、1時間30分11秒で3位に入り、さらに世界ハーフでも61分57秒と大学ベストとなる好タイムをマークしますが、この連戦がその後に響いてしまうことに・・・

 

 

4年生

3年時と同じかそれ以上の活躍も期待された中村ですが、 織田記念で13分51秒で走って以降、27分台を狙ったGGNでは29分34秒に留まり、関東インカレ・日本選手権も回避、ホクレンに出場しますが30分18秒とどん底を味わいました。ウィルス性の疲労ということでしたが、夏合宿も終盤しか参加せずに駅伝シーズンに不安を残すこととなりました。迎えた駅伝シーズン、出雲は中止となりましたが中村は走る予定だった6人から外れることに・・・しかし、全日本では地元中の地元である4区を任されると前半ゆったり入り、後半ペースを上げる慎重な走りながら区間賞を獲得、見事に復活を遂げ、全日本4連覇を達成しました。状態が分からなかった4区中村で他の優勝候補からすれば差を詰めたかったところを逆に突き放すこの走りは非常に大きかったですね。

 

そして迎えた最後の箱根では2年連続で1区を任されると、終盤に東洋の田口、明治の横手、青学の久保田らと作る4人の集団から最初にこぼれてしまいましたが、粘って追いつき、また遅れても追いつくしぶとい走りを見せると、最後はラストスパートを見せて箱根で初の区間賞を獲得、3大駅伝全てで1区区間賞を獲得することとなりました。チームとしてはまたしても優勝に届かずに2位となってしまいましたが、中村は3大駅伝に7回出場して区間賞4度を含む全て3位以内と抜群の安定感を誇りました。1学年上の大迫や窪田、設楽兄弟ら黄金世代の選手たちでも1度は失敗レースがあるのですが、中村は出場した回数こそ7回に留まりますが、その全てで好走を見せているのが驚異的です。

 

 

卒業後は富士通に進むことになります。駒澤のOBは星や久我・千葉に油布など先輩たちが何人もいるのは心強いでしょうし、ニューイヤー駅伝で最近はちょっと奮わないチームに与える影響は大きそうです。トヨタに進んだ窪田のようにいきなりエース区間を任される可能性もありそうです。卒業後はマラソンをメインにやっていくということですので、さすがにいきなりリオ・オリンピックを目指すのは厳しいでしょうが、そのスピードと勝負強さは非常に魅力的ですし、マラソンでも成功してくれることを期待したいです!

 

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